2024年度の人手不足倒産、過去最多の350件 「2024年問題」から1年経過、 建設・物流業で高水準続く
人手不足倒産の動向調査(2024年度)
<調査結果>
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2024年度の人手不足倒産は350件発生し、2年連続で過去最多を更新した
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業種別では、建設業が111件(前年度比+17件)で最も多く、全体の約3割を占めた。
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適正な価格転嫁が進まない状況が続くと、賃上げ余力のない小規模事業者を中心に、今後も人手不足倒産は高水準で推移することが見込まれる。

株式会社帝国データバンクは、従業員の離職や採用難等による人手不足を要因とする「人手不足倒産」の発生状況について調査・分析を行った
集計期間:2013年1月1日~2025年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
2024年度の人手不足倒産は350件、2年連続で過去最多を更新
従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、2024年度に350件判明した。前年度(313件)は、2013年度の集計開始以降で最多となっていたが、それをさらに上回る結果となった。
業種別では、建設業が111件(前年度比+17件)で最も多く、初めて100件を上回り、全体の約3割を占めた。次いで多かったのは物流業の42件で、前年からは減少(同-4件)したものの、引き続き多くを占めた。両業種ともに以前から深刻な人手不足の影響による倒産が多発していたが、2024年4月に時間外労働の新たな上限規制が適用された「2024年問題」を受けて、人手不足倒産が引き続き高水準で発生し続けている。

足元では賃上げに向けた動きが活発化している。大企業が若手人材のさらなる採用強化に乗り出したことで「初任給30万円時代」とも呼ばれるようになり、また政府が最低賃金を2020年代に全国加重平均1500円へ引き上げると表明したことなどから、今後も賃上げ機運はさらに加速すると予想される。さらに、より良い待遇を目指す動きが強まったことで転職者数も増加している。そうした背景から、人材獲得競争はますます激化するとみられ、賃上げ余力を有していない小規模事業者を中心に、「賃上げ難型」の人手不足倒産が高水準で推移すると見込まれる。
人材の確保・定着に欠かせない賃上げの原資を捻出するうえで、価格転嫁がカギとなる。しかし、受注競争が厳しい業界において価格転嫁は容易ではない。実際に、全業種平均の価格転嫁率は40.6%(100円のコストアップに対して40.6円を売値に転嫁できた計算)だったのに対して、建設業は39.6%にとどまり、物流業も32.6%と厳しい。価格転嫁率の調査を開始した2022年当時より上向いてきたものの、「価格転嫁を取引先に説明する際に、モノの値上がり分であれば納得されやすいが、賃上げ目的だとなかなか受け入れてもらえない」との声も聞かれる。今後、「価格転嫁→賃上げ」という流れが実現するかどうかが、人手不足倒産の動向を占う指標の一つとなろう。

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