【「クマ問題」を歴史から読み解く】クマは敵なのか?隣人なのか? 人と野生動物の関係を見つめる記録と思索『クマの民俗誌』8月17日発売!

河出書房新社

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、筒井功氏の新著『クマの民俗誌』(税込定価2,750円)を、2026年8月17日に発売いたします。

●著者 筒井功より、刊行に寄せて

本書「はじめに」より抜粋

 日本には、北海道にのみ分布するヒグマ(正式の和名はエゾヒグマ)と、本州および四国にだけ生息するツキノワグマの二種のクマ科動物がいる。九州にも、かつてはツキノワグマが棲んでいたが、すでに絶滅したとみられる。昭和16年(1941)12月を最後に捕獲例がないうえ、以後は確実な目撃情報も知られていないからである。

 令和7年(2025)の、とくに秋は、北海道と本州で、それまでの常識では考えられないほどクマが人間の生活域に出没し、住民の被害が相次いだ。死亡する人や負傷者が過去のどの年とくらべても突出して多く、新聞やテレビが、そのニュースを伝えない日は、ほとんどなかった。

(中略)

 本書は、いま生じている人とクマとの不幸な出合いを避けるために、何かの提言をしようとする試みではない。筆者には、それをするだけの知見はないからである。これはあくまで、人とクマとは、どのような形でつながっていたのかを取上げた、ささやかな記録であり、クマをめぐる「夜話」である。ただし、かつて絶滅寸前だといわれ、いまもその状態がつづいている四国で、筆者がうかがった話などには、クマとの共生を考えるうえで、多少の参考になるところはあるかもしれない。

近年、クマの市街地への出没や人的被害が相次ぎ、人と野生動物の共生があらためて問われています。

民俗研究者・筒井功さんの最新刊『クマの民俗誌』は、長年の取材とフィールドワークを通して、マタギの暮らしや狩猟文化、捕獲罠、絶滅地域の記録などを丹念にたどり、人とクマが長い歴史のなかで築いてきた多様な関係を見つめ、問い直しています。

問題の解決策を性急に提示するのではなく、民俗学の視点から、失われつつある記憶と知恵を掘り起こす。人間と野生動物が共に生きる社会のあり方を、静かに問いかける一冊となっています。

クマをめぐる議論が混迷する日本の現代社会へおくる、かつてない記録と思索の書『クマの民俗誌』の発売にぜひご注目ください。

『クマの民俗誌』目次

はじめに    

第一章 マタギのふるさとで    

1 秋田県・阿仁川上流の猟師たち    

2 「一九七九年まで死亡事故はなかった」    

3 クマの狩猟方法    

4 「最近までヒラも仕掛けていた」    

5 もう一つのマタギのセンター上桧木内    

6 仙北の二人のマタギ    

第二章 マタギの移動と移住    

1 ブナの大木に刻まれていた先祖の名    

2 鈴木牧之『秋山記行』より    

3 北秋田から信越国境の秋山郷へ移り住む    

4 秋山郷での近代のクマ狩り    

5 マタギの足跡をたどる    

6 マタギはアイヌ人の末裔である    

 第三章 谷川岳南麓のクマ猟師と「オス」のこと

1 「昭和三十五年ごろまでは猟で生活できた」    

2 戦後もつづけられていたクマオス猟    

3 誤ってオスに入り圧死した旅芸人    

4 小学生の少女が最後の犠牲者であったか    

5 オスと地名    

6 『寺川郷談』に見える土佐の大型獣猟    

第四章 クマの胆いの話    

1 「クマの値段は三分の二以上が胆ですよ」    

2 富山県・利賀村最後の職業猟師の回想    

3 琵琶湖畔のクマ猟師とクマの胆

4 仲買い人の立場    

5 クマの胆の効能について    

6 かつては金(きん)の何倍も高かった    

第五章 ヒグマとツキノワグマ    

1 ウマとロバほどの体格差がある    

2 はからざる実験    

3 三毛別ヒグマ事件    

4 福岡大学ワンダーフォーゲル部事件    

5 山梨県・朝神村事件    

6 老猟師がツキノワグマに顔を一撃される    

第六章 クマによる被害と捕獲罠の歴史    

1 二〇二五年に死亡者が急増する    

2 被害は主に針葉樹と果樹であった    

3 静岡県水窪町での皮はぎ被害    

4 「熊撲滅会」を設立する    

5 田中式捕獲罠の登場    

6 箱罠(はこわな)悲話

第七章 絶滅地域と絶滅に瀕している地域    

1 九州では、すでに絶滅    

2 東北・関東境の八溝山麓の場合    

3 徳島県・第二次大戦後のクマとクマ狩り    

4 「クマは絶滅してくれることが望ましい」    

5 四国で捕殺された最後のクマのこと    

6 絶滅は気づかないうちに訪れる    

おわりに    

●著者紹介

筒井 功  Isao Tsutsui

1944年生まれ。民俗研究家。 著書に『サンカの真実 三角寛の虚構』『葬儀の民俗学』『新・忘れられた日本人』『サンカの起源』『猿まわし 被差別の民俗学』など。

●新刊情報

書名:クマの民俗誌

著者:筒井功

仕様:46判/上製/192ページ

発売⽇:2026年8月17日

税込定価:2,750円(本体2,500円)

ISBN:978-4-309-23205-8

装幀:隈阪暢伴

URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309232058/

※電子書籍は9月以降に発売予定です。詳細は各ストアでご確認ください。

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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区東五軒町2-13
電話番号
03-3404-1201
代表者名
小野寺優
上場
未上場
資本金
3000万円
設立
1957年05月