新政権に求める経済政策、「中小企業支援」が半数近くに 「物価高対策」ほか、「個人消費関連」も上位
企業が新政権に求める経済関連政策に関するアンケート
岸田自民党総裁の後任を選ぶ総裁選挙が9月12日に告示された。20人の推薦人が必要である現在の仕組みで過去最多の9人が立候補しており、政治改革や経済政策などが主な争点になるといわれている。物価上昇に加え、慢性的な人手不足など、企業を取り巻く環境は厳しさが増しているなか、新たな政権がどのような経済政策を今後推し進めていくのか、注目される。
そこで、帝国データバンクは、企業が新政権に求める経済関連政策についてアンケートを行った。
<調査結果(要旨)>
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新政権に求める経済関連政策、「中小企業向け支援策の拡充」「物価高対策」「個人消費の拡大策」「個人向け減税」が上位に
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規模別、「大企業」では人材確保・定着や賃上げ関連政策が目立つ。一方で、「中小企業」では中小企業への支援や法人向け減税を求める企業多く
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業界別、『建設』では「人手不足への対応」が高く、『製造』『運輸・倉庫』では「価格転嫁対策」が目立つ
※アンケート期間は2024年9月6日~10日、有効回答企業数は1,966社(インターネット調査)
調査機関:株式会社帝国データバンク
新政権に求める経済関連政策、「中小企業支援」「物価高対策」「消費喚起策」が上位に
新政権に求める経済関連政策について尋ねたところ、「中小企業向け支援策の拡充」が47.2%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「物価高対策」が43.8%で続き、「個人消費の拡大策」(43.6%)、所得税や消費税などを含む「個人向け減税」(41.2%)といった、個人消費を促す政策が4割台で並んだ。
また、「人手不足への対応」(36.4%)、法人税などを含む「法人向け減税」(32.5%)、「年金問題の解決」(31.4%)が必要と考えている企業の割合は3割台で続いた。「財政健全化」(29.7%)および「原発の再稼働」(28.8%)の割合は3割を下回った。
規模別に比較すると、「中小企業」では、「中小企業向け支援策の拡充」および「法人向け減税」が「大企業」よりも10ポイント以上高い結果となった。
他方、「大企業」では、「人手不足への対応」や人材育成、働き方改革などの「雇用対策」といった、人材確保・定着に関連する政策を求める企業の割合が「中小企業」を5ポイント以上上回った。特に「賃上げ促進」は約15ポイント高くなっていた。
企業からは、「多くの中小企業が価格転嫁を図れず、物価高や人手不足も重なって苦しい状況が続いている。下請法による下請いじめへの対策も不十分で、大企業に利益が集中する構図が続いていると感じている」(鉄鋼・非鉄・鉱業、中小企業)や「新しい政権には中小企業の元気が出る施策をお願いしたい」(機械・器具卸売、大企業)といった声が聞かれた。
業界別、『建設』で「人手不足への対応」が高く、『製造』『運輸・倉庫』は「価格転嫁対策」が目立つ
業界別に、全体より10ポイント以上高かった経済政策の項目をみると、『建設』では2024年問題による影響を反映して「人手不足への対応」がトップとなり、全体より高く表れた。
『製造』および『運輸・倉庫』では「価格転嫁対策」が目立ち、『小売』では「個人消費の拡大策」が最も高い項目となっている。
企業からの主な声
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経済の活性化には中小企業の活性化が絶対条件。賃金の底上げを促す政策も必須と考える(建設)
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中小企業は雇用を維持するために賃上げをせざるを得ないが、粗利がないなかでは大変厳しい。中小企業をいかに盛り上げて成長につなげるかが重要で、その方向性と施策を示してほしい(機械製造)
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物価の高騰で個人消費が縮小しているため、消費拡大に向けた対策を望む(化学品製造)
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次の政権には場当たり的な補助金や給付金ではなく、税金を投入する以上その効果の実証も踏まえて、実体経済に効果のある政策を考えてほしい(飲食料品小売)
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消費税減税など国民の負担を軽減する政策を期待する(自動車・同部品小売)
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消費税減税、省力化につながる機器やシステムの導入補助金、人手不足に対応するための諸制度の見直しをしてほしい。現在の税法などがややこしすぎて、その割に効果ははっきりしない(その他の卸売)
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電気料金値下げとCO2削減の効果がある原発の再稼働を求める(パルプ・紙・紙加工品製造)
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価格転嫁の動きを広めないと中小零細企業はどんどん弱り、その煽りを大企業も受け、経済は衰退すると思う(鉄鋼・非鉄・鉱業)
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運送業界の働き方改革は人手不足のなか混乱を来すだけと感じる。次期政権は経済問題に優先順位をつけて施策を実行すべきだと考える(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)
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次期政権には、投資促進や、財政健全化・消費税率引き上げ、年金・医療等社会保障制度の抜本改革(痛みのともなう改革)に取り組んでほしい(広告関連)
本アンケートでは、5割近くの企業が新政権に「中小企業向け支援策の拡充」を取り組んでほしいと考えていることが示された。先日、帝国データバンクが実施した『岸田政権による経済政策への評価に関する企業アンケート』において、「岸田政権下では、中小企業は厳しかった」といった声が複数寄せられるなど、多くの企業で中小企業に向けた支援策を強く求める結果となった。次いで「物価高対策」のほか、「個人消費の拡大策」や「個人向け減税」といった個人消費を促す政策が4割台で並んだ。
規模別にみると、「大企業」では人材確保・定着に関連する政策が目立つ一方で、「中小企業」では中小企業への支援や法人向け減税を求める企業が多く表れる結果となった。業界別では、2024年問題に直面している『建設』で「人手不足への対応」、『製造』『運輸・倉庫』は「価格転嫁対策」を求めている様子がうかがえた。
こうした経済状況の下で、十分な価格転嫁ができない企業が依然として多いほか、消費マインドの冷え込みなど、厳しい経営環境が続くと考えられる。また、人手不足や2024年問題など構造的な課題も抱えており、多岐にわたる経済関連政策の実施が必要とされている。新政権には、有効な対策を早急に講じ、力強い景気の好循環が生まれる環境を整備することが求められる。
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