TOPPANホールディングス、MDACCと細胞培養技術の応用に関する共同研究契約を締結
MDアンダーソン研究者と、独自3D細胞培養技術「invivoid®」を活用した抗がん剤の臨床的有用性の評価検証を開始
本共同研究では、TOPPANホールディングス独自の3D細胞培養技術「invivoid®」(※2)を活用し、MDACC から提供されるがん患者のがん組織の一部から、体外に「がん患者アバター」を作製し、抗がん剤を「がん患者アバター」に投与し、抗がん剤評価における臨床的有用性を検証します。また、免疫機能を付与したモデルの「がん患者アバター」を用いて、MDACCが研究している免疫治療薬の評価も実施します。
TOPPANホールディングスは、MDACCのKOL(Key Opinion Leader)であるGregory Lizee教授(メラノーマ腫瘍学部門)、Scott Kopetz教授(消化器腫瘍学部門)との共同研究を通じ、「invivoid®」を用いた抗がん剤選択検査手法の確立と技術認知を高めるとともに、個々の患者ごとに最適な抗がん剤を選択するがん個別化医療の実現を目指します。
■ 共同研究の背景
がんの診断や治療が日々進歩する中、基礎研究分野では様々ながんと関係する遺伝子が解明・特定されつつあります。この知見をもとに遺伝子検査や患者組織を移植したマウス(PDXマウス)を使った抗がん剤の効果判定検査などが行われています。しかし、遺伝子だけで抗がん剤を選択することが困難であり、またPDXマウスはコストが非常に高く、薬効評価を行う処理性能の低さなどの課題がありました。
このような課題に対し、TOPPANホールディングスは、大阪大学大学院工学研究科の松﨑典弥教授と、生体組織を再現可能な3D細胞培養技術「invivoid®」を開発。また、この技術を用いて、公益財団法人がん研究会(所在地:東京都江東区、理事長:浅野 敏雄、以下 がん研)との共同研究では、がん患者20症例の「がん患者アバター」とPDXマウスとの比較を実施し、延べ58群の抗がん剤セット(※3)の効き目における良好な結果を確認し、2025年の先進医療化を目指しています。
このような中、TOPPANホールディングスは、米国のMDACCと「invivoid®」によりがん患者のがん細胞を体外に再現し、正しく抗がん剤を評価するための共同研究を開始します。また、本共同研究を含め、今後の米国における研究活動を通じ、CLIA認証(※4)を取得し、米国でのがん検査事業を立ち上げ、個々の患者ごとに最適な抗がん剤を選択するがん個別化医療の提供を目指します。
■ 共同研究の概要
・研究テーマ
(1)抗がん剤評価における、「がん患者アバター」の臨床的有用性を検証
「invivoid®」により、大腸がんや肺がんの患者のがん組織を再構築した3D細胞である「がん患者アバター」を、1枚の手のひらサイズのプレート容器上に独立して約100個作製し、抗がん剤評価を実施します。
(2)免疫治療薬評価における、「がん患者アバター」の臨床的有用性を検証
MDACCが研究を進めている「免疫治療薬」評価において、免疫機能を付与した「がん患者アバター」をモデルとした新しい免疫治療薬の評価を実施します。
・実施期間
2026年6月まで
・TOPPANホールディングスの役割
TOPPANホールディングスは、大阪大学大学院工学研究科の松﨑典弥教授と開発してきた3D細胞培養技術「invivoid®」と、この技術を用いたがん研との共同研究で実証してきた「がん患者アバター」による薬理効果を評価する手法を活用し、大腸がんと肺がんにおける抗がん剤評価を実施します。また、本共同研究を通じ、米国検査事業に向けた臨床エビデンスを取得します。
■ 今後の予定
TOPPANホールディングスは、MDACCと連携して「invivoid®」を用いた抗がん剤の効果判断の臨床研究を実施し、2026年には米国での「invivoid®」によるがん個別化医療の事業化を目指します。
※1テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(MDACC)
※2 3D細胞培養技術「invivoid®」
https://www.holdings.toppan.com/ja/invivoid/index.html
※3 58群の抗がん剤セット
20症例のがん患者由来細胞に対し、延べ58の抗がん剤評価を行い、「invivoid®」とPDXマウスとの結果を比較
※4 CLIA認証
CLA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)は1988年に米国で制定された法律の一部で、米国の医療機関のラボで実施する臨床検査の品質が品質基準を満たしていることを証明するもの。これにより患者と医療提供者は、検査結果が信頼できることを確認できます
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以 上
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