話題を呼んだ『姫君を喰う話』に続く傑作集刊行! 新潮文庫1月新刊『アルマジロの手 宇能鴻一郎傑作短編集』は12月25日発売。 官能小説の巨匠が贈る〈偏愛〉〈変態〉〈BL〉……7編を収録!
「官能文学の巨匠」「謎めいた作家」と呼ばれる宇能鴻一郎氏は、今年89歳。しかしその活力は衰えることを知りません。いったい元気の秘密は何なのか。単刀直入に訊いてみました。すると、
「私はこれが普通だから、何という事もありませんよ。いまでも丸太材をチェーンソーで切って、マサカリを振るって薪にしています。暖炉用にね。何でもなるべく自分でやるようにしている。邸が広いからよく歩いてはいますがね」
宇能氏は食エッセイの傑作『味な旅 舌の旅』を上梓したように、食に対するこだわりも強いのですが、それもエネルギーの源では?と聞くと、以前は邸にフレンチのシェフを呼び、晩餐会を開いたといいます。最近こそ食べる量は減ったものの、好みの店は決まっていて、ホテルの高級割烹から街場の居酒屋まで、どこも自分の舌で見つけた店ばかり。「銀座なんか高いばかりで面白くない」と、東京には一切行かないそうです。
お気に入りの店に行けば、テーブル一杯に料理を注文し、特大のピルスナーグラスで生ビールを飲み干し、不敵な笑みを浮かべる。担当編集者にも負けない飲みっぷりで、興が乗れば、張りのある声でオペラを一節歌う。その姿は、とても89歳とは思えず、やはり「謎めいた作家」というほかないようです。
最新刊の本書には、食をテーマにした短編が収録されています。むさぼり喰らう快楽にとり憑かれた男の幸福を描いた「月と鮟鱇男」や、鰻好きを自認する男の新婚旅行を描く「鰻池のナルシス」など、食と性の根源に迫る傑作です。食べる場面の濃密な描写は、前作『姫君を喰う話』を読んだ方は周知のことでしょう。
この他、甘美な爛熟世界に堕ちた男を描く傑作「魔楽」は、BL文学というには憚られるほどの「本格派」。官能の深みと人間の深淵を短編に昇華させた極上の七編です。
■著者略歴
宇能鴻一郎(うの・こういちろう)
1934(昭和9)年生れ。東京大学文学部国文学科卒業後、同大学院博士課程中退。在学中に発表した短編「光りの飢え」が芥川賞候補となり、翌’62年、「鯨神」で第46回芥川賞受賞。『逸楽』『血の聖壇』『痺楽』『べろべろの、母ちゃんは……』『むちむちぷりん』『夢十夜 双面神ヤヌスの谷崎・三島変化』『姫君を喰う話』『甘美な牢獄』『アルマジロの手』等著書多数。他に名エッセイ『味な旅 舌の旅』がある。
■書誌情報
【書名】 『アルマジロの手 宇能鴻一郎傑作短編集』(新潮文庫刊)
【著者】 宇能鴻一郎
【発売日】 2023年12月25日、電子書籍も同日配信開始
【定価・電子書籍の希望小売価格】 693円(税込)
【ISBN】 978-4-10-103052-4
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