2025年4月のカレー物価 1食429円 物価高の勢い加速 「備蓄米」放出の影響、 今後のカレー物価は最大2割安の可能性
「カレーライス物価指数」調査―2025年4月分

株式会社帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。
SUMMARY
2025年4月のカレーライス物価は1食429円(前年同月321円)となった。
前年から108円上昇し、過去10年で最高値となった。
最新の物価動向に基づく2025年5月の予測では1食448円へ上昇する見込みとなるが 、備蓄米を使用したケースでは、最大で2割安くなる可能性がある。
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:約1合[炊飯前重量])、カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、
水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
2025年4月のカレーライス物価: 1食あたり429円 / 前年からの増加額は過去10年で最大
カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」は、2025年4月時点で1食あたり429円となり、13カ月連続で最高値を更新した。前月(421円)から+8円、1年前の2024年4月(321円)からは+108円・33.6%増と3割を超える大幅な上昇となり、23カ月連続で前年を上回ったほか、前年からの増加額は過去10年で最大となった。コメ価格の高騰で「ごはん(ライス)」の食材コスト増が顕著なほか、平年の2倍近くにまで値上がりしたニンジンをはじめとする野菜類の高騰が影響し、カレーライス物価は引き続き上昇基調で推移した。

カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、215円(前年同月199円、+16円)だった。前月から2円上昇し、過去10年で最高値を更新した。天候不順による収穫時期の変動や、産地の切り替えによる品薄感からニンジンやジャガイモで大幅に価格が上昇した。「ごはん(ライス)」価格は、足元でコメの店頭価格が高止まりしていることを背景に、前年同月(93円)からは+92円の185円と大幅に上昇し、過去最高値を更新した。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)、「カレールー」(25円)は価格の変動がなかった。

カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2025年4月の指数は156.7となった。カレーライス物価は5年間で6割にせまる値上がりとなったほか、10年前(2015年4月:255円)からは約7割値上がりし、食卓で物価高の勢いが加速した。同指数の前年同月比では33.6%高く、23カ月連続のプラスとなったほか、2015年以降で最大の上昇幅を記録した。
今後の見通し:2025年5月 1食448円の予想 備蓄米使用で最大2割安の試算
全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した2025年5月のカレーライス物価は、1食448円まで上昇する見通し。カレーライス物価を構成する野菜類(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)の価格は、10年前に比べて1.4倍~1.7倍と値上がりが著しいほか、輸入牛肉の価格も緩やかに上昇傾向が続き、「カレー具材」は初めて1食あたり220円を突破するとみられる。ごはん(ライス)価格も、5月時点で店頭価格は値上がり傾向が続いており、記録的な高値が続く見通し。また、カレールウでは市販製品で順次値上げが行われるため、5月分は2023年8月以来21カ月ぶりに上昇するとみられる。

足元では、政府による備蓄米の放出でコメ価格に値下がりの傾向がみられ、カレーライス物価を大きく押し下げる効果が期待される。5月時点のカレーライス物価予想を基に、備蓄米の使用によってカレーライス物価がどの程度押し下げられるか試算した結果、最も安くなるシナリオでは、備蓄米の使用で1食300円台前半まで低下し、当初予想値(448円)から最大2割の値下がり効果をもたらす可能性があることが分かった。ただ、1食あたり200円台で推移した2023年の水準まで低下する可能性は低く、食卓では中長期的な物価高の影響を受けるとみられる。
カレーライス物価は、近年例を見ない価格上昇圧力を反映し、記録的な高値圏での推移が予想される。
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