社保料・税金滞納で倒産、2025年度は221件 過去2番目の高水準 ほぼ全件で「破産」 滞納後の事業再建、難易度の高さ鮮明
「公租公課滞納型」の倒産動向(2025年度)

帝国データバンクは、消費税や固定資産税などの各種「税金(公租・租税)」、厚生年金保険や健康保険などの「社会保険料(公課)」について納付ができない、または滞納状態が続いたことで自社の資産等を差し押さえられ経営に行き詰まった企業の倒産(公租公課滞納倒産)について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年度に発生した「公租公課滞納型」の倒産件数は221件だった。前年度からは減少したものの、過去10年で2番目の高水準で推移した(最多は2024年度:269件)。ほぼ全件が「破産」となり、一度「公租公課」を滞納してしまうと、その後の経営再建にとって大きな障害になる現状が浮き彫りとなった。
集計期間:2016年4月1日~2025年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産。2024年度以前は、最新情報を基に新たに判明した倒産事例を含む
社保料・税金滞納で倒産、2025年度は221件
社会保険料や税金など「公租公課」の滞納が要因となった企業の倒産(「公租公課」滞納倒産、負債1000万円以上)は、2025年度に221件発生した。前年度(269件)から48件・17.8%減少したものの、過去10年で2番目の高水準で推移した。このうち、倒産態様では2025年度に発生した221件のうち、97%・215件が「破産」とだった。
手元資金の確保を目的とした「公租公課の滞納」は、金融機関のリスケジュールと異なり、売掛金や事業用口座が強制的に差し押さえられる。差押えを受けた場合、金融機関などからの借入金は期限の利益を喪失し、資金繰りが大幅に悪化しやすく、その後の経営再建に大きな障害となってしまう。

2025年度の公租公課滞納倒産を業種別でみると、「建設業」が最も多く62件だった。以下、ソフトウェア開発等を含む「サービス業」(60件)、トラック運送などの「運輸・通信業」(26件)となった。多くの業種で前年度から減少したものの、資材費や燃料費の高騰を発注元へ価格転嫁できず手元資金が減少し、社保料・税金の滞納で事業停止に追い込まれた建設業や運輸業で発生が目立った。
建設業では、発注元の工事に対する依存度が高いほど利益率が低く、資材費の高騰を価格転嫁できずに収益性が悪化し、滞納する公租公課費用を捻出できない企業が多かった。また、官公庁案件の入札や、大手ゼネコンからの発注条件として「社会保険の加入および完納」を求められるケースも多く、社会保険料を滞納したことで受注資格を失い、事業に行き詰まるケースもみられた。運輸業では、燃料費の高騰に加え、採用競争の激しいドライバーの確保・定着に向けた人件費や業務委託費の上昇が利益を圧迫し、キャッシュ確保のために社会保険料や消費税を滞納せざるをえず、税務当局からの差し押さえを受けることで給与支払いなどがストップし、そのまま事業が継続できなくなるケースが多かった。

社会保険料や各種税金の納付は企業が公平に負う義務であり、差し押さえ等で事業継続に行き詰まる企業の増加を税務当局の責めに帰すことはできない。ただ、足元の円安や資源高による物価高などの影響も重なり、公租公課の支払い催促に対して十分な資金が不足する中小企業は少なくない。
2026年度は中小企業でも人手確保に向けて高水準の賃上げをせざるを得ない局面を迎える。ただ、無理な賃上げは会社、従業員ともに社会保険料の負担が増大し、賃上げ原資に乏しい中小企業にとっては大きな負担にもつながりかねない。増加した社会保険料や税金の支払いを賄えるだけの利益確保ができず、事業継続を断念するケースは、今後さらに増えていくことが予想される。
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