為末大が半生をかけて考え抜いた「いかに学ぶべきか」という命題への答え『熟達論――人はいつまでも学び、成長できる』が7月13日に発売決定。
基礎の習得から無我の境地まで、人の成長には5つの段階がある。その階段を昇るのに年齢は関係ないのだ。貴重な経験と深い内省、さまざまな分野の賢人たちとの対話を通じて磨き上げた人生を極めるためのバイブル。
スプリント種目の世界大会(世界陸上)で日本人として初めてメダルを獲得(計2回獲得)、3度のオリンピックに出場、男子400mハードルの日本記録保持者(いまだ破られず)――優れた成績を残しながら、あくなき探求心から「走る哲学者」の異名も持つレジェンド・為末大さんが最も書きたかったという本、それが本作です。単なる習得でも上達でもない「熟達」とは何か。人生全般に通じるエッセンスを深く考察し平易に綴った『熟達論――人はいつまでも学び、成長できる』を7月13日、新潮社より刊行いたします。
<アスリートは、自分の競技生活でうまくいかず悩んだことにこそ興味を持つ。>為末さんは本作のまえがきでそう書いています。コーチをつけずに世界一を目指して競技をしていた為末さんにとって、それは<あらゆるアドバイスや批判がある中で何を大切にし、どう自分を鍛えればいいのか>ということでした。だから、<人間がどのように学んでいるかに興味を持った。様々な要素がある中で、それらを統合し、いかにして極めていくのかを知りたかったのだ>といいます。
競技生活を通じて技術と自己の探求を続けてきた為末さんは、やがてこう考えるようになります。
<トップアスリートはすごい。だが、考えてみると、人間である以上、誰しも生まれてから様々なことを身につけるのだから、共通した学習システムがあるはずだ。100メートルを9秒台で走ることも信じられないが、私たちは誰に教わらなくとも、学習することで歩き走れるようになる>
<人はどうやって学んでいるのだろうか。なぜうまくなるのだろうか。学習する中でその人の内側で何が起きているのか。何がその人の成長を阻害するのか。そしてどうやって切り抜けるのか。外から働きかけることで、その人の成長を促すことはできるのか。どうやって問題に「気づいて」いるのか。そんなことを考え始めたら止まらなくなることがよくあった。夢中で陸上競技を探求していくうちに、自分という存在を通じて人間を理解していく感覚があった。何かができるようになり、できるようになることで自分自身が変化するという熟達のプロセスだ。引退したあと、時間ができたこともあり、興味が爆発した。あらゆる熟達の達人、熟達者に会えるということにおいて、これほど元オリンピアンでよかったと思ったことはなかった>
将棋の羽生善治さん、囲碁の井山裕太さん、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授、車椅子テニスの国枝慎吾選手、ワールドバリスタチャンピオンの井崎英典さん、ラグビーのエディー・ジョーンズ監督、臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺老師といった名前の知られたかたがたのみならず、優れた技術を持ったひとたちに話を聞き、どんな学習プロセスだったのかを学ぶうちに、為末さんはいくつもの共通点に気づくことになりました。「基本となるものを持っている」「迷うと基本に返っている」「人生で何かに深く没頭した時期がある」「感覚を大事にしている」「おかしいと気づくのが早い」「自然であろうとしている」「自分がやっていることと距離をとる態度を身につけている」「専門外の分野から学んだ経験がある」――。
ジャンルを超えたさまざまな達人たちの学びの軌跡が交差したところに、本作が生まれました。熟達者たちの話に耳を傾け、自身の競技生活を振り返り、思索を重ねながら探求を深め、「答え」を求めてきた為末さんの足取りこそが、熟達への道だったと言えるかもしれません。経験と考察が融合して結実した本作は、「人生をよりよく生ききる」ためのバイブルとして、自身の探求と成長を求めてやまない読者の歩みを助けてくれると確信しています。
【著者コメント】
「これまでに何冊か本を書いているが、本当に最初から最後まで自分だけで書き上げたのは今回が初めてだった。特に「空」の世界を描くときの没頭感は競技をやっていた時代を思い出した。走ることと書くことは似ている。今回、文章を考えているうちに夢中になって自分が消え去る感覚に陥ったことが何度かあり、改めてそう感じた。
あらゆる領域での「熟達」に関することを解析するのが本書の目的だから、本当はもっと多様な例を使って書き進めたかったが、振り返ってみるとほとんど身体とスポーツの例ばかりになってしまっていた。嘘をつかず体験に根ざした実感のあることだけで書こうと意識したのだから、私の人生経験を考えるとしょうがないと言えばしょうがないのかもしれない。
ただ、スポーツを例として多用していることのメリットもあると考えている。私はスポーツの定義を「身体と環境の間で遊ぶこと」としている。身体というインターフェースを通じて外界に働きかけ、外界から返ってくる反応を感じ取り、働きかけを変化させ、それを面白がる。これはスポーツ以外の分野でも含まれる要素だから、熟達プロセスが理解しやすくなったのではないかと自負している。」(「あとがき」より)
【目次】
序 熟達の道を歩むとは
第一段階 遊 不規則さを身につける
第二段階 型 無意識にできるようになる
第三段階 観 部分、関係、構造がわかる
第四段階 心 中心をつかみ自在になる
第五段階 空 我を忘れる
【書籍内容紹介】
基礎の習得から無我の境地まで、人間の成長には5つの段階がある。では、壁を越え、先に進むために必要なものは何か。自分をどう扱えばいいのか。「走る哲学者」が半生をかけて考え抜き、様々なジャンルの達人たちとの対話を重ねて辿り着いた「いかに学ぶべきか」の方法論であり、「人生を極める」ためのバイブル。経験と考察が融合した現代の「五輪書」誕生!
【著者紹介】
為末大 Dai Tamesue 元陸上選手
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2023年6月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行う。Deportare Partners代表(https://www.deportarepartners.tokyo)。主な著作に『Winning Alone』『走る哲学』『諦める力』など。
◾️書籍データ
【タイトル】『熟達論 人はいつまでも学び、成長できる』
【著者名】為末大
【発売日】7月13日
【造本】四六判ハードカバー
【定価】1980円(税込)
【ISBN】978-4-10-355231-4
【URL】 https://www.shinchosha.co.jp/book/355231/
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