『建設HR』独自分析 建設業における海外人材の現状分析

~人手不足解消のために、海外人材のさらなる積極的な活用が必要~

ヒューマン

総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:御旅屋 貢、以下「当社」)が運営する、建設業界のお困りごとに寄り添うオウンドメディア『建設HR』は、厳しい人手不足が続く建設業における海外人材の現状を分析しました。
建設業における海外人材数は、他の産業と比較しても大幅に増加している一方、特定技能で建設技能工として来日する海外人材は伸び悩んでいる現状が見えてきました。建設業界の人手不足が続く中、特定技能での海外人材を積極的に受け入れ、活用することの必要性が見えてきました。
【本件のポイント】
●建設業での海外人材数は、他産業よりも大幅に増加
●一方で、建設技術者不足が続く中、建設技能工として特定技能にて来日する海外人材数は伸び悩み
●厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」から、建設業における海外人材の現状を分析


■年々高まる海外人材の重要性
労働市場全体の海外人材総数は、現在の統計制度が開始した2008年には48万6千人でしたが、2020年には172万4千人(2008年比255%増)に増加しています。人手不足が深刻な労働市場で、海外人材の重要性は年々高まってきていると言えます(図表①)。2020年はコロナ禍の影響もあり、増加率は前年比4%増にとどまりましたが、増加傾向は続いています。

【図表① 海外人材数総数の推移】

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成


■建設業での海外人材が占める割合は2.25%
2020年の海外人材の占める割合は、全産業合計では、2.58%となりました(図表②)。産業分野別にみると、海外人材の占める割合が最も高いのは、「他に分類されないサービス業」が6.13%、次いで「飲食店、宿泊業」が5.19%、「製造業」が4.61%、「情報通信業」が2.97%、「学術研究、専門技術サービス業」が2.39%、「建設業」が2.25%となり、建設業は6番目に海外人材が占める割合が高い産業分野となりました。

【図表② 2020年における産業分野別の海外人材数、海外人材が占める割合】

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」、総務省統計局「労働力調査」より作成出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」、総務省統計局「労働力調査」より作成


■建設業の海外人材数は、2008年比で約14倍に増加
建設業で働く海外人材数の推移をみると、現状制度の統計が始まった2008年の8千人から、2020年には11万1千人となり、約14倍に増加しています(図表③)。一方、全産業でみると、2020年の海外人材総数は、2008年の約3.6倍の増加にとどまっています(図表①参照)。このことから、建設業の海外人材は他の産業と比べ、大幅に増加していることがわかります。

【図表③ 建設業における海外人材数の推移】

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成


■建設業の専門的・技術的分野で働く海外人材は、5年連続で前年比30%以上増加
建設業で働く、技能実習と専門的・技術的分野の在留資格を有する海外人材をみると、技能実習(図表④)、専門的・技術的分野(図表⑤)ともに増加傾向が続いています。特に、専門的・技術的分野では5年連続で前年比30%以上の増加となりました。
建設業では技能実習生だけではなく、専門的・技術的分野で働く海外人材も大幅に増加してきていることが分かります。

【図表④ 建設業における技能実習の在留資格の海外人材数の推移】

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成

【図表⑤ 建設業における専門的・技術的分野の在留資格の海外人材数の推移】

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」より作成


■建設技能工として働く海外人材は2020年6月末から大幅増加
深刻な労働力不足に対応するため、2019年4月に出入国管理法が改正され、在留資格に特定技能が創設されました。特定技能は、農業や建設、介護など単純労働とみなされるために、海外人材の従事が認められていなかった14分野において、5年間就業できる在留資格です。建設業では、型枠施工、左官、とび、建築大工など、人材が特に不足している建設技能工が該当します。
特定技能の海外人材数(※1)の推移をみると、14分野計が2020年6月末の5,950人から2021年6月末には29,144人と、約5倍に増加しています(図表⑥)。一方、型枠施工、左官、とび、建築大工などの建設分野では、同374人から同2,781人と約7倍に増加しており、全体平均以上に増加していることが分かります。ただし、政府は当初5年間で最大で約34万5千人の受け入れを目標としており、充足率(受け入れ数÷受け入れ目標数)は約8%にとどまっています。建設分野の受け入れ目標数は4万人とされており、充足率は約7%にとどまっているなど、普及は期待されたほどには進んでいません。

※1)特定技能には1号と2号があるが、現時点では2号はいないため、ここでは特定技能1号の人数を対象としています。
※「特定技能1号」:建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業の14の業種での「相当程度の知識または経験を必要とする技能と認められる業務に従事する海外人材向けの在留資格
※「特定技能2号」:建設業、造船・舶用工業の2つの業種で、熟練した技能を要する業務に従事する海外人材向けの在留資格で、家族滞在や在留期間更新が可能

【図表⑥ 特定技能1号在留海外人材数の推移】

出典:出入国在留管理庁「各四半期末の特定技能在留外国人数」より作成出典:出入国在留管理庁「各四半期末の特定技能在留外国人数」より作成


■まとめ
建設業で働く、技術的・専門的分野の在留資格を有する海外人材は5年連続で年率30%以上増加し、2020年には10,868人となりました。建設技術者の人手不足が続く中、建設業各社が海外人材の建設技術者確保に積極的に動いていることが推察されます。
また、同じく厳しい人手不足が続く建設技能工については、2019年4月に新たに創設された特定技能の在留資格での海外人材数が伸び悩んでおり(2021年6月末で2,781人)、今後は、人手不足の解消のためにも、この特定技能の海外人材をさらに積極的に受入れて活用することが必要であると考えられます。

 

【本レポートの全文はこちらから】
『建設HR』は、建設業界のよりよい人材獲得につながる資料提供を目的に、
建設HRが公的データを基に独自の視点でまとめた「独自分析レポート」を発表しています。
今回の独自分析の全文は、海外人材の国籍別や在留資格別についてもまとめています。
建設HR独自分析レポート (2021年10月) ※レポート閲覧は会員登録が必要です。
https://kensetsu-hr.resocia.jp/limited/ original_202110


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●建設HR WEBサイト: https://kensetsu-hr.resocia.jp

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ヒューマンリソシア株式会社
●代表取締役: 御旅屋 貢
●所在地: 東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア1階
●資本金: 1億円
●URL: https://resocia.jp

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電話番号
03-6846-8002
代表者名
佐藤 朋也
上場
東証スタンダード
資本金
12億9990万円
設立
2002年08月