【全国の消防本部や消防職員を目指す方へ】活動と経験を未来へつなぐ―豊橋市消防本部が高塚町林野火災の消火活動を取りまとめた記録を公表
豊橋市高塚町林野火災は、2026年3月14日に発生し、約2.8ヘクタールを焼損、発生から4日後に鎮火しました。
この火災では、豊橋市として初めて、火災を災害種別とする災害対策本部を設置し、全庁を挙げて対応したほか、消防防災ヘリコプターによる空中消火活動と地上消防部隊が一体となった消火活動を展開しました。
約2.8ヘクタールもの広大な林野火災の経験は、豊橋市としては近年無かったことで、今回の経験を今後の林野火災での災害対応力向上に活かすことを目的として『豊橋市高塚町林野火災の記録』を取りまとめました。
担当者は、「全国の消防本部でも共有してもらい、消防活動能力の向上につなげてもらいたい」と話します。
また、消防職員の現場での活動の実際が詳しく記されているため、今後消防職員を目指す方にも一読いただきたい記録です。

消火活動の状況を分単位で記録
『豊橋市高塚町林野火災の記録』では、火災現場の概要や当時の気象状況だけでなく、火災対応の状況が分単位で時系列順に記されています。
林野火災では、その性質上、ヘリコプターを利用した空中消火を火災発生の初期段階から活用することが求められています。今回の事案でも、発災後速やかに名古屋市消防航空隊へ応援要請を行い、発災当日からヘリコプターによる空中消火を行っています。翌日には、三重県防災航空隊も加わり、ヘリコプター2機体制による効果的な空中消火を行いました。自衛隊ヘリコプターについても、早い段階から、市及び県の災害対策本部を通じて、災害派遣の調整を行っていることが分かります(延焼状況を踏まえ、災害派遣なし)。

UTMグリッドマップを用いた相互の位置共有
UTMグリッドマップ(全世界共通の座標系をもとに、地図上に格子状のグリッドを表示した地図)を利用し、指揮隊・地上部隊・航空部隊が相互の位置情報を共有できたほか、航空部隊の空中消火の位置が把握できたことで、高度な連携が実現できました。
また、各活動隊が現場で使用するモバイル端末の地図アプリでも同様のグリッド線を表示したことで、自隊の正確な位置情報を取得することができ、効果的な活動に繋がりました。

「本書の肝」今後の活動に生かすために-課題と奏功事例-
本書の後半部分には、担当者が「本書の肝」と語る「第8 活動における課題について」と「第9 活動における奏功事例について」がまとめられています。
隊員からの聞き取り等により判明した「課題」では、今回の活動地域の一部が無線機や携帯電話が使用できない不感地帯であったことにより情報伝達に支障をきたしたことや、ドローンの運用体制を強化する必要性など、実際に現場を経験したからこその課題が見つかりました。
一方で、「奏功事例」では、先述のUTMグリッドマップとドローンの映像を照らし合わせたことで延焼規模の確認がスムーズに行えたことや、指揮本部に豊橋市の災害対策本部からリエゾン(災害対策現地情報連絡員)が来署したことで、関係各所との情報共有が速やかに実施され、指揮本部が災害対応に集中できたことなどが掲載されており、これまでの検討の積み重ねや訓練が実際の現場で生かされた事例を振り返っています。
豊橋市消防本部では、今回の災害で得た課題に対する対策を講じ、今後の消防活動に活かすとともに、各種対応要領の改善を図ります。
ホームページから誰でも閲覧可能
「豊橋市高塚町林野火災の記録」は、豊橋市役所ホームページで閲覧することができます(https://www.city.toyohashi.lg.jp/3170.htm)。担当者は、全国の消防本部の方に「豊橋市の事例を参考に、消防活動能力の向上につなげてほしい」とする一方、一般の方にも閲覧できるようにした理由として、「今回の火災は、地元の方からの関心も非常に高かった。市民の皆さんにも一読してもらうことで、消防本部がきちんと記録を残し、次への対策を講じていることを知ってもらい、安心につなげていただきたい」としています。
これまでの災害でも「消防活動の記録」を作成
2023年6月2日に発生した台風6号に伴う大雨被害では、豊橋市でも1人の方が亡くなり、160件超の床上床下浸水や130件超の車両被害など甚大な被害を受けました。消防本部では、消防職員延べ632名、消防団員延べ1,264名が昼夜を通して配備に就き、74件の事案に出動しました。これらの経験まとめた「令和5年6月2日台風2号に伴う大雨被害における消防活動の記録」を作成し、ホームページで公表しています。(https://www.city.toyohashi.lg.jp/3170.htm)
「大雨被害における消防活動の記録」では、消防本部における分単位の対応状況や事後対応だけでなく、実際に現場で対応にあたった隊員たちの手記が収められており、命の危険と隣り合わせの現場で、市民を助けるためにどのような手段を取ったかが詳しく記されているだけでなく、未曽有の災害に立ち向かう奮い立つ気持ちや危機感、対応後の安堵の気持ちなどを生々しく感じ取ることができます。
大雨災害に関わる全国の消防本部の方はもちろん、消防隊員の活動の詳細を知らない市民の方や、今後消防職員を目指す方にもぜひ一読してほしい記録です。

高塚町林野火災の原因は「炭火の不始末」と推定
本書内では、原因は「調査中」とされていますが、のちに「炭火の不始末」と推定されました。火災の現場となった海岸では、バーベキューを行った際などの炭火が、火が付いたまま放置され、近くの草木に燃え移ることがあります。
豊橋市消防本部では、バーベキューを行う機会が増える夏休みに合わせ、消防車やチラシによる啓発活動を行っています。

2026年4月から「林野火災注意報・警報」の運用を開始
全国的に林野火災が相次ぐ中、豊橋市では火災予防条例等を一部改正し、より実効性の高い予防策を講じるため、2026年4月から林野火災注意報・警報の運用を始めました。乾燥が進む1月から5月までを発令期間とし、国からの通知に基づく指標により発令します。
険しい地形や限られた道路状況により、消火活動が困難な山林火災は、ひとたび発生すれば甚大な被害をもたらす恐れがあり、事前の予防が何より大切です。発令時には市民に対して消防車による巡回広報や、豊橋ほっとメール(登録型メール)などを活用してお知らせします。
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