【新国立劇場】この秋の必聴オペラ!!一瞬も目が離せない破滅への道―20世紀オペラの金字塔 ベルク『ヴォツェック』を新制作

文化庁

新国立劇場(東京都渋谷区)は、大野和士芸術監督が注力する20世紀オペラから、ベルクの『ヴォツェック』を新制作します。アルバン・ベルクのオペラ『ヴォツェック』は、貧困にあえぐ兵士ヴォツェックの苦悩と破滅を前衛的に描き、社会の歪みを観る者に突き付ける衝撃的な作品で、100年前、1925年ベルリンでの初演後、20世紀オペラの金字塔として今日まで世界中で上演が繰り返されている傑作です。緊張感漲る無調音楽をベースとしながら、叙情性にも富む音楽でヴォツェックと妻マリーの苦しみを描き、観る者の胸を揺さぶります。演出のリチャード・ジョーンズは英国が生んだ巨匠にしてカリスマ演出家。高度な演奏技術が要求される難役ヴォツェック役には、新国立劇場で2009年にも同役を歌った世界的スター歌手、トーマス・ヨハネス・マイヤーが登場。指揮は大野和士芸術監督が自らあたります。ファン待望のこの秋随一の注目公演にご期待ください。

孤独が男を蝕み、狂気が支配する――その破滅から目が離せない!

新ウィーン楽派の作曲家アルバン・ベルクが唯一完成させたオペラ『ヴォツェック』は、貧困にあえぐ兵士の精神的不安を描き、貧困と差別や搾取が人間を破滅させていく様をまざまざと伝える衝撃的作品。原作はゲオルク・ビューヒナー(1813~1837)が執筆した未完の戯曲で、1821年にライプツィヒで起きた殺人事件の加害者ヴォイツェックの精神鑑定の記録をもとに書かれました。1914年にウィーンで上演された演劇を観たベルクは音楽化への強い衝動を覚えます。翌年第一次世界大戦に徴兵され、除隊後1917年から21年になって作曲した『ヴォツェック』は、自身の厳しい軍隊生活の経験も重ねて書かれたと言われています。

ベルクはシュプレヒゲザング、シュプレヒシュティンメと言われる歌と語りの中間の技法を使い、演劇的緊張感が張り詰める中で、貧困から逃れられない男が妻の不倫をきっかけに転落していく物語を一気に語ります。バロックや古典派音楽の形式を模し、ポルカやワルツまで取り入れた多様な音楽を用いて緻密に構築された全3幕各5場がスピーディーに展開し、前衛的かつ叙情的な音楽が観る者の心を掴み、揺さぶります。

大野和士芸術監督が上演に注力する20世紀オペラ。この秋、新国立劇場から誕生する『ヴォツェック』に期待が高まります。

最高のヴォツェック歌いとカリスマ演出家による新制作『ヴォツェック』

リチャード・ジョーンズ(演出)

演出を手掛けるのは、英国が生んだカリスマ演出家リチャード・ジョーンズ。オリヴィエ賞に9回輝き、サウスバンク・ショー・アワードやトニー賞、Opernwelt最優秀演出家賞など数々の受賞歴を誇る巨匠です。新国立劇場へは2008年『ムツェンスク郡のマクベス夫人』(英国ロイヤルオペラからのプロダクションレンタル)以来の登場で、東京で新演出を手掛けるのは初となります。

高度な演奏技術が要求される難役ヴォツェック役には、新国立劇場で2009年にも同役を歌った世界的スター、トーマス・ヨハネス・マイヤーが出演。マイヤーは今年、2025年2月新国立劇場『フィレンツェの悲劇』ではシモーネを歌い、屈折した情念の滲む圧巻の表現で聴衆を釘付けにして、喝采をさらいました。20年以上歌いこんでいるヴォツェック役、熟練のカムバックに期待が募ります。

2009年『ヴォツェック』 撮影:三枝近志
2025年『フィレンツェの悲劇』 撮影:堀田力丸

共演する大尉役にはキャラクター・テノールの世界最高峰アーノルド・ベズイエンが2022年『ボリス・ゴドゥノフ』に続く登場。鼓手長には同役を特に得意とするイギリスのテノール、ジョン・ダザック、マリー役にはワーグナーを中心にドラマティックな表現で活躍するジェニファー・デイヴィスが出演します。

医者役は日本が誇るバス歌手・妻屋秀和、アンドレスには旬のヘルデン・テノールとして大活躍中の伊藤達人と、国内歌手陣もオペラファン垂涎の陣容です。指揮は大野和士芸術監督が自らあたります。

左上より大野和士、R.ジョーンズ、T.ヨハネス・マイヤー、J.ダザック、伊藤達人、A.ベズイエン、妻屋秀和、J.デイヴィス

【インタビュー】『ヴォツェック』タイトルロール トーマス・ヨハネス・マイヤー

https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_030344.html

芸術監督・大野和士からのメッセージ

新制作でお届けするベルクの『ヴォツェック』は、1925年に初演され、今年は初演からちょうど100年の区切りの年です。音楽、物語共に、私たちの内面に深く強く入ってくるもので、今こそ聴きたい作品です。夭折した作家ビューヒナーが、実際に起きた殺人事件を題材に、社会の底辺で精神を病み、内縁の妻を殺して破滅していく男を描いた原作を、1世紀近く経ってベルクが無調音楽で作曲したオペラです。新演出に臨むのは、巨匠リチャード・ジョーンズ。私は音楽監督を務めていたモネ劇場での『炎の天使』、スカラ座の『ムツェンスク郡のマクベス夫人』で一緒に仕事する機会に恵まれましたが、緻密でありながら、それをはるかに超越したエネルギーによって観る者を劇場空間の心理劇に引きずり込む手腕は、本当に圧巻でした。今回も狂気をテーマにした心理劇をリチャードがどう描いていくのか、私自身も大変楽しみです。ヴォツェック役はトーマス・ヨハネス・マイヤー、マリーにジェニファー・デイヴィス、鼓手長にジョン・ダザック、大尉はアーノルド・ベズイエンと当代随一と言える歌手が集まります。

大野和士(指揮)

オペラ『ヴォツェック』あらすじ

理髪師から兵士になった実直な男、ヴォツェックは内縁の妻マリーとの間に生まれた一人息子と貧しい暮らしを送っている。上官の大尉や誇大妄想気味の医者にへつらって生活をつないでいる彼の精神状態は不安定で、妄想に苛まれていた。夫との生活に疲れたマリーは、鼓手長との不倫という泥沼に嵌っていく。妻に不審を抱きながらも鼓手長に敵わず、自暴自棄に陥るヴォツェック。自らの罪を悔いて神に祈るマリーをヴォツェックの凶刃が襲うー。

新国立劇場『ヴォツェック』トレイラー映像

【イベント】 『ヴォツェック』オペラトークを開催!

リチャード・ジョーンズ新演出のベルク『ヴォツェック』。作品の魅力を掘り下げながら、20世紀オペラにより馴染み、親しんでいただくためのヒントをお届けします。本公演を鑑賞する前の予習にピッタリのイベントです!

日時:11月1日(土)17:30~(開場17:00~) 会場:新国立劇場オペラパレス ホワイエ

出演:大野和士(指揮・オペラ芸術監督)ほか  料金:1,500円(税込・自由席)

詳細は下記をご確認ください。

https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_030315.html

令和7年度(第80回)文化庁芸術祭主催公演

新国立劇場2025/2026シーズンオペラ  『ヴォツェック』

【公演日程】

2025年11月15日(土)14:00/18日(火)14:00/20日(木)19:00/22日(土)14:00/24日(月・休)14:00

【会場】新国立劇場オペラパレス

【スタッフ・出演】指揮:大野和士/演出: リチャード・ジョーンズ/美術・衣裳:アントニー・マクドナルド/出演:トーマス・ヨハネス・マイヤー、ジョン・ダザック、伊藤達人、アーノルド・ベズイエン、妻屋秀和、大塚博章、萩原潤、青地英幸、ジェニファー・デイヴィス、郷家暁子/合唱:新国立劇場合唱団、児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団/管弦楽:東京都交響楽団

【チケット料金】 S:29,700円 ・ A:24,200円 ・ B:17,600円 ・ C:11,000円 ・ D:7,700円・ Z(当日のみ):1,650円

【チケットのお求め】新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 WEBボックスオフィスhttps://nntt.pia.jp/

※WEBボックスオフィスで学生(5%)、ジュニア(20%)、高齢者(5%)割引チケットもお取り扱い中。

※新国立劇場当日券は、学生の方は50%割引となります(D席・Z席除く)。ボックスオフィス(窓口・電話)で取扱。

公演およびチケットの詳細については、新国立劇場ウェブサイトをご覧ください。

公演情報WEBサイト  https://www.nntt.jac.go.jp/opera/wozzeck/

新国立劇場について

新国立劇場は、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の公演の制作・上演や、芸術家の研修等の事業を行っています。オペラ部門は2018年9月より世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。

所在地:東京都渋谷区本町1-1-1

【お客様からのお問い合わせ先】

新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00~18:00)

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新国立劇場オペラパレス
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会社概要

文化庁

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https://www.bunka.go.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4
電話番号
075-451-4111
代表者名
都倉俊一
上場
未上場
資本金
-
設立
1968年06月