北海道上ノ国町でクマ対策用電気柵の安定運用を支援する実証実験を開始
~遠隔電圧監視とリレー制御による部分切り離しにより、電気柵の運用を効率化~
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と北海道上ノ国町(以下、上ノ国町)は、ドコモが開発した、電気柵の安定運用を支援するシステム※1(以下、本システム)を活用し、本日から2026年11月30日(月)まで、上ノ国町でクマ対策における本システムの有効性を検証する共同実証実験(以下、本実証)を実施します。
本システムは、電気柵の電圧を遠隔で監視し、草木の接触や倒壊などにより漏電が発生した区画を自動で切り離すことで、他の区画の機能を維持するものです。電気柵の維持管理における負担の軽減と、クマをはじめとする野生動物による被害対策の有効性を検証し、人々が安心して暮らせる環境づくりに貢献します。
1.背景
野生動物による農作物被害や人身被害が全国的な社会問題となっている中、上ノ国町においてもクマによる被害への対策が課題となっており、人間と野生動物の生活圏を分けるゾーニングの手段として、電気柵が活用されています。電気柵は、動物が柵に接触した際に微弱な電気刺激によって警戒行動を促し、危険な場所であることを学習させることで、動物を傷つけることなく適切な距離を保つことを可能にするソリューションです。電気柵はクマ対策でも注目され、さまざまな自治体や、農業・酪農などの産業で導入されています。
一方で電気柵の運用には安定した電圧を維持するための継続的な点検と管理が必要です。例えば、繁茂した草木との接触や、野生動物との度重なる接触による断線などにより漏電が発生し、電圧が低下すると、動物の侵入防止に必要な電気刺激が機能しない場合があります。また、電気柵は、柵全体で電圧を共有する仕組みのため、電気柵の一部で局所的な不具合が発生した場合でも影響が全体に波及し、不具合が発生した電気柵全域で電圧が低下します。電気柵の電圧が低下した状態での運用は、農地や街などへの野生動物の侵入が可能となるだけでなく、野生動物に「電気柵は危険ではない」と学習させる結果を招くため、地域全体の電気柵の有効性を長期的に損なうおそれがあります。
2.システムの概要
今回ドコモが開発した本システムは、既設の電気柵にポール型の装置を後付けすることで、電気柵の状態を遠隔でモニタリングおよび制御が可能となるシステムとなっており、電気柵の安定した運用を支援するものです。本システムは、電気柵の各区間の電圧を常に遠隔監視し、電圧の低下を検知した場合には、電圧が低下した区間を特定した上で、リレー※2装置を作動させることで故障した区間に電気が流れるのを遮断します。電気柵全体から故障した特定の区間のみを自動的に切り離すことで、正常に動作している他の区間は必要な電圧を保ったまま運用を続けることができ、電気柵全体の機能が停止することを防ぎます。本システムの導入により、野生動物による農業被害の軽減を通じて安全で持続可能な農業の継続を支援するとともに、多様な里山環境の維持や生物多様性の保全への貢献も期待されます。

3.実証実験内容
本実証では、上ノ国町内の住宅に隣接する山林エリアに本システムを導入することにより、クマ対策における有効性と実用性を検証します。実験場所は、昨年度クマの出没により電気柵が設置された場所で、上ノ国町職員によりその電気柵の維持運用が行われています。本実証を通して、漏電箇所の検知精度、漏電や電圧低下区間を切り離した後も他の区間の機能が維持できるかを確認します。また、電気柵を安定して維持するための本システムの効果的な運用方法や、電気柵の故障箇所を特定するための見回り作業および管理などの人的稼働の削減効果、電気柵を安定運用できることによる心理的負担軽減への影響についても検証予定です。

両者は、本実証を通じて農作物や人々の安全を守るだけでなく、対策にあたる自治体職員や農業従事者の身体的・精神的な負担軽減に取り組み、クマをはじめとする野生動物と人間との軋轢を緩和した、より安全で快適な社会の実現をめざしてまいります。
※1 本システムはドコモが「生物多様性中期ロードマップ」に掲げる「ヒトと自然が“あたりまえに”共生している世界」の実現
への貢献に向けた取り組みの一つです。
(https://www.docomo.ne.jp/corporate/csr/ecology/protection/tnfd/roadmap/)
本システムの紹介動画はこちら:IoT活用でクマ対策を効率化する電気柵システム 技術紹介動画
※2 「リレー」とは、電気信号を受け取って、電気回路のオン・オフを切り替えるスイッチの役割を持つ電子部品です。
別紙
実証実験の概要
1. 目的
ドコモが開発した「電気柵の安定運用を支援するシステム」を、実際にクマの出没が課題となってい
る地域に導入することで、以下内容について現場での検証を実施します。
・クマ対策における本システムの有効性や価値
・遠隔からの電圧監視、異常検知、故障区画の自動切り離しといった基本機能の実現性
・システムの導入による電気柵の維持管理業務の効率化と負担軽減の効果
2. 実証実験の詳細
上ノ国町の職員が実際に本システムを利用し、遠隔での電気柵監視や、故障発生時の状況確認、
復旧作業などを実施することにより、クマ対策に本システムが有効であるかを検証します。
(1)実施期間(予定)
2026年10月6日(火)~2026年11月30日(月)
(2)実施場所
北海道檜山郡上ノ国町内の住宅に隣接する山林エリア
(3)対象設備
上記エリアに設置されている電気柵(総延長 約200~300m)
3. 各者の役割
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北海道上ノ国町 |
・実証実験場所の提供 ・利用者の視点から、システムの操作性評価や、獣害対策の現場における 有効性に関するフィードバック |
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ドコモ |
・「電気柵の安定運用を支援するシステム」の開発および提供 ・実証実験全体の計画と推進、技術サポート、データ収集・分析 |
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