パレスチナ・ガザ:電力不足で使用できる水量が3割減少 未処理の下水による海岸の汚染も【報道参考資料】
3歳未満児の下痢は過去3カ月で2倍
【2017年8月21日 エルサレム 発】
ガザ地区では電力危機が悪化し、一般家庭に電力が届けられるのは一日6時間未満となっています。この海岸沿いの包囲された地域には200万人が暮らし、その半数を子どもが占めます。
電力不足によって、使用できる水の量は、過去4カ月間に3分の1も減少しました。
夏の暑い気温の中で、450カ所以上の上水道および下水処理施設が電力不足の影響を受け、水に起因する病気の危険が高まっています。この3カ月間で、下痢の症状を訴える3歳未満の子どもの数は2倍以上に増加しました。
「暑さと電力不足、下水の悪臭と水に起因する病気への懸念が、多くの家庭に深刻なストレスを与えています」と先週ガザ地区を訪問したユニセフ(国連児童基金)パレスチナ事務所代表のジュネビエーブ・ボウティンは述べました。
ユニセフが欧州連合(EU)からの資金協力を得て支援している海水の脱塩浄水場は、7万5,000人に安全な飲み水を供給するために建設されましたが、現在は、緊急用燃料を用いた発電機に頼っており、供給水量を減らして運転しています。
毎日、10万立方メートル以上の下水が、ほぼ未処理のまま地中海に流されています。子どもたちにとって数少ない遊び場の海岸も、今ではその3分の2が汚染されています。
病院を含む子どもの命に関わる施設にも電力が十分に供給されず、現在は、人道支援物資として提供された燃料を用いた非常用発電機を常時運転することで対応しています。
責任あるすべての当事者は、子どもたちが必要とする保健、水と衛生、教育や保護といった基本的ケアを受けられるように、水と衛生、電力の危機を解決するために迅速に行動する必要があります。子どもたちにはこれらの基本的ケアを受ける権利があり、また彼らの生存と健康的な暮らしのためにこれらは必要不可欠なものなのです。行動しないという選択肢はありません。
ユニセフがガザの子どもたちのために提供する緊急支援に必要な資金のうち、1,600万米ドルが不足しています。この中には、弱い立場に置かれたコミュニティの人々への安全な飲み水や、基本的な衛生用品などの提供、そして子どもたちにとって必要不可欠かつ命を守る保健支援に必要な資金590万米ドルが含まれます。
■ガザの状況について
•ガザ地区では、一般家庭への月平均の電力供給量が、2月は182メガワット、7月には127メガワット、さらにここ数日間は113メガワットにまで減少し、3分の1の量が削減されました。ガザ地区で24時間電力供給するために必要な600メガワットに対し、現在の供給量はわずか5分の1です。
•使用できる水の量は、過去4カ月間に、1人1日当たり平均84リットルから53リットルへと、3分の1減少しました。国際基準で最低とされる1日100リットルに対して、半分近くの水量です。南部の県の状況はさらに悪く、使用量は1人1日当たり40リットルにまで落ち込んでいます。
•3歳未満の子どもの下痢の症例が、3月の1,483件近くから、6月には3,713件に増加し、過去3カ月の間に2倍以上になりました。
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■ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、 http://bit.ly/2wDnK4T からご覧いただけます。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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