受験戦争とは何だったのか――NHKブックス最新刊『受験戦争のメディア史 無名戦士たちの合格体験記』が7月24日に発売
「一億総中流」意識が生んだ"受験生的公共性"とは

NHK出版が刊行する、日本で最も長い歴史をもつ選書シリーズ「NHKブックス」。その最新刊として『受験戦争のメディア史 無名戦士たちの合格体験記』が発売となります。
『受験戦争のメディア史 無名戦士たちの合格体験記』
伝説の通信添削『ORION』と、シリーズ『私の合格作戦』を総覧。受験戦争に参戦し、動員された若者たちの心情を克明に描き出す!
一般入試での大学入学者が少数派となり、年内に合格を決める高3生が増え続ける今、大学受験はもはや"戦争"では――少なくとも"国民総動員"にも似た形では――なくなった。では、かつて華々しく繰り広げられていた受験生たちの、あの「戦い」とは何だったのか? 当事者にとってそれは、どんな意味を持っていたのか? 受験に「動員」された"兵士"たちはその合格体験記を、通信添削の会報誌(旬報)や、「私の合格作戦」と題した人気書籍シリーズに書き残してきた。本書はこうした記録を読み解くことで、半世紀にわたる彼らの「感情の歴史」と、彼らが70年代に作り上げ、後に失われていった「受験戦時下の教養主義」の様相を描き出す。
構成
序章 受験戦争を記録するメディア史のために
一 もう一つの戦争記憶――私の「あの戦争」
二 なぜ合格体験記なのか――自分史と個人情報
三 受験戦争の制度史――客観的な選抜は本当によいのだろうか
第一章 合格体験メディアの公共性――受験戦士の自分語り
一 受験戦士のエゴドキュメント――合格体験のバトンリレー
二 受験戦争と資本主義の精神――『螢雪時代』の合理主義
三 学生向けの自己啓発本――合格体験記の特権性と限界性
第二章 「受験戦争」以前の文筆的公共性――オリオン社の軌跡
一 輝ける受験生的公共圏――オリオン社史
二 オリオン社の躍進時代――同窓会をもつ通信添削
三 一九六〇年代の「南船北馬」――合格体験記を生み出す投稿欄
第三章 大学紛争から受験戦争へ――『ORION』から読む①
一 政治の季節と学生運動――団塊世代のオリオニストたち
二 東大文指と京大親学会――「学コン」主催の学生団体
三 思考訓練の場としてのオリオン通添――添削者指名制度の親密圏
第四章 志願兵士が読む「動員」言説――『ORION』から読む②
一 マークシート方式と通信添削――共通一次試験への対応
二 「私」の合格体験記――佐藤卓己「高度な計画と堅実な運営を」
三 特集・合格体験記傑作選――オリオン社のマジックアワー
第五章 凱旋兵士が書く「戦勝」報告――『私の京大合格作戦』①
一 「私の合格作戦」シリーズ――合格体験記のビッグアーカイヴ
二 「私」が読んだ京大合格作戦――共通一次試験、その敗北と浪人生活から
三 「私」が書いた京大合格作戦――佐藤卓己「一流校生など恐れるに足りない」
第六章 無名戦士の「復員」記録――『私の京大合格作戦』②
一 「共通一次」世代の記録――総力戦から局地戦へ
二 「センター試験」世代の記録――ゆとり教育と総合型選抜へ
三 受験戦争が思い出になった二一世紀――「合格作戦」の終わり
おわりに 「私」が体験した「戦争」を語ること
著者
佐藤卓己(さとう・たくみ)
1960 年、広島市生まれ。京都大学文学部卒業、同大大学院博士課程修了、ミュンヘン大学へ留学後、博士(京都大学、文学)。東京大学助手、同志社大学助教授、京都大学教授などを経て現在、上智大学文学部新聞学科教授・京都大学名誉教授。2020 年、紫綬褒章受章。専門はメディア史、人文社会情報学。著書に、『「キング」の時代』(岩波現代文庫、日本出版学会賞・サントリー学芸賞)、『言論統
制』(中公新書、吉田茂賞)、『輿論と世論』(新潮選書)、『増補 大衆宣伝の神話』『増補 八月十五日の神話』(ともにちくま学芸文庫)、『テレビ的教養』『負け組のメディア史』(ともに岩波現代文庫)、『青年の主張』(河出ブックス)、『ファシスト的公共性』(岩波書店、毎日出版文賞)、『流言のメディア史』『あいまいさに耐える』(ともに岩波新書)、『池崎忠孝の明暗』(創元社)、『大衆はどう国民化されたのか』(清水書院)など多数。
商品情報

『受験戦争のメディア史 無名戦士たちの合格体験記』
佐藤卓己 著
2026年7月24日発売
定価:2,090円(税込)
仕様:B6判並製 336ページ
ISBN:978-4-14-091301-7
出版社:NHK出版
ECサイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000913012026.html
NHKブックスについて
1964年1月に創刊。新書より少し大きい「選書」シリーズとして日本で最も長い歴史をもつレーベルです。創刊当初から一貫して、「第一線の研究者が、一般の人へ向けて書く教養書」という方針を守り続けています
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