企業の9割でIT投資を実施 最も役立つ導入システム、「会計ソフト」がトップ Windows10のサポート終了を契機にハード・ソフトウェアの更新進む
IT投資に関する企業アンケート

株式会社帝国データバンクは、IT投資の目的および企業が役立つシステム、今後導入したいシステムについて、企業へアンケート調査を実施した。
SUMMARY
2025年内または2026年にIT投資を行う企業は9割近くに達し、大企業で顕著となった。投資目的はWindows10サポート終了にともなうハード・ソフト更新が多く、業務効率化やセキュリティ対策も上位。最も役立っているシステムは会計ソフトだが、業界固有のシステムも活用されている。今後は人事管理システムへの関心が高く、AIやDX推進の動きもみられる。IT投資は単なる更新から、より戦略的なものへと移行している。
調査期間:2025年9月5日~9月10日(インターネット調査)
有効回答企業:1,035社
近年中に9割近くの企業でIT投資を実施
パソコンのOS「Windows10」のサポート終了が10月14日に迫るなか、最新バージョンへのアップグレードやPCの買い替えといったソフト・ハードウェアの更新が進められている。
そこで、2025年内または2026年に行う(予定含む)IT投資の有無について尋ねたところ、「IT投資を行う」企業は88.8%で約9割に達した。規模別にみると「大企業」は98.5%で突出しており、「中小企業」は87.4%、うち「小規模企業」は83.0%だった。「大企業」が「小規模企業」を15ポイント以上上回り、規模間格差が顕著に表れた。他方、「IT投資の予定はない」企業は11.2%だった。

「IT投資を行う企業」に具体的な投資目的について尋ねたところ、パソコンの買い替えなどの「ハードウェアの更新」が69.3%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、OSやアプリケーションソフトの更新など「ソフトウェアの更新」(52.6%)が5割超で続き、RPA、オンライン会議、業務システムなどの「業務効率化・省人化」(29.5%)や「サイバーセキュリティ対策の強化」(28.3%)、「社内ITインフラの見直し」(18.7%)が上位となった。

企業からは「社内パソコンの入れ替えおよびセキュリティ対策プログラムの更新」(機械・器具卸売)や「Windows11にシフトするためPCを購入した」(情報サービス)といった声が寄せられた。また、「生成AIを業務として活用しはじめ、感覚としては従来の10分の1くらいに業務を効率化できている」(教育サービス)といった声も複数あがった。
最も役立つシステム、「会計ソフト」が4割超でトップ
これまで自社が行ったシステム投資のうち、現在最も役立っているシステムについて尋ねたところ、財務管理の効率化のための「会計ソフト」が39.8%で突出して高かった。次いで、顧客情報の管理と活用を行う「顧客管理システム(CRM)」(9.9%)、受発注や製造過程の管理を行う「生産管理システム」(8.8%)、リモート会議の実施など「オンライン会議システム」(6.8%)、データとシステムを保護する「セキュリティソフト」(4.4%)が上位にあがった。

また、主な業界別にみると、『建設』は、現場の進捗と品質管理のための「施工管理システム」(10.7%)が目立ち、『製造』は受発注や製造過程の管理を行う「生産管理システム」(24.1%)、『小売』は「顧客管理システム(CRM)」(22.1%)が他の業界より高く表れ、業界別に役立つシステムに特徴がみられた。
今後の導入意向、「人事管理システム」が最注目
今後自社で最も導入したいシステムについて尋ねたところ、従業員情報の管理と人材育成を行う「人事管理システム(HRM)」が9.3%で最も高かった。企業からは「人事管理システムによって人材の適正配置に役立てたい」(再生資源卸売)といった声が聞かれた。次いで、「顧客管理システム(CRM)」(9.1%)や「生産管理システム」(8.4%)が続いた。

また、「その他システム」(5.1%)については、「今後のIT投資では、AIを段階的に業務に活用できるように計画し、開発を進めている」(その他サービス)や「AI関連システム」(金融)など、AIに関するシステムの意見が多く寄せられた。さらに「各システムを統合する基幹システム構築」(精密機械、医療機械・器具製造)や「販売・在庫・生産に加えて複数拠点を管理しやすい物流管理システム」(その他のじゅう器卸売)といった声もあがった。
他方、「すでにある程度のIT環境は整っているため、システムの新規導入は今のところ必要がない」(飲食料品・飼料製造)や「導入したいシステムは多々あるが、現状対応可能な人材および環境が揃っていない」(建設)といった意見もあるように、4社に1社程度は「特になし」(24.3%)と回答した。
見直しにとどまらず、将来の成長に向けた戦略的なIT投資へ
本アンケートの結果、2025年内または2026年にIT投資を実施する企業は約9割に達していることがわかった。特に大企業では、ほぼ全ての企業が実施している一方で、小規模企業ではやや投資に慎重な姿勢がみられた。
IT投資の具体的な目的としては、PCの買い替えといった「ハードウェアの更新」、OSやアプリケーションの更新といった「ソフトウェアの更新」が多数を占めた。これは、Windows10のサポート終了にともなうOSやハードウェアの更新が主な要因といえよう。また、業務効率化やサイバーセキュリティ対策も上位にあげられており、企業が直面する喫緊の課題へ対応を進めていることが分かる。
現在最も役立っているシステムとしては、「会計ソフト」が全体の約4割を占め、企業の財務管理において不可欠な存在であることが示された。一方で、建設業では「施工管理システム」の活用が目立つなど、業界特有のシステムも有効活用されている。また、今後の導入意向としては、「人事管理システム」が最も注目され、深刻な人手不足のなか人材の適正な配置や育成への関心が高まっている。その他、AI関連システムや基幹システムの統合など、より高度な業務効率化やDX推進を目指す動きもある。
しかし、「すでにIT環境が整っている」といった声が聞かれるなかで、一部の企業では「導入を担う人材・環境が不足している」などの課題から、新たなシステム導入に慎重な姿勢も表れた。
多くの企業がWindows10のサポート終了を契機としてIT環境の見直しを進めつつも、単なる更新にとどまらず、業務効率化や生産性向上、そして将来の成長に向けた戦略的なIT投資へのシフトが加速しそうだ。
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