信号通信設備に「鉄道版生成AI」を活用し輸送のさらなる安定性向上を実現します
○JR東日本グループは、デジタル技術を活用した業務変革(DX)を推進しており、2027年度末の完成を目指して社員の業務を支援する「鉄道版生成AI」の開発を進めています。
○2025年度内に、国内で初めて新幹線および首都圏の在来線の信号通信設備復旧支援システムに生成AIを導入し、復旧までの時間を従来比で最大50%削減することを目指します。
○2025年9月には、首都圏の運行管理システム(ATOS※)を対象に、国内初となる生成AIの導入実証実験を開始し、システムトラブル発生時の早期復旧を目指します。
※ATOS:首都圏在来線の運行管理システム(東京圏輸送管理システム)
1.今回取り組む内容
信号通信設備の故障発生から復旧するまで指令員を支援するシステムに生成AI を導入します。
なお、新幹線および在来線に本システムを導入するのは、国内初となります。

(1)信号通信設備復旧支援システムへの生成AI導入 ※別紙参照
2023年3月より首都圏の在来線信号設備の一部において、故障発生時に指令員の判断を支援するAIを活用したシステムを導入しています。現行システムから以下の3点を改良することで、推定原因、対応方針、復旧見込時刻を表示し、社員が最適な手順で復旧作業を実施できるよう支援します。
1.無線通話から生成AIが自動的に作業経過を作成
2.解析に使用するAIを機械学習から生成AIに変更
3.マニュアルなど基本情報インプットの簡素化
なお、本システムはBIPROGY株式会社とともに開発しています。
(2)ATOSの故障箇所早期特定に向けた生成AI導入
ATOS は多くの機器を複雑に組み合わせて構築しているため、マニュアル等での解決が難しい場合は、専門知識を持つ社員やメーカー技術員などとやりとりしながら原因究明を行う必要があり、復旧までに時間がかかる場合があります。
今回、2025年9月より、ATOS のトラブル発生時に原因を解析し対応策を提案することができる生成AIの実証実験を株式会社日立製作所と行うこととしました。ATOS のような大規模な鉄道運行管理システムへの生成AIの活用は国内初めての取り組みです。

2.効果
(1)信号通信設備故障発生時の早期復旧
最適な手順での作業により、故障から復旧までの時間短縮が見込まれます。原因特定の難しい複雑な事象において、復旧までの時間を従来の約50%に短縮できることを見込んでいます。
(2)お客さまへのタイムリーな情報提供
提示された「復旧見込時刻」を基に指令員が判断することで、運転見合わせ時の「運転再開見込時刻」をお客さまへ早期に提供することが可能になります。
(3)社員の知識と経験依存からの脱却
生成AIを活用することで、経験の浅い社員が担当した場合においても、高度な専門知識を持つ社員が対応した場合と同等の復旧プロセスとできることを見込んでいます。
3.今後の展開
今回導入する復旧支援システムをさらに機能向上するとともに、他の分野でも導入することを検討しています。

参考
関連するこれまでのプレス
・2022年11月8日発表 「信号設備におけるAIを活用した輸送安定性向上に向けた取り組み」
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20221108_ho01.pdf
・2024年2月6日発表 「信号システムにおけるDXを推進します」
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20240206_ho03.pdf
・2024年10月8日発表 「鉄道固有の知識を活用し『鉄道版生成AI』を開発します」
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