【国立科学博物館 筑波実験植物園】世界最大級のラン、グラマトフィルム・パンテリヌムが開花!

文化庁

 国立科学博物館筑波実験植物園(園長 遊川 知久)で、国内ではほとんど例のない、世界最大級のラン、グラマトフィルム・パンテリヌム(Grammatophyllum pantherinum)の開花に成功しました。

 世界最大級のラン、グラマトフィルム・パンテリヌムが、国立科学博物館 筑波実験植物園 水生植物温室で満開を迎えています。

 現在、草丈230cm、花茎の長さ226cm(さらに伸長中)、5本の花茎にはそれぞれ約75輪の花が着いています。この種はボルネオなどの熱帯雨林の高木の枝に生え、生育環境の再現が困難なため自生地以外での開花はたいへん難しく、国内ではわずかな例しかありません。当園では初めての開花となります。この開花により、謎の多い本種の生物学的特性が明らかになります。見頃は6月下旬まで。

満開のグラマトフィルム・パンテリヌム。温室内、高さ約4mから見下ろす。6月3日

 グラマトフィルム・パンテリヌム(Grammatophyllum pantherinum)は、ボルネオ島、ニューギニア島とその周辺の島々の熱帯低地林の木に着生して暮らすラン科植物です。グラマトフィルム属は熱帯雨林の高木の枝(林冠)に生えるためアクセスが困難、開花がまれ、個体が大きすぎて栽培困難、といった理由でこれまで研究が遅れていました。筑波実験植物園では本属の研究を行い、分類の混乱を正すとともに、DNA情報を使い進化の道筋を明らかにしました(参考情報参照)。

 このたび開花した個体は2013年に栽培を開始しました。12年間の技術職員の試行錯誤の結果、開花に初めて成功しました。現在、草丈230cm、花茎の長さ226cm(現在伸長中でさらに伸びます)、5本の花茎にはそれぞれ約75輪の花が着いています。自生地では、草丈3〜4mに成長した記録があります。この開花により謎の多い本種の生物学的特性が明らかになるため、現在、さまざまなデータを記録しています。

 このほか、国内でほとんど花を見ることができない巨大なラン、バンドプシス・リッソキロイデス(Vandopsis lissochiloides )(熱帯雨林温室)や、反対に世界最小クラスの花を着けるヨウラクラン属(Oberonia sp.)(水生植物温室)、プラティステレ・ステノスタキア(Platystele stenostachya)(水生植物温室)も園内で植栽されており、現在、開花中です。合わせてご覧いただくことで、ランのサイズの究極の多様性を感じていただくことができます。

 また、6月8日(日)〜15日(日)まで「つくば夏の洋蘭展」を開催します。ラン栽培では日本屈指のつくば洋蘭会の会員が、丹精込めて育てた最新の園芸品種、珍しい野生種などを一堂に展示します。夏ならではの魅力あふれるランの世界をお楽しみください。

 学   名:グラマトフィルム・パンテリヌム(Grammatophyllum pantherinum

 科   名:ラン科

 分   布:ボルネオ島、ニューギニア島とその周辺の島々の熱帯低地林の木に着生

 見ごろ期間:6月下旬までと予想

 展 示 場 所:国立科学博物館 筑波実験植物園 水生植物温室

水生植物温室で開花中のグラマトフィルム・パンテリヌム。5月20日

花のクローズアップ。花径約10cm。大部分の花は6枚の花弁 ※写真左(1枚は中心の赤紫色の部分)だが、※写真右(花茎基部の約7輪は4枚の花弁)しかつけない。花が二型となる意義は謎である。

水生植物温室の高さ約3mの位置から屋根に向かって花茎がぐんぐん伸びている( ➡ )

【参考情報】 

 筑波実験植物園ではグラマトフィルム属の研究を行い、分類の混乱を正すとともにDNA情報を使い進化の道筋を明らかにしました。その結果、この植物が日本のシュンランの仲間とたいへん近縁であること、これまでグラマトフィルム・スペキオスム(Grammatophyllum speciosum)から区別できないとされていた本種が別種となることを解明しました。下記の出版物で成果を公表しています。

遊川知久ら, 2002. Molecular phylogeny and character evolution of Cymbidium (Orchidaceae). Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series B (Botany) 28: 129-139.

遊川知久ら, 2013. Molecular identification resolves taxonomic confusion in Grammatophyllum speciosum complex (Orchidaceae). Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series B (Botany) 39: 137-145.

【6月の筑波実験植物園展示情報】

令和7年6月8日(日)~6月15日(日)まで「つくば夏の洋蘭展」開催

協力団体展示「つくば夏の洋蘭展」ポスター

 【開園時間】9:00~16:30(入園は16:00まで)

       ※但し、6月8日(日)は17:00まで開園 30分延長

 【休 園 日】毎週月曜日(祝日・休日の場合は開園)

        祝日・休日の翌日(土曜・日曜日の場合は開園)

      

 【入 園 料】一般 320円(高校生以下および65歳以上は無料)

        団体 250円(20名以上)

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4
電話番号
075-451-4111
代表者名
都倉俊一
上場
未上場
資本金
-
設立
1968年06月