「東京都美術館開館100周年記念 あなたが世界を読むために」2026年11月19日(木)~2027年1月11日(月・祝)開催!
「世界との対話」をテーマにした、開館100周年の企画展!
東京都美術館では、2026年11月19日(木)~2027年1月11日(月・祝)まで、「東京都美術館開館100周年記念 あなたが世界を読むために」を開催します。
本展は、多様な「読み方」による「世界との対話」をテーマにした、東京都美術館開館100周年記念事業の締め括りとして実施する企画展です。アルベルト・ジャコメッティ、砂澤ビッキ、谷川俊太郎、エレナ・トゥタッチコワ、山西もも――。さまざまなアーティストとジャンルを横断する展覧会となります。
アートを通して、私たちは、どのような「世界との対話」が可能なのでしょうか?
1926(大正15)年5月、日本で最初の公立美術館として誕生した東京都美術館は、2026(令和8)年に開館100周年を迎えました。本展は、この節目を記念し、東京都美術館が使命として掲げる「自己を見つめ、世界との絆が深まる創造と共生の場」を礎に、「世界との対話」を主題に開催するものです。
読むとは、未知の領域に向かい、感覚を研ぎ澄まし、手探りで認識を深めていく能動的な行為です。本展では、それぞれの時代や制作の背景が異なる五人のアーティスト――アルベルト・ジャコメッティ、砂澤ビッキ、谷川俊太郎、エレナ・トゥタッチコワ、山西もも――による作品を通して、「光で読む」「時で読む」「言葉で読む」「自然から読む」、そして「全身で想像する」という読み方から、世界との対話の多様な在りように触れていただきます。

五人の彫刻、写真、言葉、絵画の数々は、さまざまな鑑賞体験へと誘います。そのとき、自らの存在を支えている「何か」に触れる瞬間があるかもしれません。
新たな世界への扉を開く鍵は、作品に心を寄せる一人ひとりの内にあります。
本展を通して、そのことを体感していただければ、これに勝る喜びはありません。
みどころ
(1)時代とジャンルを横断する作品の連鎖
20世紀彫刻の巨匠アルベルト・ジャコメッティ、近年、国際的な評価の高まりをみせる砂澤ビッキ、日本を代表する詩人の谷川俊太郎、多層的な作品を生み出すエレナ・トゥタッチコワ、新進気鋭の山西もも――。異なる表現の響き合いが会場全体に広がります。
(2)開館100周年記念にふさわしいテーマ
「新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる創造と共生の場」を理念とする、東京都美術館100周年にふさわしいテーマ。五人の出品作家の多様な世界との対話の在りようにより、来場者それぞれの「世界を読む」ための新しい視点を得る機会となるでしょう。
(3)新作の展示
エレナ・トゥタッチコワは、セラミックの連作「Islands」をはじめ、出品作品のすべてが新作の予定です。山西もものピンホール写真は、2025年12月、ネパールで撮影された新作を中心に構成。アンモナイトの化石の鋳物にガラスを加えた新作も発表の予定です。
以下、展示の構成順に沿って、内容をご紹介します。
1.光で読む――アルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)


アルベルト・ジャコメッティは、細長い人体像で知られる彫刻家です。彼は、作品の大小に関わらず、彫刻の在り方は同じであるべきという信念をもっていました。その彫刻はどれも光によって驚くほどの変化を見せます。
「巣」と評されたパリのアトリエには、制作の苦闘を物語る石膏の残骸が溢れていました。作っては壊し、また作っては壊す――終わりなき日々が繰り返されていたのです。
二十年以上にわたり彼を撮影した写真家のエルンスト・シャイデッガー(1923-2016)は、ジャコメッティの石膏像には「光の遊び」があると語っています。光によって変化する石膏像を撮ることは、彼にとって何よりの歓びでした。
彫刻(家)を見つめ続けた写真家の言葉には、創造の核心に迫る手がかりが潜んでいます。
存在とは、言語による説明を超え、光によって揺れ動くものなら――。
震えるような彫刻に宿る「光の顕れ」こそが、彫刻家に仮初の終わりを告げる、鮮烈な瞬間だったのかもしれません。
アルベルト・ジャコメッティ Alberto Giacometti
スイスに生まれる。20世紀を代表する彫刻家のひとり。シュルレアリスム運動との関わりの後、細長い人体像に代表される、実存を主題とする表現の在り方を、生涯を賭けて追求した。本展では、友人関係にあった矢内原伊作と宇佐見英治の旧蔵品を紹介する
2.時で読む――山西もも(1995-)


ジャコメッティと同じ展示室で、山西ももの作品を紹介します。淡い光がにじむ写真――これは、山西が自作した簡素なピンホール・カメラにより、ネパールで撮影されました。箱に開けた小さな穴から光を取り込み、フィルムに像を結ぶことで、デジタルの精細さとは異なる柔らかな風合いが生まれています。現地には多くの洞窟があり、そこでピンホール現象を思い浮かべたことが、撮影の契機となりました。
山西は大学で鋳金(ちゅうきん)を学んでおり、ネパールでアンモナイトの化石を見つけた際、それが「時間の鋳造物」であると直感しました。数千万年の時を経た化石のプロセスは、溶けた金属が「型」の中で「かたち」を得る、鋳造の原理と響き合います。そして、箱の中に光が入り込み、内部で像を結ぶ写真のプロセスもまた、鋳造の原理と重なりました。
化石とは、生物が石へと変じたものであり、かつてのアンモナイトと同じではありません。「光の鋳造物」である写真も、時の作用によって生成される「変容したイメージ」なのです。
山西もも Momo Yamanishi
大阪に生まれる。東京藝術大学工芸科で鋳造を学ぶ。2024年、ネパールのヒマラヤ山脈とムスタン王国で出会ったアンモナイトの化石と洞窟に端を発した、鋳造作品とピンホール写真との組み合わせによって、「ZOOMS Japan 2024 グランプリ」を受賞。千葉県在住。
3.言葉で読む――谷川俊太郎(1931-2024)


二眼レフカメラを構え、鏡の中の自分を見つめる一人の青年。1952(昭和27)年、詩集『二十億光年の孤独』でデビューする谷川俊太郎は、当時十九歳。この頃、詩作の傍ら、写真の撮影に熱中していました。
若き日の詩について、友人であった詩人の大岡信は「孤独でしかも明るいまなざし」と評していますが、その評は写真にも通じるものです。
十代後半、谷川は詩作や撮影と並行して、ラジオの組立にも夢中になっていました。後年には欧米のヴィンテージ・ラジオの収集にも情熱を傾けます。想像の世界へと人を誘うラジオの磁力に、惹かれ続けていたのです。
「何故詩を書くのか」との問いに「世界と、すなわち言葉とたわむれたいから」と答えた谷川。詩と写真、そして「音の箱」は、いずれも「世界」に焦点を合わせる装置であり、言葉の立ち上がる瞬間と深く関わっていました。
本章では、写真、詩、そして旧蔵のラジオを通して、若き詩人の「創造と想像の時」を辿ります。
谷川俊太郎 Shuntaro Tanikawa
東京に生まれる。戦後日本を代表する詩人。二十歳の時、詩集『二十億光年の孤独』でデビュー。1950年代初頭に撮影していた写真を2023年に発表(写真集、展覧会)。本展では、初公開を含む当時の写真とともに、若き日の直筆ノート、旧蔵品のラジオをご覧いただく。
4.自然から読む――砂澤ビッキ(1931-1989)


真冬には、氷点下三十度まで冷え込むことのある、北海道の音威子府(おといねっぷ)村。
積雪によって、染み入るような静寂に包まれた一面の銀世界では、自然の「存在」が極めて近くに感じられます。
砂澤ビッキは、この地の廃校となった小学校を住居兼アトリエとし、巨木へ格闘を挑むかのように「かたち」を立ち上げていきました。生命を宿していた堅牢な「身体」と向き合い、鑿(のみ)への抵抗を引き受けながら探られたフォルムには、ほのかな聖性が宿っています。
「自然の中に芸術があって、芸術の中に自然がある」と語った砂澤は、自ら手掛けた木彫が、野外で風雪により朽ちていくことをも厭いませんでした。作品は、峻烈な自然の循環の中で、姿を変えながらも、揺るぎない気配を湛えています。
砂澤にとって、木を用いた彫刻の制作とは、自然と自分との距離を「ゼロ」にするための行為でした。その強い意志は、今も鑿痕として、はっきりと刻まれています。
砂澤ビッキ Bikky Sunazawa
旭川に生まれる。道北の音威子府(おといねっぷ)村を拠点に、巨木を素材にして、繊細さと独特の生命感にあふれた彫刻を手がけた。本展は、その音威子府で制作された作品を中心に、東京では初公開となる個人コレクション(彫刻と絵画)を含む展示構成となる。
5.全身で想像する――エレナ・トゥタッチコワ(1984-)


本展における「読む」とは、想像力と身体を通して世界に触れる営みです。
エレナ・トゥタッチコワは、思考、想像、身体経験の循環をひとつながりのプロセスとして表現しています。
彼女にとって、「歩くこと」は創作における重要な手がかりのひとつです。移動を通して思考の道がひらかれ、多層的な時間の感覚が立ち上がる中で、外の世界を移動することと、スタジオにおける静寂な時間が、往還しながら重なり合い、やがてひとつのリズムをつくっていきます。
近年取り組むセラミック作品では、変容する物質である粘土と、釉薬による色の層が、身体と思考の循環を内包しながらかたちを得て、「世界の手触り」として現れています。
本展では、新作のセラミック彫刻「Islands」の連作に加え、レリーフ、ペインティング、アニメーションを含むインスタレーションを通して、想像の地図をたどるような体験の場がひらかれます。
エレナ・トゥタッチコワ Elena Tutatchikova
モスクワに生まれる。想像力と知覚の探求を主軸に、セラミック、ペインティング、ドローイング、言葉などの作品を通して表現する。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了(2020年)。著書に『Paths』、『聴こえる、と風はいう』などがある。現在京都を拠点に活動。
開催概要
●展覧会名:東京都美術館開館100周年記念 あなたが世界を読むために
100th Anniversary of the Tokyo Metropolitan Art Museum
Ways of Reading―How the World Speaks to Us, How We Speak to the World
●会期:2026年11月19日(木)~2027年1月11日(月・祝)
●会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
●休室日:12月7日(月)、12月21日(月)~2027年1月3日(日)
●開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00 *入室は閉室の30分前まで
●観覧料:無料
●主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
●展覧会ウェブサイト:https://www.tobikan.jp/exhibition/2026_waysofreading.html
●問合せ先:東京都美術館 03-3823-6921
[同時開催]
東京都美術館開館100周年記念 はじまりをひらく 東京都美術館の100年
100th Anniversary of the Tokyo Metropolitan Art Museum
The History of the Tokyo Metropolitan Art Museum
東京都美術館の100年の歴史を振り返る展覧会です。1926年に上野の地に誕生した東京都美術館は、多様な展覧会の舞台となったばかりでなく、美術に親しみ、美術館をより身近に感じられるような活動にも先駆的に取り組み、人々と共にそのあゆみを紡いできました。本展では、当館所蔵のアーカイブズ資料を中心に、写真や印刷物をとおして、日本初の公立美術館の歴史を紐解きます。

開催概要
●展覧会名:東京都美術館開館100周年記念 はじまりをひらく 東京都美術館の100年
100th Anniversary of the Tokyo Metropolitan Art Museum
The History of the Tokyo Metropolitan Art Museum
●会期:2026年11月19日(木)~2027年1月11日(月・祝)
●会場:東京都美術館 ギャラリーB
●休室日:12月7日(月)、12月21日(月)~2027年1月3日(日)
●開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00 *入室は閉室の30分前まで
●観覧料:無料
●主催:東京都、東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
●展覧会ウェブサイト:https://www.tobikan.jp/exhibition/2026_archives.html
●問合せ先:東京都美術館 03-3823-6921
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