パーソル、キャリアオーナーシップ実態調査を実施「自分で決める意識の醸成」と「周囲の支援」が発揮のカギ
~はたらき方を決められた層は、仕事満足度が高い~
■田中研之輔氏からのコメント
「キャリアオーナーシップに関する実態調査」を通じて、自己決定を意識する人は、1)「仕事内容」や「はたらき方」を決めることができ、仕事への満足度も顕著に高く、加えて興味深いのは、2)「仕事仲間」を大切にし、3)「仕事を熱心に」取り組むこと傾向があることも明らかになりました。
このように、キャリアオーナーシップは、個人のキャリア形成のみならず、家族や同僚とのコミュニケーションや心的幸福感の向上の鍵を握っています。これまでの組織内キャリアからこれからの主体的なキャリアへの転換を実現していく切り札として、また、人的資本経営を持続的に推進させていく動力源として、キャリアオーナーシップは今後さらに大きな社会的役割を担っていくものと言えるでしょう。
■調査結果サマリー ・はたらく人のなかで、仕事やはたらき方の自己決定を意識している人は、約半数。 ・自己決定を意識している層は、意識していない層と比べ、実際に「仕事内容」/「はたらき方」を自己決定 できた人がそれぞれ43.5pt / 50.8pt多い ・「はたらき方」を自己決定できた層は、他と比較して全体的に仕事への満足度が高い ・「仕事内容」や「はたらき方」を決められた理由は、「会社の風土」や「上司の理解」が上位で、キャリア オーナーシップの発揮には本人の意識だけでなく、周囲の支援が重要 ・「仕事内容」や「はたらき方」を決められている人は、仕事仲間を大切にし、仕事を熱心に行う傾向がある |
■調査結果(詳細)
◆仕事やはたらき方を自らの意志で決めることを意識している人は約半数。40代から急激に増える
「自分の仕事やはたらき方を自らの意志で決めることを意識していますか」と尋ねると、およそ半数が意識している(「意識している」と「やや意識している」。以下、自己決定を意識している層)、30%弱が意識していない(「あまり意識していない」と「意識していない」。以下、自己決定を意識していない層)と回答。年齢別では40代から高くなり、50代になるとやや落ち着く傾向がみられた。年代×性別では、40代男性が最も高く58.3%、次いで40代女性の56.7%、50代女性の53.7%となった。
◆自己決定を意識している層は、意識していない層と比べて、実際に「仕事内容」を決めることができたと回答した人が43.5pt多い
これまでを振り返り、「仕事内容」を自分の意志で決めることができたかという質問をしたところ、全体では53.6%の人が「自分で決めることができた(「おおよそ出来た」と「わりと出来た」)、以下、自己決定できた」と回答。
また、自己決定を意識している層と意識していない層を比較すると、意識している層の方が、自己決定できたと回答している。その差は43.5ptだった。
◆「はたらき方」において、自己決定を意識している層の方が、意識していない層と比べて、自己決定できたと回答した人が50.8pt多い
「仕事内容」と同様に「はたらき方」について、自分の意志で決めることができたかという質問では、全体では50.3%が自己決定(おおよそ出来た」と「わり出来た」)できたと回答。
また、自己決定を意識している層と意識していない層を比較すると、意識している層の方が、自己決定できた人が圧倒的に高い結果となった。
◆「はたらき方」を自己決定できた層は、他と比較して全体的に仕事への満足度が高い
仕事への満足度について、該当するものを選んでもらい、「仕事内容」を自己決定できた層(「おおよそ出来た」と「わり出来た」)と「はたらき方」を自己決定できた層(「おおよそ出来た」と「わりと出来た」)を比較分析してみた。すると、「はたらき方」を自己決定できた層は、他と比較して全体的に満足度が高い傾向にあることがわかった。
特に「総合的に今の仕事に満足している」「仕事にやりがいを感じてきた」などでスコアが高い。
◆仕事内容を自己決定できた層が自己決定できた場面の1位は、「仕事を通じた自身のスキルおよび経験蓄積」
自己決定できた場面を尋ねたところ、全体、仕事内容を自己決定できた層ともに「仕事を通じた自身のスキルおよび経験蓄積について」が最も多く、次いで「最初の就職での仕事内容について」、3番目に「学習や研修を通じた自身のスキルおよび経験蓄積について」、さらに「勤務先内での仕事・プロジェクトの担当について」と続いた。「仕事を通じた自身のスキルおよび経験蓄積について」は、全体と仕事内容を自己決定できた層との差が最も大きかった。
◆仕事内容を自己決定できた理由は、「会社の風土」や「上司の理解」が上位で、キャリアオーナーシップの
発揮には本人の意識だけでなく、周囲の支援が重要
仕事内容を自己決定できた層に、自己決定できた理由を選んでもらったところ、「希望する仕事についての知識・能力・経験」が1位になった一方、「自身の考えや意見を自由に言いあえる風通しのよい風土」や「勤務先内の上司の理解や柔軟性」といった勤務先内の風土に関する項目も上位に。キャリアオーナーシップの発揮には、本人の意識に加えて、周囲の支援が重要といえそうだ。
◆仕事や会社への価値観は、仕事内容を自己決定できた層では、仕事仲間を大切にする意識が高い
仕事や会社への価値観について該当するものを選んでもらったところ、「仕事内容」について「自己決定できた層」と「自己決定できなかった層」で、上位3つの項目は同じ顔ぶれだった。一方で、スコアの差が大きいものを見てみると、最も差が大きいのは「専門性を上げることが大切だ(25.4pt差)」で、次いで「仕事で色々チャレンジすることが大切だ(24.4pt差)」など仕事への意識が目立った。一方、3番目には「仕事仲間が大切だ(22.0pt差)」が入るなど、仕事をスムーズに進めるうえで必要なことにも、目を向けていることがうかがえる結果だった。
◆仕事内容を自己決定できた層は、自分がやりたいことを探し、それを実現するために人脈づくりや自己啓発に取り組んでいることが伺える
仕事内容を自分で選ぶための努力・取り組みについては、仕事内容を自己決定できた層もできなかった層も、上位4つが「会社内で人脈をつくる」「自分がやりたいこと・成し遂げたいことを探す」「資格を取る」「ビジネス・経済ニュースを多く読む・視聴する」と顔ぶれで同じだ。しかし「会社内で人脈をつくる」の項目では、スコアに大きな差があるほか、「会社外で人脈を作る」でも差がある。前項目でも、仕事内容を自己決定できた層は、仕事仲間を大切にする価値観が高いスコアとなるなど、人とのつながりを大切にして、自らの可能性やチャンスを広げていることが伺える。
◆はたらき方を自己決定できた場面は、雇用形態が1位、日々の労働時間の長さが2位
はたらき方を自己決定出来た場面について尋ねたところ、仕事内容を自己決定できた層では「雇用形態」や「日々の労働時間の長さ」、「退勤・出勤時間」などが上位に挙がっている。それらと比較すると、「出産・育児・介護休暇の取得」においては、自己決定できた場面として挙げる人の割合は少ない結果となった。
◆はたらき方を自己決定できた理由には、勤務先の風土や周囲を気にしない価値観が上位に
はたらき方を自己決定できた層に、自己決定できた理由を選んでもらったところ、1位に「テレワークしても良しとする風土」、5位に「時短勤務・育児休業は取って当然という風土」、6位に「早く退勤してもよい風土」と勤務先内の風土が10位以内に3つ入った。また3位には、「周囲の目をあまり気にしない割り切り・価値観」と強い意志がなければ、はたらき方を選択しにくいことがうかがえる結果がみられた。
◆はたらき方を自己決定できている層は、仕事が楽しく仕事は熱心にという人が多い一方、はたらき方を自己
決定できていない層は、仕事があまり好きではなく最低限のことだけやるというスタンスの人が割合として
多い
仕事へのスタンスについての質問では、「はたらき方」について「自己決定できた層」と「自己決定できなかった層」では、4つの項目で大きな差が出た。差が大きい順に、「成長のために仕事は熱心にやる(22.4pt差)」、「仕事が楽しいので熱心にやる(22.1pt差)」、「家族を支えるために仕事は熱心にやる(21.2pt差))」。「はたらき方」を「自己決定できた層」は、仕事を楽しみながら熱心にやる傾向がうかがえた。
■まとめ
近年、人材を「資本」ととらえて、育成などの人材施策を行うことで企業価値の向上につなげる「人的資本経営」の動きが加速しています。また新型コロナウィルスの感染拡大を機に、個人の価値観がさらに多様化し、企業の在り方も大きく変化する中で、ウェルビーイングへの注目も高まっています。
そんな中、私たちパーソルグループでは、働くことを通して、その人自身が感じる幸せや満足感を“はたらくWell-being”と定義し、はたらくWell-beingを実感する人を増やすことを目指しています。それを目指すうえで、大切だと考えているのが、キャリアオーナーシップです。今回、キャリアオーナーシップの実態を把握し、より多くの人がキャリアオーナーシップを発揮して、はたらくWell-beingを実感できるためのヒントを探るため、調査を行いました。
その結果見えてきたのが、自分で決める(自己決定する)意識を持つ人は、実際に仕事内容やはたらき方を
自己決定できていること。そして、自己決定できている人は、仕事満足度が優位に高く、仕事が好きで熱心に取り組む傾向があることです。これはまさに、はたらくWell-beingの実感で、キャリアオーナーシップがカギの一つを握るといえるのではないでしょうか。
さらに、これまでキャリアオーナーシップは、個人の意識に目を向けられることが多かったと思いますが、今回の調査結果から、個人の意識に加えて「周囲の支援」が重要であることが見えてきました。企業は、仕事内容やはたらき方の選択肢の整備だけでなく、自分で決めることの意識醸成、さらに自分の意志で決めてもよいと思える風土づくりや上司の理解を促す取り組みを行うことが、社員のキャリアオーナーシップを引き出すために重要だと言えそうです。
また自分がどうありたいかを認識したあと、実際にその状態になるまでは一時的に幸福感が下がるという研究結果もあります。このため社員のスムーズな意思決定をサポートできるよう、キャリア相談窓口の設置などの対策も大切になるでしょう。
■調査概要
調査名:「キャリアオーナーシップに関する実態調査」
調査手法:調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期:2023年11月11日~13日
調査対象:全国 男女20~59歳 正社員
(コンサルティング・調査業界は除く)
サンプル数:800人(20代から50代までの男女それぞれ100人ずつ)
※人口構成比によりウェイトバックして集計
■「PERSOL(パーソル)」について< https://www.persol-group.co.jp/ >
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
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