人手不足倒産は過去最多を更新、2年連続の大幅増 前年比1.3倍の342件、建設・物流業が全体の約4割

人手不足倒産の動向調査(2024年)

株式会社帝国データバンク

人手不足によって事業継続の断念に追い込まれるケースは、一層深刻化してきた。2024年に従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産は、累計で342件が発生。年間ベースとして、調査を開始した2013年以降の過去最多を、2年連続で大幅に更新した。

人手不足を感じている企業の割合は2024年12月時点で52.6%となり、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで一時的に緩和された2020年以降は急上昇し、高止まりが続いている。また、いわゆる「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に代表されるように、労働者の高齢化も深刻だ。今後もマンパワーの拡大は期待しにくいことから、人手不足による倒産は今後も高水準で推移すると予想される。

<調査結果>

  1. 人手不足倒産は過去最多を更新 2年連続の大幅増

  2. 建設・物流が全体の4割も、飲食店・美容業などでも急増

  3. 就業者数や労働時間の減少によって、今後も深刻な人手不足倒産は高水準で続くと予想

人手不足倒産:法的整理(負債1000万円以上)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等による人手不足が要因となった倒産


「2024年問題」に直面した建設・物流業は2年間で急増 サービス業でも件数増

2024年の人手不足倒産は、累計342件に達した。前年の260件から約1.3倍と大幅に増加し、2年連続で過去最多を更新した。業種別では、建設業が99件(前年比+8件)で最も多く、物流業も46件(同+7件)と高水準だった。新たな時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した両業種で全体の4割強を占めた。

その他、労働集約型の産業である飲食店(16件、同+7件)や美容室やネイルサロンなどの美容業(9件、同+5件)、労働者派遣業(8件、同+5件)、警備業(6件、同+5件)なども急増した。

建設・物流業の人手不足は、労働時間の減少かつ高齢化によってさらなる難局か

人手不足倒産のなかでも最も多くを占めている建設業は、今後も深刻な人手不足が想定される。業種別のなかでも景況感は高水準であるなか 、毎月勤労統計を見ると総実労働時間や出勤日数など、2024年は減少傾向にある。時間外労働の上限規制が影響したと考えられるが、人手不足のなか労働時間も減少したことで、より経営の舵取りが困難になったといえるだろう。

加えて、高齢化の波も押し寄せる。就業者に占める60歳以上の割合は、建設業で23.9%と全業種を大きく上回る。物流業では18.6%となり建設業と比較してやや低いものの、50歳以上の割合では49.5%と約半数にのぼる。今後も建設・物流業における労働時間と就業者数はいずれも増加が見込みにくく、省力化・効率化が急がれる。

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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000
代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月