2026年度 設備投資計画
鉄道事業の持続的成長を目指し、安全投資を軸に総額約641億円の設備投資を実施
当社は、中期事業戦略の最終年度となる2026年度に、総額約641億円の設備投資を行います。鉄道施設や設備の適切な維持更新や激甚化する自然災害対策といった安全投資を過去最高額となる約511億円実施するほか、デジタル技術を活用した運営・お客さまサービスの高度化や新たな移動需要創出などを実施します。
引き続き、中期事業戦略(2024~2026年度)に基づき、多様な「移動」を通じたリアルな体験がもたらす価値を通じて社会に貢献し続け、「移動」の価値を追求する企業へ進化するため、安全投資と成長投資の両輪による鉄道事業の持続的成長を目指します。
主な取り組み
価値① 安全で安心な移動の持続的な提供
戦略Ⅰ.安全・安心な鉄道の追求
・車両の新造(大井町線・田園都市線)、リニューアル(目黒線・東横線・東急新横浜線)
・駅のリニューアル(桜新町駅、田奈駅、宮崎台駅)
・各種自然災害対策(降雨・浸水対策、耐震補強工事)
・老朽化した土木構造物の維持・更新(たまプラーザ駅付近のトンネル、鶴見川橋梁)
・信号保安装置の更新(目黒線ATC※1更新、田園都市線・大井町線CBTC※2システム導入推進)
・鉄道の安全運行を支える従業員の職場環境改善(長津田車両工場、長津田検車区、元住吉総合事務所、各駅職場)
戦略Ⅱ.運営高度化と業界連携強化
・駅オペレーションの効率化に向けた駅務機器のさらなる高度化や遠隔サポート体制の構築
・大井町線におけるワンマン運転実施に向けた工事
・田園都市線・大井町線におけるTASC※3の導入に向けた工事
・データ活用・分析による保守の高度化(データ基盤、状態保全(CBM※4)システム)
・最新技術を活用した運転業務や点検・検査業務の高度化・効率化(AI画像解析技術、四足歩行ロボットなど)
価値② 新たな移動の創出
戦略Ⅲ.マーケティングによる沿線活力の創出
・クレジットカードのタッチ決済・QRコード※5を活用した乗車サービスの拡大
・東急線アプリの機能向上
戦略Ⅳ.鉄道ネットワークの価値最大化
・田園都市線鷺沼駅改良工事
・ホームと車両の段差・隙間縮小
・田園都市線・大井町線における旅客案内装置の更新
・大井町線戸越公園付近の連続立体交差事業への取り組み
価値③ 移動に伴う地球環境課題の解決
戦略Ⅴ.鉄道による環境・社会課題の解決
・省エネに向けた各種取り組み(駅構内照明のLED化など)
・田園都市線市が尾変電所への大規模蓄電システムの設置
・木材活用による駅リニューアル(石川台駅木になるリニューアル、田奈駅リニューアル、桜新町駅木造出入口上家)
2026年度の設備投資計画の詳細などは別紙の通りです。
※1 Automatic Train Control(自動列車制御装置)
※2 Communications-Based Train Control(無線式列車制御)
※3 Train Automatic Stop-position Control(定位置停止支援装置)
※4 Condition Based Maintenance(状態保全)
※5 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標・JIS、ISO規格です。
【別紙1】 2026年度 設備投資計画 詳細
価値① 安全で安心な移動の持続的な提供
Ⅰ.安全・安心な鉄道の追求
高度経済成長期以来、輸送需要増加にあわせて整備を進めてきた鉄道施設や設備の老朽化が進んでおり、鉄道施設や設備の故障に起因する遅延や運行支障のリスクが高まっていくことが予想されることから、大規模な修繕や更新を実施し、列車の安全・安定運行に必要な鉄道インフラの健全性の維持・向上に努めます。また、大規模地震や豪雨など近年激甚化する自然災害に備え、各種自然災害対策を強化し、被害の最小化や災害時の復旧時間短縮化に努めます。
〇車両の新造、リニューアル
大井町線の各駅停車で運行している「9000系」および「9020系」(18編成計90両)を置き換えるため、5両編成の「6020系」を順次導入しています。現時点では9編成が営業運転を開始しています。本年度は、計8編成を導入予定です。安全面では、車両機器を常に監視できる大容量情報管理装置を採用しており、車両故障の未然防止を図ることで運行のさらなる安定化を実現します。また、車内には空気清浄機の設置や、背もたれの高いハイバック仕様の座席を採用するなど快適性を追求するとともに、旧車両と比べ騒音の低減や使用電力の削減を実現するなど環境に優しい車両です。
また、前年10月に発生した田園都市線梶が谷駅構内における列車衝突事故で損傷した当社所属車両の修繕や新造を行います。
・目黒線・東横線・東急新横浜線所属車両のリニューアル
導入から約20年が経過した目黒線・東急新横浜線「3000系」、東横線・東急新横浜線「5050系(8両編成)」のエクステリア・インテリアデザインを一新するリニューアルを進めています。目黒線・東急新横浜線「3000系」は前年度3編成のリニューアル車両が営業運転を開始し、本年度は4編成が営業運転を開始予定です。東横線・東急新横浜線「5050系(8両編成)」は本年度から順次、リニューアルを実施する予定です。

〇駅のリニューアル
・田園都市線地下区間5駅リニューアル工事(桜新町駅)
脱炭素・循環型社会の貢献および地域に開かれた「サステナブルな地下駅」を目指し、田園都市線地下区間5駅(池尻大橋駅・三軒茶屋駅・駒沢大学駅・桜新町駅・用賀駅)のリニューアルプロジェクト「GreenUNDER GROUND」を進めています。第1弾となる駒沢大学駅リニューアル工事には2021年度に着手し、前年3月に竣工しました。
第2弾となる桜新町駅リニューアル工事は、2023年5月に着手しており、本年度秋頃の竣工を予定しています。コンセプトは「WITH THE CHERRYBLOSSOMS」とし、桜新町駅周辺の風景や人々の暮らしに寄り添うような空間デザインとしています。駒沢大学駅に続き、壁面タイルなどの既存材を活用した計画に加え、空調設備を大幅に増強・新設し、駅構内の快適性向上を目指します。

・田園都市線田奈駅リニューアル工事
築60年を迎えた田園都市線田奈駅において、駅をご利用いただくお客さまの安全性、快適性向上を目的に、老朽化したホームおよびコンコースの内外装改修を進めています。田園都市線沿線の「まちをつくる魅力」と、田奈駅周辺地域の「大らかな自然の魅力」を、駅デザインや仕上げ素材により表現する計画としており、本年12月頃の竣工を予定しています。

・田園都市線宮崎台駅リニューアル工事
前年1月から田園都市線宮崎台駅において、ホーム、コンコースの内外装および駅前広場のリニューアル工事を進めています。宮崎台駅周辺の並木道の心地よさを駅から感じていただけるよう、また駅自体が「まちのリビング」のような存在となるために、「まちとのつながり」を意識し、「まちへ開いた駅」となることを目指した計画としており、2028年度の竣工を予定しています。

〇各種自然災害対策
・法面補強による土砂災害対策
大雨時の土砂災害対策として、線路脇の斜面をコンクリートなどで補強する工事を進めています。前年 度は東横線綱島駅~大倉山駅間での補強工事に着手しました。本年度は、田園都市線鷺沼駅~たまプラーザ駅間で実施します。
・浸水対策
大雨時の各設備や駅構内への浸水を防ぐための工事を進めています。前年度に引き続き、東横線・田園都市線の電気設備への浸水対策工事を実施します。
また、本年度は元住吉車庫および付近の重要施設への浸水対策工事に着手します。
・耐震補強工事
当社はこれまで大規模地震に備え、鉄道構造物への耐震補強工事を実施してきました。耐震省令に基づく補強はすでに完了しており、さらなる減災対策として災害時の復旧性向上のため、本年度は東横線・目黒線武蔵小杉駅~元住吉駅間、田園都市線二子新地駅~高津駅間および宮前平駅~鷺沼駅間の高架橋の耐震補強工事、鷺沼駅付近や東横線学芸大学駅~都立大学駅間の擁壁補強工事などを実施します。

〇老朽化した土木構造物の維持・更新
・田園都市線トンネル補修工事
鉄道施設や設備の老朽化が進んでおり、大規模な修繕や更新の時期を迎えています。前年度に引き続き、たまプラーザ駅~あざみ野駅間、江田駅~市が尾駅間のトンネルにおいて、補修工事を実施し安全性・健全性の確保に努めます。
・東横線鶴見川橋梁改修工事
築101年を迎える東横線綱島駅~大倉山駅間の鶴見川橋梁において、前年度に引き続き大規模な塗装改修や補修を実施し、橋梁の安全性・健全性の確保および耐久性の向上に努めます。

〇信号保安装置の更新
・目黒線自動列車制御装置(ATC)の更新
当社では、列車間の安全な間隔を確保し列車衝突などの事故を未然に防止するための信号保安装置として、東横線・目黒線・東急新横浜線・田園都市線・大井町線には自動列車制御装置(ATC)を、池上線・東急多摩川線には自動列車停止装置(ATS)をそれぞれ導入しています。目黒線では、導入後25年が経過し老朽化による機器故障リスクが高まっていることから、前年度から着手している機器更新を本年度も引き続き行い、信号装置の健全性確保に努めます。
・田園都市線・大井町線における無線式列車制御システム(CBTCシステム)の導入推進
列車の安全・安定運行を確保するために、無線通信技術を活用して列車の位置や速度を連続的に把握し、列車間の安全な間隔を確保するCBTCシステムを2028年度に田園都市線、2031年度に大井町線で導入する予定です。本年度は引き続き設計や機器製作、設備の工事を進めます。

〇鉄道の安全運行を支える従業員の職場環境改善
従業員の働きがい・働きやすさをより高め、将来の鉄道事業の担い手を確保する観点から、老朽化した事務所などのリニューアルを実施します。本年度は長津田車両工場(事務所棟)、長津田検車区、元住吉総合事務所、鷺沼駅を始めとする駅職場などでリニューアルを推進します。

Ⅱ.運営高度化と業界連携強化
人口減少や少子高齢化、技術職を中心とした人材の流動化を背景に、将来の鉄道事業の担い手不足に直面することが見込まれています。限られた人材で安全・安心で快適な鉄道サービスを維持するため、デジタル技術やデータ活用・分析による駅・運転業務や保守業務の高度化・効率化を推進し、従業員1人あたりの生産性向上を目指します。
〇駅オペレーションの効率化に向けた駅務機器の更なる高度化や遠隔サポート体制の構築
当社では、駅係員によるお客さまへのご案内の質を維持・向上させながら、より安定した駅運営を行うことを目的として、駅務機器の高度化を進めています。
インバウンド需要を踏まえた多言語対応や、非接触ニーズへの対応を図るため、前年度、全駅で窓口処理機の更新を行いました。更新した窓口処理機のうち、一部の駅では、これまで駅係員が機器を操作しお客さまから直接現金を収受し精算していた業務を、駅係員の機器操作後はお客さまご自身で精算が可能となるセミセルフ型の窓口処理機を導入しています。また、駅係員の機器操作は改札窓口での対応に加え、駅係員が一時的に改札窓口に不在となる場合を想定し、遠隔操作でも可能な仕様としています。
本年度は東横線・目黒線武蔵小杉駅や田園都市線・大井町線溝の口駅など計5駅で、セミセルフ型の窓口処理機において遠隔対応でお客さまの精算やICカードなどの処理を可能とする実証実験の実施を予定しています。

〇大井町線におけるワンマン運転実施に向けた工事
将来の労働力不足や社会環境の変化に対応するため、2032年度から大井町線でワンマン運転を実施します。本年度は、車両改造工事の実施に向けた各種機器の設計に着手します。
ワンマン運転の実施に伴い、当社線ですでに取り組んでいる各種安全対策の徹底に加え、大井町線に定位置停止支援装置(TASC)やホーム上の乗降監視におけるAI画像解析・検知システムなどデジタル技術を活用した新たなテクノロジーを導入し、列車運行の安全性・安定性のさらなる向上を目指します。
〇田園都市線・大井町線におけるTASCの導入に向けた工事
駅停車時に列車をホームドア開口部に合わせた定位置に停止させるため、東横線・目黒線・東急新横浜線・池上線・東急多摩川線では定位置停止支援装置(TASC)を導入しています。
田園都市線での導入に向けて、本年度は前年度から継続している車両の改造工事および地上装置の設置を進めます。これにより、運転士の運転(ブレーキ)操作の負荷を軽減させるとともに、効率的なブレーキ制御などによる遅延抑制や安定的な運行の確保を目指します。
なお、大井町線での導入は、ワンマン運転を開始する2032年度の予定です。
〇データ活用・分析による保守の高度化
・新たな価値の創出と生産性向上を目指したデータ基盤の構築
中期事業戦略において事業基盤に位置付けている、データ活用によるDX推進の一環として、これまで人材育成やデータ活用に取り組んできた知見を最大限に活かすため、データを一元的に連携・利活用するため、データを蓄積する基盤の構築に着手します。
各部門や各システムに分散しているデータを横断的に連携させることで、部門間のみならず協力企業を
含む会社間での情報共有やデータ利活用を加速させます。これにより、データ活用・分析による保守の高度化を推進し、列車運行の安全性・安定性のさらなる向上に加え、駅サービス品質の向上を目指します。
・状態保全(CBM)支援システムのさらなる活用を通じた鉄道設備データの活用・分析
運営の高度化と安全水準の維持・向上に向け、鉄道設備から取得できる各種データの活用・分析に取り組んでいます。2023年度以降、転てつ機と軌道を対象設備として運用を開始した「状態保全(CBM)支援システム」や、駒沢大学駅など6駅において導入した空調換気設備のクラウド型遠隔監視システム「クラウド SCADA」により、データの可視化・蓄積・分析を進めています。
前年度は新たに転てつ機37箇所に対象を拡大し対象設備数を増やすとともに、変電所や配電所への適用も進めました。これにより、現地検査の見直しによる業務の効率化、夜間作業の負担軽減、データに基づく円滑な技術伝承といった効果のほか、適切な設備更新計画の策定・実行によるコスト抑制、故障の未然防止による運行品質の維持・向上を図っています。本年度は、転てつ機13箇所に対象を拡大するとともに、「クラウド SCADA」を桜新町駅に導入予定です。
〇最新技術を活用した運転業務や点検・検査業務の高度化・効率化
・「AI画像解析技術」を活用した運転業務のさらなる高度化
デジタル技術を活用したお客さまサービスの高度化とさらなる安全性の向上を目指し、ワンマン運転を行う運転士が閉扉する際の判断を補助するため、前年度は、ホームで介助が必要なお客さまのご案内を行う際の合図を送る駅係員に加え、白状やベビーカーなども検知対象に拡大し、AI画像解析技術※により運転士の閉扉判断に影響を与える事象として検知し、車内モニタに表示する実証実験を行いました。
本年度は、実証実験により一定の効果が得られたことから、本格導入に向け取り組みを推進します。

・四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を活用した点検・検査業務の高度化(実証実験)
鉄道事業における点検・検査業務の高度化・効率化に向けて、前年度からBoston
Dynamics社製の四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を導入しています。本年度も引き続き元住吉駅周辺の変電所・車庫において、現在検査員が行っている電気設備や車両搭載機器の点検・検査業務を対象に、本ロボットに搭載された各種カメラ・センサーを用いて機器設備の状況を把握することや得られた画像などのデータで判定を行う検査技術の高度化・効率化を目指します。

・線路巡視業務のDX化(実証実験)
2021年度から鉄道事業者コンソーシアムに参画し、ローカル5GとAIを活用した線路巡視業務の共同実証実験を実施しています。本取り組みでは、車両運転席付近に設置した高精細カメラにより線路や周辺設備の状態を撮影し、取得した映像データ・位置情報データ・動揺データをAI解析することで、レールの損傷や摩耗、周辺設備の異常などを検知します。これまで係員が現地に出向いて目視で確認していた巡視業務をデータとして可視化・定量化することで、点検・検査の効率化と品質の均一化を図るとともに業務を効率化し、将来的な保守業務の省力化および技術継承につなげることを目指しています。

価値② 新たな移動の創出
Ⅲ.マーケティングによる沿線活力の創出
コロナ禍を経て、新たなライフスタイルが定着した結果、定期券利用者がコロナ前に比べ約2割減少しました。このような移動の変化や多様化・高度化するお客さまニーズを確実に捉え、顧客体験価値を豊かにする施策「新たな移動の創出」による人と情報が行き交う豊かで活気ある地域社会の実現に向け、Moving for Good Days Projectを開始しました。

〇クレジットカードのタッチ決済・QRコードを活用した乗車サービスの拡大
2023年8月から、新たな移動の創出を目的とし、「QRコード」を活用した乗車サービスの実証実験を実施するとともに、デジタルチケットサービス「Q SKIP」を開始し、東急線全線が1日乗り降り自由のデジタルチケットや、沿線のお出かけ施設や地元の店舗利用チケットと乗車券がセットになったデジタルチケットなど、多様な商品サービス展開しています。2024年5月からは「タッチ決済に対応したクレジットカードなどを使用した後払い乗車サービス」の実証実験を開始し、本年3月には関東の鉄道事業者11社局にて相互利用が可能となりました。
本年度は、前年度に続き、利便性のさらなる向上やシームレスな移動を実現するため、現在実証実験として導入している「クレジットカードのタッチ決済」および「QRコード」に対応した改札機の増設を行い、多様な乗車手段の利用動向に関する検証を進めます。
より便利にご利用いただける環境整備をベースに、魅力的なチケットの発売による高付加価値の提供、東急線の乗車・定期券の購入でTOKYU POINTが貯まり、同時に東急線アプリ内でもコインが貯まる「TOQ COIN」サービスなどを通じた鉄道を軸とした顧客基盤強化を進め、顧客体験の向上や沿線における新たな移動の創出に努めます。
※東急株式会社が発行する、デジタル特典付個人向け社債「東急株式会社第22回無担保社債
(愛称:Q SKIP債)」の当社への充当融資資金も本設備投資に含みます。
https://www.tokyu.co.jp/company/news/detail/60631.html


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