インターネット上の子どもの性的搾取に対する道徳的指針を発表【共同プレスリリース】
パナマで子どものための宗教者ネットワークフォーラム開催
※本信で発表するガイドブックは、 https://www.unicef.org/protection/57929_79672.html からダウンロード頂けます。
【2017年5月11日 パナマ・シティ(パナマ)発】
ユニセフは、ECPAT Internationalおよび世界宗教者平和会議(Religions for Peace)と協力して、世界の宗教コミュニティによる、子どものインターネット上の性的搾取に対する予防、対処及び終結に向けた取り組みを強化することを目的とした、新たなガイドブック「インターネット上の性的搾取から子どもたちを守る(Protecting Children from Online Sexual Exploitation)」を発表しました。
子どもの性的虐待に関するコンテンツがネット上で驚異的に拡散するなど、情報通信技術(ICT)とインターネットは、子どもたちを新たな、また進化する形態の性的搾取の危険性に晒しています。性的なテキストメッセージまたは写真を携帯電話間で送るセクスティング(sexting)のような行為もまた、子どもたちを性的虐待と搾取の危険に晒します。
新しいガイドブックは、宗教を基盤とした組織や宗教指導者たちが、この問題に関する考え方に影響を与え、議論を喚起し、基準を設定するなど、道徳的権威を活用した活動ができるユニークな立場にあると考えます。また、彼らは、加害者が助けを求めたときに行動を起こしたり、家族に対して子どもを守るためのアドバイスやツールを提供することも出来る立場にあります。
「もし、世界がインターネット上での子どもの性的搾取を根絶しようとするならば、世界で最も影響力のある組織がその役割を果たさなければなりません。そして、宗教コミュニティ以上に影響力を持つ団体はないに等しいのです」とECPAT InternationalのDorothy Rozga事務局長は子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラム(5th Forum of the Global Network of Religions for Children (GNRC)で述べました。「彼らは最も大きなかつ相互に結び付いた社会的団体です。約50億人に上る世界のほとんどの人々が宗教コミュニティに属していていることを考えれば、彼らには潜在的に、この恐ろしい犯罪との戦いを先導できる大きな可能性があるのです」(Rozga事務局長)
ガイドブックは、インターネット上で子どもたちが晒されるリスク、ネット上の子どもの性的搾取の影響、加害者および人身売買やあっせんを行う仲介者の歪んだ動機について説明しています。この犯罪に対処するための宗教コミュニティの重要な役割を示し、彼らの精神的、道徳的、社会的影響ならびに子どもに対する暴力を終わらせるための義務についても指摘しています。さらに、子どもの保護についての異なる宗教の視点を提供すると同時に、宗教指導者やコミュニティが子どもの正義と保護を追及するために取るべき行動についても、以下のように示しています。
- 安全で子どもにやさしい空間の提供:すべての礼拝所や宗教的施設は、暴力の被害者を含む子どもや青年に対して、安全、支援、そしてサポートを提供し、安全で子どもにやさしいコミュニティの構築を手助けすることができます。
- 意識の向上:人々は宗教指導者に道徳的な指導やアドバイスを求めます。宗教的指導者はこのガイドブックを使い、タブー視されていた性的虐待や搾取についてそれぞれの宗教が伝統的にどのような見解をもっているか等について、コミュニティと話し合うことが可能になります。
- 虐待の報告:宗教的指導者は、子どもたちやコミュニティのメンバーが搾取や虐待の例を報告するように促し、また、コミュニティの誰かが、子どもたちが危険に晒されていることを知っていたり、懸念することがあれば、警察や、ヘルプライン等の第三者に連絡することができます。
- 子どものためのアドボカシー(政策提言):宗教指導者や宗教コミュニティは、性的暴力のリスクや影響に関する情報を共有し、子どもたちを保護するための地域に根差した施設を支援することで、子どもや青年にとってより安全な世界の構築を手助けすることが可能です。
- 協力:宗教コミュニティは、インターネット上の子どもの性的搾取の問題に取り組むために、目的、資源、経験を共有できる他の団体と協力することができます。
「インターネット上の性的虐待と搾取は、男の子にも女の子にも関係する、世界的に悪化している問題で、多くの場合、それは家の中やコミュニティの中で最も親しい間柄の人々の手によって行われ、子どもたちは黙って耐えるしかありません。宗教コミュニティや宗教を基盤とした組織は、彼らが持つ信条(価値)、道徳的権威や広範なネットワークを通して、この犯罪を取り巻く沈黙を破り、子どもたちをこの非道な行為から守り、影響を受けた子どもたちには傷を癒し保護するために必要不可欠な支援サービスに繫ぐという重要な役割を果たします」と、ユニセフのプログラム局長エドワード・チャイバンは述べました。
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■本信のガイドブック(英文)は、 https://www.unicef.org/protection/57929_79672.html からご覧いただけます。
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■子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラム(5th Forum of the Global Network of Religions for Children (GNRC))について
子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第5回フォーラムは、5月9日~11日に、「子どもたちへの暴力を終わらせる:活動する宗教コミュニティ(Ending Violence Against Children: Faith Communities in Action)」というテーマのもと、パナマで開催されました。https://gnrc.net/en/news/3676-transformed-faith-communities-ending-violence-against-children-will-be-the-theme-of-the-5th-forum
■ECPATについて
ECPATは、世界86カ所に95のメンバー団体を有する、子どもの性的搾取を終わらせるという共通のミッションを持つネットワークです。(www.ecpat.org)
■世界宗教者平和会議について
世界宗教者平和会議は、世界最大規模かつ世界最大数の多様な宗教が参加する共同体で、平和に関する多宗教間の合意の形成や、戦争の終結、極度の貧困の撲滅、環境保護のための具体的行動等を通して、平和のための共通のアクションを促進しています。(www.rfp.org)
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)
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