JR上野駅を『文化創造HUB』へ！～駅を起点に人とまち・地域をつなぐ、共創型まちづくりを推進します～

東日本旅客鉄道株式会社

2025年11月11日 19時10分

○JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「勇翔2034」に掲げるライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)実現に向け、JR上野駅を『文化創造HUB』として位置付け、駅の“つなげる（HUB）”機能を拡張し、「文化」を通じて、「ひと」と「まち」・「地域」をつなぎ、新たな価値を創造します。

○2026年春、「Beyond Stations構想」のモデル駅である上野駅に、当社駅最大級のゼロカーボンメディアやショールーミングスペースを新たに整備し、『文化創造HUB』の舞台が完成します。さらに、生活のデバイスに進化する「Suica」機能を活用し、えきまち一体のシームレスな移動・文化体験ができる社会の実装を目指します。

○駅における「文化体験の創造・魅力発信」と「まち・地域の回遊」の循環を通じて、まち・地域とともに駅を起点とした共創型まちづくりを推進し、国際都市・東京の文化的価値をさらに高めていきます。

１．上野駅を『文化創造HUB』へ

　上野駅は、歴史ある街並みや多彩な文化施設が集積する、日本屈指の歴史・文化に触れられるまちの玄関口であるとともに、古くから東京と地域をつなぐ北の玄関口として、重要な役割を担っています。

　JR東日本グループは、上野駅を『文化創造HUB』として位置づけ、駅の“つなげる(HUB)”機能を強化し、世代や国籍を超えて、すべての人が心の豊かさを感じられ、駅とまちが一体的かつ持続的に成長できる共創型まちづくりを推進します。また、アートと歴史・下町・伝統芸能を特色とするウォーカブルな文化回遊廊を「Suica」機能を活用して形成し、駅から「文化体験の創造・魅力発信」と「まちの回遊」の循環を促すことで、えきまち一体のシームレスな移動・文化体験ができる社会の実装を目指します。さらに、「北の玄関口」として、東北・上信越等地域の魅力を駅から発信し、観光流動の創出・交流人口拡大につなげます。

２．上野駅の“つなげる(HUB)”機能の強化

（１）駅空間のリアルな“つなげる(HUB)”機能

　2026年春、グランドコンコースは、当社最大級のゼロカーボンメディア「UENO CANVAS」(約75㎡)とショールーミング空間「UENO ZERO」(約225㎡)を常設完備し、歴史ある大屋根空間を活かした、アートやサイネージ、光、音が調和する、新しい鑑賞体験空間へと変わります。これに加えて、「上野広小路口ビジョン」「ポレイア広場」「PLATFORM13」「CREATIVE HUB UENO “es”」や「パンダ橋」新幹線地下３階コンコース「ときめき広場」など、駅空間全体が、リアルな『文化創造HUB』となり、「文化」を通じて、「ひと」と「まち」・「地域」をつなげる舞台として完成します。上野駅は、駅空間全体で、東京の文化価値や地域の豊かな文化価値を国内外に発信し、新たな事業価値の創造を図ります。

（２）まちとデジタルで“つなげる(HUB)”機能

　上野駅では、2026年春に向けて、生活のデバイスへと進化する「Suica」機能等を活用し、「えきまち一体のシームレスな移動と文化体験が可能な社会の実装」を目指します。

　たとえば、Suicaで改札を通った情報と連動して、チケット購入サイト「JRE MALLチケット」に出店の「イベントチケット」をシームレスに購入できるサービスを提供します。

　また、台東区や地域の文化施設等と連携し、文化回遊廊を巡り、施設等のデジタルスタンプを収集できるサービス（エキタグ）等、まちとデジタルで“つなげる（HUB）”サービスを拡充し、まちへの回遊促進に貢献します。

　さらに、現在のみどりの窓口等で試験運用中の混雑状況の見える化を、「JR東日本アプリ」を通じて、アトレ上野を含めた駅構内の混雑状況の見える化に拡張し、お客さまのまちの滞在・回遊における時間価値向上に貢献します。　　　　　

※「エキタグ」は株式会社ジェイアール東日本企画の登録商標です。

３．“つなげる(HUB)”機能を活用した「文化体験の創造・魅力発信」と「まち・地域の回遊」の循環

（１）アートで「ひと」をつなげる

　上野駅がまちと共に発展してきた歴史を重視し、歴史や文化を次代につなぐ取り組みとして、猪熊弦一郎氏が1951年に制作した壁画《自由》の修復や、平山郁夫氏原画・監修によるステンドグラス《昭和六十年春ふる里・日本の華》の修復を進めています。ステンドグラスは、新幹線改札内への移設・修復をしており、これまで以上に身近に作品を鑑賞できるようにします。

　また、2026年春に向けて、世代・国籍・障がいの垣根等を超え、すべての人に、豊かなアート回遊体験を提供するために、包括連携協定を締結した東京藝術大学の協力のもと、駅構内に点在するアート作品・拠点を解説するツアーの実施や、案内サインを整備します。案内サインの二次元コードからWEBに誘導し、多言語対応や障がいのある方にも配慮したアートの解説動画やマップを提供することで、アートへの興味・関心をひろげていきます。

　さらに、JR東日本グループは、上野駅の『文化創造HUB』の機能・価値向上に向け、アートファン等の参加を募る共創、かつ、持続可能な文化創造エコシステムの構築に挑戦します。発表の場を求めるアーティストと応援・支援者をクラウドファンディングによるマッチングを通じて、「ひと」とアートをつなぐ共創の循環を繰り返し、上野駅の文化価値のサスティナブルな高まりをまちに循環させます。　

　これに加えて、藝大生等と連携したワークショップや音楽、パフォーマンス等の知的好奇心を刺激するアート体験・イベント、並びに、「PLATFORM13」等での幅広い世代が共感できる“推し”の映像掲出等を通じたアート体験等を通じて、上野のまちの文化集積・魅力へ興味・関心をつなげていきます。今後は、東京都美術館等、上野駅周辺の文化施設との連携を拡大し、まちと共創しながら、上野文化回遊廊を充実させていきます。

（２）2つの上野文化回遊廊の魅力で「ひと」をつなげる

　上野・浅草エリアは、歴史・文化の集積の魅力に加え、成田空港へのアクセス性に優れており、訪日旅行客の多いエリアです。2026年春に向けて、上野駅の「JR EAST Travel Service Center」を、「上野の桜」をモチーフに、まちの歴史や文化を感じられる空間へと刷新します。

　「UENO CANVAS」では、まちと連携して情報を発信し、現地への興味・関心を高め、駅を起点にまちや地域を巡るきっかけを提供します。さらに夕方以降に、地域の事業者や文化施設と連携し、街歩き、アート鑑賞、食文化体験、伝統芸能などを組み合わせた「ナイトツアー」や、「ナイトマルシェ」を開催。駅を起点に“夜の上野”の魅力を発信し、文化と観光が融合する新たなナイトカルチャーを創出します。

　併せて、駅構内で、手荷物預かりやホテル配送など、観光客のシームレスな移動を支えるサービスを拡充することで、上野駅のまちと来訪者をつなぐ“案内役”としての役割をさらに強化します。

（３）地域の豊かな文化で「ひと」をつなげる

　上野駅の“つなげる(HUB)”機能を活用して、五感で地域の魅力を体験できる「つながる産直市」を実施します。「上野広小路口ビジョン」「UENO CANVAS」「PLATFORM13」等による情報発信に加えて、地域の新鮮な食材を駅へ直送する鉄道輸送サービス「はこビュン」や、「UENO ZERO」「ポレイア広場」等ショールーミングスペースでの試飲試食、地域の生産者・クリエイターとのリアルなコミュニケーションや地域のまつり等迫力ある伝統文化の鑑賞体験等を組み合わせることで、地域の魅力をこれまで以上に豊かに体験できるようになります。地域の魅力を地域の新たな「食」や「工芸」の発表の場としても活用し、駅での地域体験を創造し、地域の経済活性化や、新たな魅力発掘の共創・循環をつくります。

【参考】

1．上野駅の“つなげる(HUB)”機能

Yamanote Line Museum「上野駅公園口」

美術館や博物館などの文化施設へとつながる上野駅公園改札内の壁面を彩る展示空間。壁面の一部はライブペインティングができるスペースとなっており、作品入れ替え時はアーティストのライブペインティングを見られることもある。

※開場：始発～終電まで

Yamanote Line Museum「上野駅正面玄関口ガレリア」

2002年開業。歴史的な雰囲気を感じながら、ゆったりとアートをお楽しみいただける展示空間。東京藝術大学の協力のもとアート作品の展示を開始し、開催毎にテーマを決め、テーマに沿った展示を行っている。（2026年1月から工事で一時閉館）

※開場：始発～終電まで

Yamanote Line Museum「CREATIVE HUB UENO "es”」

2024年4月開業。上野駅の交番跡地をリノベーションした、東京藝術大学の学生・卒業生の多様な作品等を展示するギャラリー。

※開場：11:00～19:00

※休場：月曜日（祝日の場合は翌日に振替）

※入場料：無料

PLATFORM13

2024年8月開業。全長約100mの圧倒的なスケールで、ホーム全体を使ってコンテンツ投映・空間演出できる、唯一無二の映像体験空間。デジタルアートや観光プロモーション、推し活等様々なコンテンツを世界観に合わせて投映できる。車両を活用したユニークなイベントも実施可能。

※放映時間　8：00～21：30。一部時間帯、曜日において放映を停止している

上野広小路口ビジョン

約50㎡（Ｗ9.5㎡×Ｈ5.0㎡）の巨大なＬ字型サイネージという特徴を活かして、3D映像と音声を組み合わせた迫力ある演出が可能（2D映像も放映可能）。松竹株式会社と連携し、日本の伝統文化「歌舞伎」の演技をするパンダの裸眼3D映像等もこれまでに放映。

※放映時間　6：59～23：01

ポレイア広場

上野広小路口ビジョンで放映される広告映像にあわせて実物に触れられる、イベントやキッチンカーによる販売など幅広く活用頂けるスペース。

※利用時間：10:00～21:00

UENO CANVAS　New！

2026年春に向けて、グランドコンコースに新しく整備するJR東日本最大級の約75㎡のゼロカーボン・デジタルメディア。照明による環境演出も行い、グランドコンコース全体が映像・光・音で調和する。まちや地域の魅力発信や、アートや新商品の発表等、東京の文化的価値を国内外に向けて多彩な情報発信可能に。

UENO ZERO　New！

2026年春に向けて、「UENO CANVAS」を核としたグランドコンコースのショールミングスペース空間。JR東日本最大級の約225㎡のスペースであり、『文化創造HUB』として様々な文化体験を育む拠点。

【参考】

２．上野駅構内のアート作品

猪熊弦一郎　《自由》

1951年制作の壁画。

中央改札上部に設置。戦後復興期に「人間の自由」をテーマに優しい色使いで描かれている。現在、1985年、2002年につづく3回目の修復を修復研究所21が実施。浮き上がり接着、洗浄、欠損部の充填整形の作業中。今後、補彩・ワニス塗布を予定。

平山郁夫《昭和六十年春ふる里・日本の華》　

1985年制作のステンドグラス。

東北・上越新幹線の上野開業を記念し、（公財）日本交通文化協会が企画、当時東京藝大教授だった平山郁夫氏が原画・監修した。現在、ステンドグラス制作元のクレアーレ熱海ゆがわら工房にて修復中。2026年度に新幹線改札内にアイレベルで再設置する。

朝倉文夫　《翼》

1958年設置のブロンズ像。

上野駅開業75周年および東北初の特急列車「はつかり」運行開始を記念して、台東区役所を通じて寄贈された。当時、みどりの窓口付近に設置後、流動を考慮して広小路口広場に移設されたのち、1977年の鉄道記念日に中央コンコース（現グランドコンコース）に移設された。

朝倉文夫　《三相》

1959年設置のブロンズ像。

上野駅開業75周年式典に出席した当時75歳の朝倉氏が「自分も上野駅も明治16年生まれ」との縁から、台東区を通じて駅に寄贈された。知性・情感・意志という人間の心的三要素（＝三相）を表現している。当初は広小路口広場に設置されていた。

王学仲《上野四季繁栄図》　

1985年設置の陶板レリーフ。

上野駅開業100周年記念事業として1983年に制作され、1985年東北・上越新幹線上野開業に合わせて駅構内に寄贈・設置された。上野観光連盟の寄贈で、日中友好の趣旨も込め、天津大学の王学仲教授が原画を担当。陶板は景徳鎮（中国江西省に位置する陶磁器の名窯）で制作された。

高桑エリカ　《青森ねぶた》

1985年設置の木彫り彫刻壁画。

新幹線開業記念として、青森県・青森市・青森営林局・青森商工会議所が協議の上、新幹線１階乗換改札内に設置。その後、現在の旧18番線ホーム（集団就職列車用ホーム）に移設された。レリーフには青森ひば（ひのきあすなろ）が使用されている。

絹谷幸太　《故郷の星》

1995年設置の銅板モニュメント。

東京不忍ライオンズクラブより20周年記念行事として、地域社会の文化、福祉の向上を目的に寄贈。中央改札外に設置後、2002年に中央改札外から改札内に、その後2021年に新幹線地下3階改札内に移設。地方から上京する若者を見守る象徴として設置されたモニュメント。天井に向かって伸びる金色の星が「希望」や「未来」を象徴している。