【国立国際美術館】特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」2026年3月14日(土)から6月14日(日)まで開催

現代日本を代表する画家、中西夏之(1935-2016)の没後10年にして初の回顧展

文化庁

国立国際美術館では、2026 年3 月14 日(土)から6 月14 日(日)まで、特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」を開催いたします。

1935 年に生まれ、2016 年に没した画家の中西夏之は、絵画という営みを根底から問いなおそうとしました。絵画はいかにして立ち現れるのか。そもそも、絵画の存在する場所はどこか。このような問いに貫かれ、生み出された彼の作品は、具象や抽象といった、既存の枠組みにおさまるものではありません。彼のねらいはむしろ、あらゆる自明の理を括弧に入れたうえで、新たに「絵画」を立ち上げなおすことだったと言えるでしょう。

本展覧会は、中西の半世紀以上にわたる制作の軌跡を振り返り、その特異な絵画理念と実践を、ともに浮き彫りにしようと試みます。画家を志しながらも、前衛美術家集団「ハイレッド・センター」の一員として数々のイベントを繰り広げ、絵画から離れていった1960 年代前半。その後、舞踏家・土方巽との出会いをきっかけにして本格化した絵画への回帰。こうした迂回路を経た末に手がけられていく彼の作品たちは、絵画という営みについての思考を促さずにはおきません。

かつて中西は、絵画のありようを指して「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」という、謎めいた言葉を残しました。オレンジや黄緑や紫の色を多用し、異様に柄の長い筆で遠くから描いてみせた彼の絵画もまた、そうした「装置」の一つであるはずです。没後10 年の節目となる2026 年、本展覧会はこの言葉を導きの糸としつつ、中西の投げかけた問いに向き合います。

なお、本展は山梨県立美術館(7 月4 日(土)~ 8 月23 日(日))、セゾン現代美術館(9 月5 日(土)~ 11 月3 日(火・祝))、茨城県近代美術館(11 月12 日(木)~ 2027 年1 月17 日(日))への巡回を予定しています。

本展の見どころ

◎東日本大震災から15 年を経て振り返る、中西の絵画理念
中西夏之は、自分自身が絵画を制作している場所、つまりここ日本について独自のイメージを持っていました。弧線を描くこの列島は、「あらゆる大陸系の起源から孤立させられ、しようとしている一隻の小舟である」というわけです。1989 年におけるこの言葉は、当初、もっぱら絵画制作を理論化するためのものでしたが、しかし2025 年を生きる私たちにとっては予言的に響きます。東日本大震災から15 年を経たいまだからこそ、中西の仕事に光を当てる意義があると考えます。

◎中西を絵画制作へと駆り立てた動機に迫る
中西夏之の仕事を特徴づけるのは、ある「転向」です。1960 年前後に一度、絵画から離れた彼は、1960 年代後半にふたたび絵画へと戻り、以後はもっぱら「画家」として活動しました。絵画から離れた時期の仕事については、「反芸術」というキーワードのもと、すでに海外でも紹介され、言説化が進んでいます。しかし1960 年代後半以後の絵画実践については、難解であることも手伝って、いまだ理解の途上にあるのが現状です。彼はなぜ絵画を手がけたのか。そもそも彼は、絵画をどのようなものだと捉えているのか。残された代表的な作品たちをとおして、本展覧会はこれらの問いに答えることを目指します。

展示構成

第1章 生体と物質の錬金術

1935 年生まれの中西夏之が、制作活動を本格化させたのは、1950 年代の末、高度経済成長期の東京においてでした。東京藝術大学を卒業し、絵画を手がけることから始めた彼ですが、しかしまもなくして、その実践は「中断」されてしまいます。「反芸術」という、既成の芸術のあり方を疑問視し、破壊しようとする動きが活発化していた当時の状況と、中西もまた無縁ではいられません。同世代の美術家である高松次郎、赤瀬川原平とともに結成したハイレッド・センターでのパフォーマンスは、その典型だと言えるでしょう。また、彼はこの時期、舞踏家の土方巽と出会い、徐々に関係を密にしていきます。この時期の、絵画の外で展開された仕事が、後の「画家」としての活動にいかなる影響を及ぼすのか。この章では、画家・中西の前史を振り返っていきます。

《韻 YS》1959年 個人蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI
《コンパクト・オブジェ》1962年 国立国際美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI

第2章 絵のある場所と絵の形
1960 年代の後半になり、中西はあらためて、画家としての活動を始めました。ただし、絵画に回帰してからも、なお積極的に続けられた舞踏との協働は、彼に特異な絵画観を与えることになります。この頃の中西は、目に見えるものを目に見えるまま再現することにも、目に見えないものを目に見えるよう表現することにも、関心を払っていません。その意味で、具象でも抽象でもない彼の絵画は、「絵画を描くこと」それ自体を問題にしていたと言えるでしょう。色彩について、形態について、また画面についてと、自己言及的な問いなおしをはかるその絵画は、いまなお私たちに、容易に解きほぐせない謎を突きつけてきます。

第3章 無限遠点からの弧線
1970 年代以降、中西の絵画は理論的に洗練されていきました。その出発点の一つに位置づけられるのは〈弓形が触れて〉という連作で、タイトルが示唆するとおり、その画面上には竹弓が取り付けられています。作家いわく、それは画家と、画家が描くべき世界と、画家が向き合っている画面との位置関係を図示するための道具とのこと。いずれにせよ、彼は、画家が「どこで」「どこに」描くのかという問題にこだわり、さまざまに考えてきたとは言えるでしょう。もちろん、絵画の場所について問うなかで、「どんな」絵画が描かれるべきかも明らかにされなければなりません。ある決まった手順で描かれていく中西の絵画は、私たちの生きるこの世界の「発生と消滅」に関わっているようです。

《弓形が触れて Ⅲ》1978年 国立国際美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI
《紫・むらさき XVIII》1983年 国立国際美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI
《中央の速い白 XIII》1990年 千葉市美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI

第4章 想像的地表にあふれる光

中西の仕事は、あるシリーズから別のシリーズへといったかたちで、まとまった作品群を単位としながら展開していきます。シリーズごとに投げかけられる問いはさまざまですが、後年の彼の言葉を借りると、それは「光・時・色の三位一体」を追究する営みだったと要約できるでしょう。眩しい光、そして移ろう時間として現れてくるこの世界を、画家は、絵具の色彩によってどう捉えることができるのか。中西の、50 年以上にわたる制作の軌跡を追う過程で、私たちは、なんとなく理解した気でいる「絵画」についての根本的な問いなおしを余儀なくされます。中西の思考を経由することで、私たちは、絵画を描くことと、絵画を見ることに、新しく向き合うことができるはずです。

《背・円 – I 05》2005年 個人蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI
《擦れ違い/S字型還元》2011年 茨城県近代美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI


開催概要

会 期:2026 年3 月14 日(土)‒6 月14 日(日)

会 場:国立国際美術館 地下3 階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55)

開館時間:10:00‒17:00、金曜は20:00 まで(入場は閉館の30 分前まで)

休館日:月曜日(ただし、5 月4 日は開館)、5 月7 日

主 催:国立国際美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会

協 賛:公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団 

協 力:SCAI THE BATHHOUSE

助 成:公益財団法人ポーラ美術振興財団

企画担当:福元崇志( 国立国際美術館 主任研究員)


観覧料:一般1,500 円(1,300 円)大学生900 円(800 円)       

(  )内は 20 名以上の団体及び夜間割引料金(対象時間:金曜の17:00‒20:00)

高校生以下・18 歳未満無料(要証明)

心身に障がいのある方とその付添者1 名無料(要証明)

本料金で、同時開催の「コレクション3」もご覧いただけます。


関連イベント:

講演会やギャラリートークを開催予定。詳細は決まり次第、当館ウェブサイトなどでお知らせします。

交通アクセスはこちら

https://www.nmao.go.jp/visit/admission/

一般のお客様からのお問い合わせ先

国立国際美術館 TEL:06-6447-4680(代表)

https://www.nmao.go.jp/

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上場
未上場
資本金
-
設立
1968年06月