NEC、モビリティに適したAIによるマルチパス通信の最適化技術を開発
~マルチアプリ×マルチパス通信に適した切れ目のない通信を実現~
NECは、安心・安全・効率的なモビリティ社会を実現する技術として、コネクテッドカーや鉄道、ドローンなどの移動体に安定した通信を提供する、モビリティに適したAIによるマルチパス通信(注1)の最適化技術を開発しました。
モビリティ市場では、コネクテッド化、安全運転支援システムの高度化、自動運転の実用化が進む中で、安心・安全を確保するためにアプリケーションごとの品質を高信頼に保つモバイルネットワークが重要になっています。しかしながら、モビリティサービスにおいては、場所・時間・移動状況において一度として全く同じ通信状況に遭遇することはなく、最適解を予測することは困難でした。そのため、遠隔監視や車両制御など複数のアプリケーションにおけるすべての品質を高信頼に保つには不確定要素が多く、課題がありました。
本技術は、移動や輻輳によって時系列的に大きく変動する帯域を高精度に予測し、複数の車外通信を融合して車の通信要件(特性、優先度)に応じて最適に再分配することで、限られた帯域でも多様なサービスを効率的に収容しつつ、通信品質を確保することが可能です。NECは、あらゆる状況・要件に応える確かな通信を実現することで、モビリティ社会の安心・安全を支える通信に貢献します。


本技術の特長は以下の通りです。
1.高品質と高効率を両立するリアルタイムな経路選択
従来のモビリティサービスで実現が難しかったアプリケーションレベルの品質の充足度を高精度に予測し、コネクテッドカーなどの移動体側でリアルタイムにマルチパス通信の適切な経路を選択することを可能にしています。①応答性能、②QoE(Quality of Experience)、③コスト、④周辺環境(注2)の4つの要素に基づく経路選択技術と時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術(注3)により、高品質な通信を維持しつつ、収容効率を最大化するリアルタイムで切れ目のない通信を実現します。
2.マルチアプリケーション、マルチパス通信に対応した通信制御
遠隔監視、車両制御、エンタメなどアプリケーションごとの特性と、モバイル回線、衛星回線、Wi-Fiの回線特性に合わせた制御により、マルチアプリケーションを同時に利用した場合でもマルチパス通信の経路切り替えやハンドオーバー(注4)時の影響を最小限に抑えることが可能です。
3.場所・時間・移動状況の膨大な組み合わせにおける最適解導出
各エリアで収集した通信品質情報を基に、時系列変動を考慮した高精度QoE予測技術により、回線ごとのQoEを抽象化し、品質とコストを最適化する回線の組み合わせを導出することが可能です。モビリティ基盤側で、移動経路・環境条件・使用アプリケーションに合わせた経路選択が算出でき、RSP(Remote SIM Provisioning)などの技術と組み合わせることにより、エリアごとに最適な通信環境を構築することが可能になります。
NECは本技術を用いたソリューションの開発を進め、2025年度内に実用化することを目指します。
なお、NECは本技術をインターネットテクノロジーのイベント「Interop Tokyo 2025」(会期:2025年6月11日(水)~6月13日(金)、会場:幕張メッセ)で展示します。
以上
(注1) マルチパス通信
複数の異なる通信回線(例:モバイル回線(4G/5G)、Wi-Fi、衛星通信など)を同時に活用し、それらを束ねて一つの論理的な通信経路として利用する通信方式
(注2) ①応答性能に基づく回線選択
(体感品質を左右する初期応答性能を基準とした回線選択により、通信品質の向上を実現)
②QoEに基づく回線選択
(サービス毎の通信品質の充足度を統一指標とし、トラッフィックフロー毎に最適な回線選択を実現)
③コストに基づく回線選択
(サービスの要求緊急度に合わせて適正な価格の回線選択を行うことによりコスト最適化を実現)
④周辺環境の状況に基づく回線選択
(映像情報から通信端末の周囲の状況を的確に捉え、予測精度の向上を実現)
(注3) NEC、モビリティに適したモバイルネットワーク向け高精度QoE予測技術を開発
https://jpn.nec.com/press/202406/20240610_01.html
(注4) 通信を継続させるために、接続している基地局を切り替えること。端末周辺の電波強度測定結果などに基づき基地局が接続先を判断する。様々な発生契機があり、移動中だけではなく、立ち止まって通信している状態でも発生する。
<本件に関するお問い合わせ先>
NEC コアネットワーク統括部
E-Mail:contact@mnbc.jp.nec.com
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