【横浜市民ギャラリー】「新・今日の作家展2024　あなたの中のわたし」開催60周年を迎えた歴史ある現代美術展

出品作家はスクリプカリウ落合安奈と布施琳太郎

公益財団法人横浜市芸術文化振興財団

2024年7月3日 10時40分

横浜市民ギャラリーにて、毎年恒例の現代美術展を2024年9月14日（土）～10月7日（月）に開催。「あなたの中のわたし」を副題に、二名のアーティストを紹介する。入場無料。

「新・今日の作家展」は、横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたり開催した「今日の作家展」を継承した展覧会です。幅広い世代の作家による同時代の表現を多角的に取り上げ、現代美術やその背景にあるものを考察しています。「今日の作家展」の嚆矢から60周年となる今年は、副題を「あなたの中のわたし」とし、二名の若手アーティスト、スクリプカリウ落合安奈（1992年生まれ）と布施琳太郎（1994年生まれ）を紹介します。

〈わたし〉―自分が何者なのかという問いは、多くの方が一度は抱いたことがあるでしょう。一方で私たちは他者と不可分の存在であり、〈あなた〉―他者の存在に触れることが、翻って自らに対する新たな気づきを導くことがあります。

スクリプカリウ落合安奈は日本とルーマニア、二つの国にルーツを持ち「土地と人との結びつき」をテーマに、インスタレーション、写真、映像など様々なメディアで制作をしています。2022年11月より約一年間ルーマニアに滞在した経験をもとに、2023年より写真を中心とする作品《ひかりのうつわ》を複数の形式で発表しています。布施琳太郎はスマートフォン発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に、映像作品やウェブサイト、キュレーションやイベントの企画など、多方面で活動を行っています。

〈わたし〉と〈あなた〉の関係性から展開する彼らの作品を通じ、それぞれ唯一無二である自己と他者、またその私たちが成す社会について思いめぐらす機会となることでしょう。

二名はいずれも、本展のテーマを受け新作を交えた展示構成を予定しています。

展覧会HP　
https://ycag.yafjp.org/exhibition/new_artists_today_2024/

展覧会のみどころ

◆注目の若手作家の二人展。新作を含めた展示構成

スクリプカリウ落合安奈と布施琳太郎は、ともに90年代生まれで活躍を期待される注目の若手作家です。それぞれ170㎡以上のスペースにおいて、新作を交えた展示空間を構成します。

◆今年で開催60周年。現代美術の動向を捉え続けてきた「今日の作家展」

「今日の作家展」は横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたって開催され、日本の現代作家の表現を多角的に取り上げ、現代美術のひとつの流れを示す重要な足跡を残した年次展覧会です。その後名称を変えながら継承され、2016年以降は「新・今日の作家展」と称し開催されています。開催60周年となる本展で提示する現代美術の現在地点を、ぜひご覧ください。

◆対談やインタビューなど、作家・作品を知る多彩なコンテンツ

会期初日に行う出品作家二名によるミニトークのほか、ゲストを招いての対談イベントなどを開催予定です。また、毎回好評の作家インタビューを会場で上映するほか、その内容を掲載した小冊子を会場で無料配布します。

出品作家　（掲載図版には参考作品を含む）

スクリプカリウ落合安奈｜ SCRIPCARIU-OCHIAI Ana

©Kotetsu Nakazato

1992年埼玉県生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画料油画専攻卒業（首席・学部総代）。2019年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程グローバルアートプラクティス専攻修了。現在東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。2022～2024年公益財団法人ポーラ美術振興財団令和4年度在外研修（ルーマニア）。主な展覧会に、埼玉県立近代美術館コレクション展「MOMASノ海」（埼玉県立近代美術館、2023年）、「Art Collaboration Kyoto Special Programs "Ladder Project"」（国立京都国際会館、2023年）、「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」（鷲田めるろ賞受賞、寺田倉庫/東京、2021年）、個展「Blessing beyond the borders－越境する祝福－」（埼玉県立近代美術館、2020年）「Y.A.C. RESULTS 2020」（ルーマニア国立現代美術館、2020年）など。　https://www.ana-s-ochiai.com/

スクリプカリウ落合安奈《ひかりのうつわ》2023年

スクリプカリウ落合安奈 collaborate with 落合由利子《わたしの旅のはじまりは、あなたの旅のはじまり》 2021年　ミクストメディアインスタレーション　Photo by Keizo Kioku

布施琳太郎｜ FUSE Rintaro

写真：岡崎果歩

1994年生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、2019年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。スマートフォン発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に映像作品やウェブサイト、展覧会のキュレーション、書籍の出版、イベント企画などを行っている。主な活動に個展「新しい死体」（PARCO MUSEUM TOKYO、2022年）、廃印刷工場でのキュレーション展「惑星ザムザ」（小高製本工業跡地/東京、2022年）、ひとりずつしかアクセスできないウェブページを会場としたオンライン展覧会「隔離式濃厚接触室」（2020年）など。主な参加展覧会に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか？」（国立西洋美術館/東京、2024年）、「時を超えるイヴ・クラインの想像力」（金沢21世紀美術館、2022年）など。著書に『ラブレターの書き方』（晶文社、2023年）、詩集『涙のカタログ』（パルコ出版、2023年）。　https://rintarofuse.com/

布施琳太郎《骰子美術館計画》2024年　ビデオインスタレーション　撮影＝竹久直樹