博報堂行動デザイン研究所「行動デザイン予報2026」
過剰な情報を切り落とし、有益な情報を育てる『剪択行動』を行う生活者は6割超生活者が安心して興味関心に没入できる環境づくりがポイントに
生活者発想を推進する株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:名倉 健司)の専⾨組織・生活者発想技術研究所傘下の博報堂⾏動デザイン研究所は、15〜69歳スマートフォン保有の男⼥2,000名を対象に、「情報⾏動・欲求に関する調査」を実施しました。
本調査では、生活者が日々情報を引き寄せ貯めこむ⾏動(情報プール)とその根底にある欲求がどのように変化したかを聴取し、「⾏動デザイン予報」として今後の生活者トレンドを予測しています。今回は情報プール率が前回より増加した一方、情報の質を良くするために不要な情報を手放して有益な情報を残す行動を行うと回答した生活者が6割にのぼりました。我々は新たな生活者行動の兆しとして、「単に興味のある情報を選ぶだけでなく、木の枝を剪定するように必要のない情報を切り落とし、良質な情報が入る環境を整え育てる生活者の行動」を『剪択行動』と名付けました。情報の過剰感が高まるなか、不要なアプリの削除やSNSアカウントのミュートなどを駆使して、情報の質を高めている生活者の実態が見えてきました。以下、調査・分析結果の詳細をご説明します。

【調査結果概要】
1. 情報が多すぎる&スピードが速すぎることで、安心・簡便さを求める傾向が高まっている
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情報を引き寄せ貯めこむ行動(情報プール)は、72.9%と前回より増加(24年調査比+4.7pt)
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「世の中の情報スピードは速すぎる」(+5.4pt)「広告の出方や内容への不快感が増えた」(+4.2pt)と、不要な情報への疲労感・拒絶反応が増加
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「安心・安全」(+4.4pt)「簡便さ」(+3.5pt)への欲求など、身近な平穏と効率への欲求が増加
2.自分にとって有益な情報のみ残し、不要な情報は手放す『剪択行動』を行う人が6割超に
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『剪択行動』を行う生活者は、全体の61.2%
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『剪択行動』の具体的な内容は「アプリの削除/通知OFF」(65.2%)がトップ
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『剪択行動』の理由は「自分が本当に知りたい情報を見つけるため」(57.1%)がトップ
※当研究所では「情報プール」とは、自身の欲求を満たせる、役立ちそう/面白そうな情報をSNSや街などの日常から引き寄せ“貯めておく”行動のことであると定義しています。
※当研究所が定義した情報プール(Pool)、気持ちの発火(Ignite)の元となる「12 欲求」を以下図で示しています。

【調査への所見 行動デザイン予報2026】
今回の調査では、生活者の情報プール率や欲求の変化に加え、自分にとって有益な情報のみ残し、不要な情報は手放す『剪択行動』について見てきました。12欲求では、調査対象者全体で「安全欲」に特に大きな高まりがみられ、不安定化する社会・経済状況の中で自らと周りの安心を守りたいという生活者の意志が読み取れます。
また『剪択行動』に関しても、全体の6割以上が実践していることがわかりました。情報社会が加速し、常に何らかの情報にさらされている生活者が、自身の手で受け取るべき情報を吟味して、より心地よい情報プールを作ろうと行動している姿が伺え、先の安心欲の高まりとも関連があると感じられます。
生活者の情報収集行動が、より自らにとって心地よいものへと整えられていく中で、企業は今まで以上に生活者目線での情報デザインが求められるようになるでしょう。生活者にとって「残したい情報」になるために、生活者が『剪択行動』をしやすい環境を整備したり、各自の興味関心に近い情報を生活者の文脈に合わせたタイミングや場所で提示していく必要があるのではないでしょうか。
行動デザイン研究所では、引き続き『剪択行動』をはじめとする情報・消費行動について、研究を進めてまいります。
【調査詳細1】情報プール(Pool)や情報に関する実感の状況(26年1月/24年11月)
情報プールとは、当研究所が開発した次世代型行動デザインモデル「PIXループTM(参考資料5参照)」で提唱している、生活者が自身の欲求を満たせる役立ちそう/面白そうな情報をSNSや街などの日常からうまく引き寄せ”貯めておく”情報行動です。
●情報プール行動の有無
「情報プールを行っている」割合は72.9%と、2024年度調査と比較して全体で+4.7ptと増加。性年代別でみても、男性10代でわずかに減少したものの、全体的に増加傾向です。

●情報に関する実感(TOP2・上位10項目)
「情報は伝える速さよりも内容の確かさだ」(45.8%)「世の中の情報量は多すぎる」(41.6%)といった情報量や情報の真偽・扱い方への不安のほか、「インターネット上での道徳や基本的な使い方について、指導が必要」(42.6%)といった情報不安への対策意識が上位に並び、前回調査からも増加。また26年から聴取した「AIの呈示する情報は、うのみにはできない」も41.2%と上位4番目に入っており、生成AIを活用した情報収集にも関心と警戒心があることがうかがえます。

【調査詳細2】当てはまると思う12欲求(26年1月/24年11月)
当研究所が定義した、情報プールや気持ちの発火の元となる「12欲求(参考資料6参照)」について、今回調査の値と2024年度調査との差を性年代別にみると、「安心系欲求」に該当する3つの欲求(安全欲、損失回避欲、簡便欲)が24年同様TOP3となりました。特に男性20ー30代、女性30代と若年層の間で増加傾向にあります。昨今の社会情勢や円安傾向など、社会や経済の不安定さが影響している可能性もうかがえます。
●12欲求(TOP2):今回調査

●12欲求(TOP2):今回調査と24年度調査との差分

【調査詳細3】生活者の『剪択行動』について(26年1月)
今回の調査では、自分にとって有益な情報を残し、不要な情報は手放す『剪択行動』についても調査を行いました。
●『剪択行動』の実施有無
『剪択行動』は、全体の6割以上が実施しており、男女ともに10-30代で特に高い傾向がみられました。
一方で、男性50代では『剪択行動』実施者は少なく、年代による差異が読み取れます。

●『剪択行動』の具体的な内容
『剪択行動』の具体的な内容としては、アプリの削除/通知オフがトップ、ついでWEBサイトのブックマーク削除、公式アカウントの削除などが続きました。一方で偏ったアルゴリズムをリセットするような行動は2割程度に留まり、目に見える通知やアプリの削除といったハードルの低い行動から始めている生活者の様子がうかがえます。

●『剪択行動』を行う理由
『剪択行動』を行う理由としては、「自分の本当に知りたい情報を見つけるため」が57.1%とトップで、「偽の情報に惑わされないようにするため」「精神的な余裕を確保するため」が34.5%と続きました。また「情報を処理することに疲れたため」は30.7%と最も低く、生活者が『剪択行動」を情報の質を上げるために能動的な動機から進めている側面もあることが読み取れます。

【参考資料1】当研究所が提起する「PIXループ™」について
PIXループ™とは:

スマートフォンやSNSの普及により生活者の情報/消費行動は大きく変化しています。“いまどき”の生活者は、ネット通販サイトの「買い物カゴ」や写真共有アプリの「いいね」などサイトやアプリの特性を使いこなして自身に相応しい情報を巧みに貯め、「行ってみた」「やってみた」など所有や購買に固執せずとも気持ちを満たせる行動を積極的に取っています。そのため従来のマーケティング手法では捉えにくい層となっていました。
博報堂行動デザイン研究所は、彼らは“情報行動”と“消費行動”を明確に区別しておらず、『Pool (情報を引き寄せ貯めておく)』⇒『Ignite (気持ちに火が点く)』⇒『eXpand (体験をやってみて情報圏を拡げる)』という行動をループさせながら自己充足を図っていることを発見、次世代型行動デザインモデル「PIXループ™」を開発いたしました。この生活者主体の情報/体験行動ループの中に、いかに企業/ブランドが入り込み、消費(購買/契約)行動に結びつく施策をプロットしていけるかがこれからのマーケティングの成否を握ると考えます。
【調査概要】
●2026年 情報行動・欲求に関する調査(今回調査)
実施時期: 2026年1月 9日〜1月 14日
調査方法: インターネットリサーチ(全国)
対象者: 15 歳〜69 歳のスマートフォン保有の男女
サンプル数: 2,000 人
●2024年 情報行動・欲求に関する調査
実施時期: 2024年11月 5 日〜11月 7日
調査方法: インターネットリサーチ(全国)
対象者: 15 歳〜69 歳のスマートフォン保有の男女
サンプル数: 2,000 人
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