【絶対にやめてください!】国指定天然記念物「葦毛湿原」で極めて重大な自然破壊行為が確認されました
東海地方を代表する湧水湿地「葦毛湿原」で、指定地外からの植物の持ち込みが確認されました。今回確認されたのは、「サギソウ球根の投げ込み」です。
園芸種や外国産植物、国内種でも他地域の植物を持ち込むと、葦毛湿原の植物と交雑して雑種になり、葦毛湿原の在来種は絶滅したことになってしまいます。その場所本来の固有の植物を絶滅に追いやることになる極めて影響の大きい自然破壊行為です。絶対にやめてください!
豊橋市文化財センターでは、本件を文化庁や豊橋警察署に報告・相談するとともに、現地に警告文を記した看板を設置する予定です。

葦毛湿原とは
令和3(2021)年10月16日に国指定天然記念物となりました(指定面積は32,684㎡)。愛知県豊橋市東部の弓張山地山麗の緩斜面に広がる日本最大規模の湧水湿地であり、東海丘陵要素植物、暖地系植物、寒地系植物、大陸系遺存植物といった様々な植物群が混在して生育しています。市街地近郊にあり、多くの方がハイキングに訪れます。
葦毛湿原は、家庭などへのガスの普及と共に里山としての管理が行われなくなり、森林化が進行していた場所でした。その森林化した湿地を再生・保護するための先進的な取り組みとして、2013年1月から大規模植生回復作業が続けられており、国・県絶滅危惧種など絶滅していた21種類のうち、15種の植物を復活させるなど、行政・研究者・地元のボランティア団体など多くの関係者の協働により湿地の再生を成功させました。
秋になると一面に咲き誇り見ごろを迎える、国の絶滅危惧Ⅱ類に指定されているシラタマホシクサは、この湿原を代表する植物とも言えます。


サギソウ球根の投げ込みについて
令和8(2026)年8月12日、木道沿いの狭い範囲に多くのサギソウが開花している事を発見しました。サギソウは、葦毛湿原在来の植物ではありますが、今回の開花状況が、自然界ではありえない生え方をしており、サギソウ球根が投げ込まれた事が原因と判断されました。球根の投げ込みは3月ごろに行われたと推定されます。
豊橋市文化財センターと豊橋湿原保護の会は、8月25日にサギソウの除去作業を実施。5地点で213株を除去しました。


サギソウ球根の投げ込みは、これまでも令和2(2020)年と令和7(2025)年に確認されており、いずれも豊橋警察署に相談しています。
サギソウは自宅でも育てる事ができる植物で、「葦毛湿原のサギソウを増やしたい」との善意の行動だった可能性もありますが、これは葦毛湿原の環境に大きな影響を与える環境破壊行為です。絶対にやめてください。過去に投げ込まれたサギソウの球根からは、植物ウイルスに感染していたものも確認されています。
球根投げ込みの問題点
国内在来種のサギソウと栽培種とは容易に交雑してしまいます。園芸種や国内種であっても、他地域の植物を持ち込むことは、その場所本来の固有の植物を絶滅に追いやることになる、極めて影響の大きい重大な自然破壊行為です。交雑することにより遺伝子汚染が起き、雑種なってしまうためです。雑種になってしまったものは、オリジナルの地域固有種としては認められず、絶滅したと判断されます。
自然保護の考え方
生物多様性の保全を基本にした自然保護は、各地域に固有の生物を保護していくことが基本であり、その地域に固有の多様な環境を大切に保全していく必要があります。
葦毛湿原の植物は持ち帰らないでください!
葦毛湿原内の植物や昆虫を持ち出すことは禁止されています。これまでにもトキソウやハルリンドウ、コオニユリ等、葦毛湿原にとって絶滅の危機にある貴重な植物が盗掘される被害がありました。持ち帰りも、自然破壊行為です。
また、湿原保護のため、木道以外の場所を歩いたり、写真撮影のために三脚を立てたりすることは禁止です。ペットの持ち込みもご遠慮ください。
10月17日(土)葦毛湿原再生フォーラムを開催します
「葦毛湿原の再生」を演題に開催されます。湿原内に樹木が侵入するなど遷移が進んだため、2013年1月から大規模植生回復作業が行われました。講演では、葦毛湿原調査員の吉田豊さんと市文化財センターの贄元洋学芸員が、どのような方法で植生回復を行ったのかを説明し、葦毛湿原の良好だった過去の状態からどのように遷移が進み、植生回復作業後、どのように再生したかを話します。

会場 豊橋市民センター「カリオンビル」多目的ホール(豊橋市松葉町)
開催時間 午後2時~午後4時30分(開始30分前に開場)
定員 99人(当日先着順、事前申し込み不要)
受講料 500円
その他 ご来場の際には、公共交通機関をご利用ください
問合せ 豊橋市文化財センター(0532-56-6060)
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