戦後80年の本年、300 点超えの被爆資料を収載した決定版が登場『Hiroshima Collection』7月28日発売～予約受付中～

「特別展　土田ヒロミ写真展「ヒロシマ・コレクション」―1945年、夏。」開催も

株式会社ＮＨＫ出版

2025年6月27日 10時00分

原爆被害の苛烈さや暴力的に遮断された日常の断片を伝える被爆資料写真と、文字で記録された所有者の被爆当日の行動や被爆後の心情を見開きに配置した写真集、『Hiroshima Collection』がNHK出版より7月28日に発売になります。核兵器の脅威が現実となりつつあるいま、原爆がもたらす「リアル」を静かに伝え、世界の在り方を問い直す１冊を全文英訳付きでお届けします。

300点もの被爆資料を収めたモノクロプリントが物語る、核戦争の惨状と平和への願い。

【本書の特徴】

● 一切の私情を排して撮影された被爆資料画像と、被爆者・寄贈者が語った「被爆の実相」で構成。

● 最新の資料までをピックアップし、300点以上収載（200点を新たに撮りおろし）

● 日本語と英語を併記し、外国人読者にもそのまま通用するものである点

　『Hiroshima Collection』は原爆被害の苛烈さ（熔解したビンや焼け落ちた仏頭など）や暴力的に遮断された日常の断片を伝える（中身が焼け焦げた弁当箱や破損した学生服など）被爆資料写真と、文字で記録された被爆直後の過酷な状況や遺された家族の悲しみを、見開きに配置した写真集です。核兵器の脅威が迫りつつあるいま、原爆がもたらす「リアル」を伝え、世界の在り方を問い直す1冊。大半の所蔵資料が被爆関係者の寄贈からなる広島平和記念資料館の図録的な意味合いも持ちます。

　原爆投下後80年が経過するなか、当時の被爆物や被爆者の遺品を広島平和記念資料館へ寄贈する人が後を絶ちません。写真家・土田ヒロミは、戦後寄贈され続けている被爆資料を1980年代から撮影してきました。本書を「私たち人類にとっての『形見』の記録」だという土田は、平穏な日常を突然奪い去った原爆の非人間性を静謐なモノクロ写真で表現。それは、見る者の想像力を喚起し、核兵器の恐ろしさを「他者の痛み」に留まらせないための手法であり、被爆資料の声なき声を聴き取り伝えようとする写真家の思いでもあります。

　土田ヒロミにとって「ヒロシマ」はライフワークであり、本書はその集大成のひとつとなります。資料館を訪れる外国人観光客にも、そのメッセージが届くよう、また世界中の人びとにヒロシマの惨劇を伝えるべく、和英文併記としています。

特別展開催

特別展　土田ヒロミ写真展「ヒロシマ・コレクション」―1945年、夏。

期日：2025年6月28日（土）～ 9月7日（日）

https://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/exhibition/hiromi-tsuchida/

場所：中之島香雪美術館

https://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/

※特別展での書籍『Hiroshima Collection』販売開始は7月26日（土）頃を予定しております。それまでは展示会場にて予約注文が可能です。

著者情報

土田ヒロミ（ツチダヒロミ）

1939年生まれ。福井県出身。福井大学工学部卒。ポーラ化粧品本舗（現・ポーラ）の開発部に勤務しながら東京綜合写真専門学校に通い、1971年よりフリー。東京綜合写真専門学校校長を務めた後、2000年～2013年まで大阪芸術大学教授を務めた。代表作は『俗神』『砂を数える』『ヒロシマ』。その作品、活動を通じて1971年の「太陽賞」のほか、「伊奈信男賞」（1978年）、「土門拳賞」（2008年）、「日本写真協会賞功労賞」（2022年）など数々の賞を受賞。ライフワークとしてヒロシマに関わり上述の「伊奈信男賞」受賞の「ヒロシマ 1945-1978 ＜原爆の子＞の三十余年」以来撮り続けている。その作品群は日本だけでなく、1970年代にニューヨーク近代美術館のコレクションに入るなど欧米からも高い評価を受けている。