【国立劇場4月特別企画公演】組踊と宗廟祭礼楽ユネスコの無形文化遺産に登録されている日韓の宮中芸能の共演が日韓国交正常化60周年記念事業として実現!

これまで多くの伝統芸能公演を制作、上演してきた国立劇場は、再整備期間中も伝統芸能の振興のため、首都圏の各劇場にて主催公演を続けています。
令和7年4月特別企画公演では、本年、日韓国交正常化60周年を迎えることにちなみ、ともにユネスコの無形文化遺産に登録されている、日本の「組踊(くみおどり)」と韓国の「宗廟祭礼楽(そうびょうさいれいがく)」を上演します。組踊は琉球王国に、宗廟祭礼楽は李王朝にゆかりある芸能として伝承されてきました。舞や歌、楽器の響きなどには、日韓それぞれの地で磨かれてきた美意識が息づいています。
記念の年を寿ぐ、優美かつ壮麗な舞台にご期待ください。
報道各位におかれましては、本件の皆様への周知にご協力を賜りますようお願い申し上げます。
せりふ、音楽、踊りが織り成す総合芸術「組踊」

組踊は、琉球国王の代替わりにあたり、清国の皇帝から派遣された「冊封使(さくほうし)」という使節をもてなすために創始されたもので、独特のリズムのせりふ、歌三線(さんしん)、箏、笛、胡弓、太鼓による古典音楽、ときに優美でときに躍動的な所作の舞踊が一体となって物語を描く芸能です(2010年にユネスコ無形文化遺産に登録)。なかでも「組踊を聴く」という言葉があるほど音楽性が強いのが特徴で、史実や伝説などに基づくストーリーを、表現力豊かな歌三線を中心とする響きが彩ります。
『万歳敵討(まんざいてきうち)』(1756年初演、作:田里朝直)
謝名の子は父親を殺した高平良御鎖を討とうと、僧侶である弟の慶雲にも協力を求めます。慶雲は、出家している人間が仇討ちをすれば笑いものになると断ります。しかし、兄弟揃って父親の仇を討ちたいという謝名の子に説得され、仇討ちに向かうことにします。
高平良御鎖は家で不吉なことが続いたので、汚れを祓うために浜下りをすることにします。そのことを聞いた謝名の子と慶雲は万歳(遊行芸能者)に扮して高平良御鎖に近づき、招かれて踊りを披露します。2人に殺意を感じた高平良御鎖はその場から逃れようとしますが、謝名の子と慶雲は追いつめ、討ち果たします。謝名の子と慶雲は母親に報告するため、踊りながら帰りの道を行くのでした。
〇
謝名の子が情理を尽くして慶雲を説得する場面では、組踊ならではせりふが聴きどころです。また、万歳の踊りを披露するところは本作品の見どころで、この場面は『高平良万歳』という独立した琉球舞踊の作品になるなど、名高い場面として知られています。
本公演では、組踊のほか、『かぎやで風(かじゃでぃふう)』『前之浜(めーぬはま)』『かせかけ(かしかき)』という趣の異なる琉球舞踊3作品もお楽しみいただきます。
500年以上の歴史をもつ壮麗な祭祀芸能「宗廟祭礼楽」

宗廟祭礼楽は、李王朝の歴代国王の位牌が祀られている宗廟における祭祀の際に行われる芸能のことです(2001年にユネスコ無形文化遺産に登録)。15世紀中頃に形が定まって以来、500年以上にわたり受け継がれてきました。現在では毎年5月に執り行われ、韓国を代表する総合的な芸能として知られています。
上演される音楽(歌と器楽演奏)と舞は、宮中の宴に用いられた「保太平」(ポテビョン/歴代国王の文徳を称える)と「定大業」(チョンデオプ/歴代国王の武徳を称える)を中心に構成されています。それぞれ11曲からなり、前者では雉の羽と笛を手にした「文舞」が、後者では盾と鉞を持った「武舞」が舞われます。
重層的に響く笛や琴(箏)の響き、多彩な打楽器が刻むリズムが歌とともに息の長い旋律を生み出し、文舞でゆったりとした舞が一体となって作り上げる舞台は壮麗そのものです。また、武舞では勇壮な動きも取り入れられ、文舞との対照が光ります。

本公演では、宗廟祭礼楽を継承する韓国の国立国楽院より音楽を担当する正楽団と舞を担当する舞踊団の約70名の実演家が来日し、その魅力を余すところなくご覧に入れます。
日韓国交正常化60周年記念事業
国立劇場 第56回特別企画公演
組踊と宗廟祭礼楽 -日韓宮中芸能の共演-
令和7年4月19日(土)午後1時開演(午後3時30分終演予定)
日本
琉球舞踊
老人踊 かぎやで風(かじゃでぃふう) 石川直也・新垣 悟
二才踊 前之浜(めーぬはま) 宮城茂雄
女 踊 かせかけ(かしかき) 田口博章
組 踊
万歳敵討 指導=眞境名正憲
謝名の子 宮城茂雄 慶雲 玉城 匠 高平良御鎖 宇座仁一
真鍋樽 新垣 悟 娘 田口博章 列女一 髙井賢太郎
列女二 堀川裕貴 供一 知花令磨 供二 森山和人
きやうちやこ持ち 國場海里 道行人 石川直也
〔地謡〕歌三線=仲村渠達也・仲田知広・徳田泰樹 箏=糸数成美 笛=澤井毎里子
胡弓=又吉恭平 太鼓=宮里和希
韓国
宗廟祭礼楽 国立国楽院〈韓国〉
国立国楽院正楽団芸術監督=李虔會
国立国楽院舞踊団芸術監督=金忠漢
主催=独立行政法人日本芸術文化振興会、大韓民国国立国楽院
協力=公益財団法人国立劇場おきなわ運営財団
協賛=駐日韓国大使館 韓国文化院
【会場】
文京シビックホール 大ホール
(〒112-0003 東京都文京区春日1-16-21
文京シビックセンター1階)
東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」直結
JR中央・総武線「水道橋駅」から徒歩約10分

【入場料金 (税込・全席指定)】
1等席 9,000円(学生6,300円)/2等席 8,000円(学生5,600円)
※障害者の方と介護者1名は2割引です(他の割引との併用不可)。
※車椅子用スペースがございます。詳細はチケットセンターまでお問い合わせください。
※インターネットでも学生料金・障害者割引による申し込みが可能です。
※残席がある場合、公演会場にて当日券のみ窓口販売いたします(当日券窓口 正午~開演前)。
国立劇場について
日本の伝統芸能の保存及び振興を目的として昭和41年(1966)に開場。外観は奈良の正倉院の校倉造りを模している。大劇場・小劇場・演芸場・伝統芸能情報館を備え、多種多様な日本の伝統芸能公演、初心者や外国人を対象とした解説付きの鑑賞教室を上演。
老朽化による再整備事業のため、令和5年(2023)10月末に閉場。外部劇場にて主催公演を継続して上演している。
所在地:東京都千代田区隼町4-1 03-3265-7411(代表)

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