「輸配送戦略」と「拠点戦略」の両輪でトラックドライバー不足に対応運賃改定や長距離輸送・荷待ち荷役時間削減に向けた取り組みを加速
~物流2024年問題への対策~
「物流2024年問題」とは
トラックドライバーを取り巻く環境は、全産業平均と比較し、年間所得が5~12%※1低い一方、労働時間は 約20%※2長いと言われています。この状況が続くとトラックドライバーの人口は減り続け、2040年には需要の半数強※3が運べなくなるといった予測が出ています。このような状況の中、2024年4月より働き方改革関連法※4が施行されることで、トラックドライバーの実質労働時間が短くなることから、運べる荷量が減り、運ぶべき荷物が運べない状況やトラックドライバーの収入の低下が懸念されます。これが「物流2024年問題」です。
キリングループの「物流2024年問題」に対する考え方
「輸配送戦略」と「拠点戦略」両軸のもと、「トラック運行数の削減」・「必要トラック台数の確保」・「限られたトラックの有効活用」といった視点で段階的に解決策を実施する。
キリングループの「物流2024年問題」への対策
◆輸配送戦略:運送会社、ドライバーにとって働きやすい環境を作り、集車力の強化につなげる
① トラックドライバーの運賃改定
運賃改定については、従来より以下のとおり継続的に対応してきました。
2022年:燃料価格の高騰に対する支援金の新設
2023年:国交省の「標準運送自動車貨物約款」の改定にあわせ、基本運賃とは別に、店頭での付帯作業に
対する支払いを新設
今回2024年4月のトラックドライバーに対する働き方改革関連法が施行されることで、実質の労働時間が規制の基準を超過する場合、追加的な運行が行えない状況が発生し、結果的に輸送会社各社の運行生産性が低下する可能性があります。これらは輸送会社各社の経営に直接的な影響が想定されるため、2024年4月よりキリングループ貨物の運賃改定を行います。
当社では、運賃改定後水準において、上記2022年から2024年までの対応すべてを加味した運賃の引き上げ率は2020年比で、全国平均10.3%となります。
また同時に、これまでトラックあたりの輸送する貨物の重量ベースで算出していた運賃を、トラックの車型ベースでの算出に改定します。これにより積載状況の変動を受けず、トラックドライバーの安定的な収入につながる環境を整備します。
② 長距離輸送の削減(長距離ルートにおける中間拠点の設置およびモーダルシフトの加速)
550Km以上の長距離輸送ルートは、モーダルシフトまたは中継拠点※5で貨物を積み替えるバウンド輸送に変更することで、トラックドライバーの労働時間を削減します。
【2024年目標値】
550㎞以上のモーダルシフト化率:72%(2021年比:約2割拡大)
尚、目標達成時には年間3,130tのGHG削減見込みとなります。
◆拠点戦略:トラックを「待たせない」ことで運行生産性向上を目指す
③ トラックの荷待ち・荷役時間の削減
各フォークリフトに搭載する端末(タブレット)に、荷揃え作業指示が送信されるシステムを開発し、トラックが積み込み場所に到着する前に、貨物を事前に用意しておく運用を整備しました。また、キリングループの各拠点に、BI※6ツールなどのシステムの導入を進め、荷待ち・荷役時間やフォークリフトの作業生産性を可視化し、荷待ち・荷役時間にかかる原因分析を迅速に行う運用を構築しました。
今後も、DXの活用推進を通じて、トラックの荷待ち・荷役時間を短縮することで、トラックドライバーの運行生産性向上を目指していきます。
キリングループでは荷主としての責任を果たすべく、物流コスト全般とトラック台数のコントロールをしながら、トラックドライバーを始め、物流業務に関わるすべての人々・団体と協働し、必要な物量を運びきり、お客様に商品をお届けします。
※1 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より
※2 日本のトラック輸送産業 現状と課題より(公益社団法人全日本トラック協会)
※3 国土交通省・経済産業省2022年「フィジカルインターネットロードマップ」のべースライン予測
※4 厚生労働省「働き方改革」より
※5 中継拠点=つくばセンター・西名古屋センター・阪神ドライセンター・キリンビール岡山工場
※6「ビジネスインテリジェンスツール」の略で。企業に蓄積された大量のデータを集めて分析・見える化し、迅速な意思決定を助けるためのソフトウェア
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