アイデムフォトギャラリー[シリウス] 国境なき子どもたち(KnK) 写真展 「フィリピン 路上のパレット」 写真家 関 健作 期間:2023年9月14日(木)~9月20日(水)
認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)は、貧困、災害や紛争など厳しい環境にある子どもに教育の機会を提供するNGOです。1997年、日本と世界の子どもたちが「共に成長する」ことを理念に活動を開始し、現在は、バングラデシュ、カンボジア、ヨルダンなど6の国と地域で活動しています。
日本の人々、特に若い世代に海外の子どもたちの現状を伝えることを目的に、プロの写真家を活動地に派遣し、2004年以降、毎年写真展を開催しています。
写真展に寄せて
2023年4月、私はフィリピンの首都メトロマニラを訪れた。KnKからお声がけをいただき、路上で暮らす子どもたちを取材することになったのだ。彼らは物乞いやゴミ拾いなど簡単な商売をし飢えを凌ぎながら生きている。
私は彼らに「自分」をテーマにしたペイントワークショップを2度行った。1度目は彼らに自画像を描いてもらうもの。2度目は私が撮影した彼らの写真の上に絵具で「自分自身」を表現してもらうものだ。ワークショップでは最低限の説明にとどめ、彼らを観察することに重点を置いた。結論から言うと、ワークショップはその当初の目論見とは違う、圧倒的な衝撃を私にあたえた。アートを通して彼らの内面を表現してもらおうという浅はかな思い付きなんて、すぐに蹴飛ばされた。路上に置かれたパレットには躊躇なくチューブから絵具が絞り出された。絵の具は水で薄められることもない。筆は洗われることなく、色から色へと移動していく。
「そんなに絵の具は出さないで」「また使えるようにとっておこうね」「筆は洗いましょう」
そんな言葉をかける大人は彼らの周りにはいなかったのだろう。そもそもストリートに住む彼らに何かをストックしておく場所なんてない。むき出しの自分が今という現場にただただいるということ。私には違和感とも恐怖ともいえない、そんな底知れない何かが湧き上がってきていた。絵の具がごちゃごちゃに混ざりあい、全部の色が全部と重なり出し切られた刹那の色合い。フィリピンの路上の子どもたちが使ったパレットは彼らそのものであり、私の知らなかった何かだった。
KnKフィリピンが運営する「若者の家」という施設でも行われた同様のワークショップを行った。「若者の家」には過去に路上で生活していた子どもも暮らしている。ここでは空腹に苦しむことも、他のグループに襲撃されることもない。勉強に励むこともスポーツで楽しむことができる。大人たちが彼らを24時間体制でケアする。私は「若者の家」の子どもたちから安らぎと奥ゆきを感じた。
路上に生きる子どもたちの表現、「若者の家」で保護された子どもたちの表現。この二つの間にあるものはなんなのか。彼らはむき出しの表現で私たちに問いかけてくる。
(カラー約50点)
関 健作(せき けんさく)/ 写真家 神奈川県在住 https://www.kensakuseki-photoworks.com/
1983 年、千葉県出身。2006 年、順天堂大学・スポーツ健康科学部を卒業。2007 年から青年海外協力隊に参加、ブータンで体育教師を3年務める。日本に帰国後、フォトグラファーとして活動を開始、ドキュメンタリープロジェクトの撮影・制作に取り組んでいる。 日本、フランス、オーストラリアなどで展示を開催し、国内外で活動する。2017年第13回名取洋之助写真賞、2019年京都国際写真祭FUJIFILM AWARD大賞、2020アルル国際写真祭フォトブックアワード最終ノミネート、他多数。
写真集・著書に「2:16.22」、「OF HOPE AND FEAR」、 「Limited future」、 「祭りのとき、祈りのとき」、 「ブータンの笑顔 新米教師が、ブータンの子どもたちと過ごした3年間」。
会場:アイデムフォトギャラリー[シリウス]
(東京メトロ丸ノ内線 新宿御苑前駅徒歩1分)
〒160-0022 新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
期間:2023年9月14日(木)~9月20日(水)
開館時間:10:00~18:00(最終日は15:00まで)
休館日:日曜日
入場料:無料
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