祝文化勲章受賞 塩野七生さんが22年間テーマとして「愛撫してきた」アレキサンダー大王の評伝、本日発売
本書は単行本として刊行された『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』を『3 都市国家ギリシアの終焉』(9月に既刊)と本書『4 新しき力』に分冊して文庫化したもの。古代ギリシアで勃興し、現代政治の礎ともなった民主政によって力を蓄えたアテネが巨大帝国ペルシアと対峙します。しかしその民主政とコインの裏表の関係にあるポピュリズムによってアテネで力を失うと、周縁国でマケドニアが台頭。本作はその王子として生まれ、ペルシアを制覇し、インドまで到達したアレクサンドロス大王の短くも烈しい生涯を描いた作品になっています。長編歴史エッセイとしては最後の作品であり、「最後だからもっとも若い男を書きたい」と選ばれたテーマを、執念で描き尽くした傑作歴史長編になっています。
◾️著者のコメント
「書こうかな、書きたいな」という想いを愛撫し続けてきた。時にはコラムか何かでちょっと書いてみて、自分の気持ちを確かめたりして。そして、これ以上はもう待てないというところまで持っていくわけ。(中略)そこまで行って、ようやく書ける。ずいぶん時間はかかりましたけれど、それでもきちんと書いたでしょう? 私、自分の人生はね、あんまりオーガナイズできないの。なんだか散らかった人生です。でも仕事はオーガナイズする。もう二十数年前のことだと思いますが、アレクサンダーを「書ける!」と思って、それからアカレツァーレ、愛撫してきた。
(単行本刊行時のインタビューより https://www.bookbang.jp/review/article/544523)
◾️著者略歴
塩野七生さんは1937年、東京生まれ。少女時代にホメロスの「イーリアス」を読み、地中海世界に興味を持ちます。イタリア遊学中の1969年に「ルネサンスの女たち」を中央公論誌上に連載開始して以後、ルネサンス時代のイタリアや古代ローマ、そして中世、古代ギリシャと、日本の読者に地中海の歴史の厚みを肌で感じさせる作品群を発表してきました。2002には多数の著作を通じてイタリアの歴史と文化を日本に紹介した功績により、イタリア政府よりイタリア国家功労勲章グランデ・ウッフィチャーレ賞を授与されました。著作は韓国、台湾、中国各国で翻訳出版され、それぞれベストセラーに。近年は英語版も刊行され、国際的に読者を獲得し続けています。
◾️書誌情報
【書名】ギリシア人の物語4 新しき力(新潮文庫刊)
【著者】塩野七生
【発売日】2023年10月30日、電子書籍も同日配信開始
【定価】1100円(税込)
【ISBN】978-4-10-118185-8
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