NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]「わたしの身体(しんたい)はだれのもの?」の開催について
■NTT東日本が運営する文化施設NTTインターコミュニケーション・センター※1(以下、ICC)では、2026年12月5日(土)より、企画展「わたしの身体はだれのもの?」を開催いたします。
■本展は、iPS細胞に代表される再生医療や身体拡張など、今日のテクノロジーによって身体の可能性が広がる一方、パンデミックを通して、身体が社会や制度によって規定されうることも浮かび上がった状況を背景に、私たちの身体をめぐる制度や価値観について問いかけます。
■細胞を用いた映像と平面作品、液体の振る舞いから「生の気配」を表わす装置、精神のゆらぎやそのケアを主題とする映像インスタレーション、ウェアラブル・デバイスとAIを身体に転用した映像インスタレーション、近代医療と在来の知といった異なる知の体系を横断的に捉える映像作品など、多岐にわたる出品作品によって私たちが自明のものとして受け入れてきた身体のあり方やその境界を揺さぶります。
※1 日本の電話事業100周年記念事業として1991年からのプレ活動を経て、1997年にNTTが設立した科学技術と芸術文化の融合をテーマとする文化施設。


1. 「わたしの身体はだれのもの?」展開催概要
英展覧会名:Who Decides What This Body Is?
開催期間:2026年12月5日(土)~2027年3月7日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時~午後6時(入館は閉館の30分前まで)
入場料:一般800円(700円)、大学生600円(500円)
年間パスポート 2,000円
※( )内は15名様以上の団体料金
※障害者手帳をお持ちの方および付添1名、65歳以上の方と高校生以下の方、ぐるっとパスをお持ちの方は無料
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は翌日)、年末年始(12/28[月]-1/4[月])、ビル保守点検日(2/14[日])
※休館日以外においても、開館時間の変更および臨時休館の可能性がございます。
最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/)などでお知らせします。
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](NTT東日本株式会社)
2. 展覧会概要
私たちはふだん、自分の身体は自分自身のものであると、ごく自然にとらえています。またその身体に関することは、自ら決定できると考えているのではないでしょうか。しかし時として、医療や法などによる分類、あるいはより表面化しにくい社会規範などの外的な要因によって、自分自身の身体を規定する基準が他者や社会の仕組みに委ねられてしまうこともあるでしょう。
例えば疾病に罹患したときには、自分の意思に関わらず健康ではないという見方をされることがあります。このことはときに、医学的な診断という域を超えて、「健康=正常」で「病気=逸脱」という評価にまでつながりかねません。
こうした「正常/逸脱」の判断が顕著に現われたのが、パンデミックの時期でした。私たちはその中で、検温や検疫に代表されるように身体や行動を管理され、記録され、「正常/逸脱」の判断に晒される対象となりました。このような経験を通じ、私たちの身体を「逸脱」側に位置づける境界線が日常の中にもあることに、気付かされたのではないでしょうか。
今日のテクノロジーは、私たちの身体にこれまでになかった可能性を開いています。例えばiPS細胞研究に代表されるような再生医療は飛躍的に発展しています。またウェアラブル・デバイスをはじめとする身体機能を拡張するテクノロジーは盛んに研究され、私たちにとってより身近なものになっています。
一方、このようなテクノロジーの発展は、私たちの身体をテクノロジーの言語によって記述し、分類し、さらには資本主義における資源とみなすことをも可能にします。それにより生まれる、身体を社会システムの中で管理と利用が可能なユニットととらえる視点に対しては、さまざまな議論が起きています。
生物学的なカテゴリーや制度的な境界など、いくつものレイヤーを引き受ける、私たち自身が逃れることのできない身体。本展で紹介する5人のアーティストの作品は、細胞培養と生殖、生の気配、精神のゆらぎやそのケア、身体とテクノロジーの関係、そして近代医療と在来の知など、それぞれ異なる視点から、私たちの身体をめぐる境界や価値観をとらえ直します。そして、創造性と、ときにユーモアを交えながら、私たちが自明のものとして受け入れてきた身体のあり方やその境界を揺さぶります。
3. 出品作家(五十音順)
池添俊(いけぞえしゅん)
精神のゆらぎとそのケアを主題に、他者と共に生きる可能性を探る映像インスタレーション。
小宮(こみや)りさ麻吏奈(まりな)
「新しい生殖・繁殖の方法の模索」の試みのひとつとしての細胞培養と、その背景にある政治性や倫理の問題を問う。
花形慎(はながたしん)
ウェアラブル・デバイスとAIを転用した身体表現を、新たな映像インスタレーションとして展開。
ヒワ・K(ケイ)
自身の腎結石の治療経験から、近代医療と在来の知、身体の痛みや感覚を問い直す映像作品。
福原志保(ふくはらしほ)
「生命とは?」を探求してきた作家が、液体の振る舞いと装置を用いて表わす、「生命の気配」。
同時期開催の展示(予定)
リサーチ・コンプレックス NTT R&D@ICC「身体性BEYOND」
岩井俊雄《マシュマロモニター》
映像アーカイヴHIVE(ハイヴ)
4. 関連イベント
会期中には出品作家やゲストによるアーティスト・トーク、ギャラリーツアーなどを開催予定です。 最新情報はICCウェブサイト(https://www.ntticc.or.jp/)などでお知らせします。
※展覧会名、会期などは2026年10月28日現在の情報です。
5. ICCのご案内
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
(京王新線 初台駅東口から徒歩2分)

【参考】出品作家と作品例
池添俊
《わたしたちは同じ見えない部屋に暮らしている[再構成版]》(仮題)2026年

池添俊は、社会や歴史のなかで見過ごされがちな人々の語りや記憶に目を向け、それらを物語として再構成する映画やインスタレーションを発表してきました。近年は精神のゆらぎとそのケアを主題に制作しています。本展では、精神的な困難や課題とともに生きる人々を地域の家庭に受け入れ共に暮らす制度が13世紀から続くベルギーのヘールでの取材をもとに制作した《わたしたちは同じ見えない部屋に暮らしている》(2026)を再構成し、新たな映像インスタレーションとして発表します。作品を通して、現実と想像、記録とフィクション、自己と他者、正常と逸脱といった揺れ動く境界を見つめ直し、他者と共に生きる可能性を探ります。
小宮りさ麻吏奈
《CLEAN LIFE》2025年

小宮りさ麻吏奈はクィアという視点に基づき、従来の家族観や性別にとらわれない「新しい生殖・繁殖の方法」について模索しています。今回展示されるのは、生体の一部を人工的に増やす技術のひとつである細胞培養を用い、培養肉をテーマに制作された作品群です。
顕微鏡上の培養肉の組織を映し出した映像には、その技術にまつわる政治や倫理の問題が重ねて語られます。また展示室には細胞を培養して制作された平面作品も展示されます。映像内で語られたトピックが平面作品のモチーフになる一方、平面作品そのものもまた、細胞と培養に用いられた培地を素材とすることで、その倫理的な問いを自ら引き受けています。本作は、私たちがどのような絡まり合いの中に身を置いているのか、また倫理的な線引きがいかにして行われているのかを問いかけるものです。
花形慎
《エルゴノミクス胚・ホロタイプ》(新作)

花形慎は、テクノロジーや社会によって規格化される人間に対し、自らの身体構造や感覚を組み換えることで世界との関係を結び直す「捻転(ねんてん)」を実践する作品を制作しています。2025年より、人間が技術を使うのではなく、技術に〈なる〉ことを試みる《エルゴノミクス胚》※に取り組み、本展ではその連作となる新作の映像インスタレーション《エルゴノミクス胚・ホロタイプ》を発表します。本作で花形は、人間と技術の境界が揺らぐ瞬間を映像としてとらえることを試みます。
※《エルゴノミクス胚》は、舞台芸術祭「秋の隕石2026東京」委嘱によるライブ・パフォーマンス作品。2026年10月29日〜11月1日に東京芸術劇場にて上演予定。
ヒワ・K
《なにも感じないでしょう》2025年

イラク・クルディスタン出身のヒワ・Kは、家族や友人から聞いた逸話や自身の経験をもとに、地域に根ざした知や表現、他者との協働を取り入れながら、既存の歴史や支配的な物語を問い直す作品を制作しています。本展出品作《なにも感じないでしょう》は、自身の腎結石の治療経験をもとにした映像作品です。病院での診断と地域の伝統的な治療師との出会いを通して、西洋近代の知の体系とは異なる在来の知に目を向けるとともに、医療や軍事技術といったテクノロジーが身体をどのようにとらえ、扱うのかを浮かび上がらせます。身体の痛みや感覚の麻痺を描きながら、私たちが自身の身体や世界との関係をどのように結び直せるのかを思索します。本作は、第13回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ委嘱作品。
福原志保
(新作)

福原志保はこれまでさまざまな方法で「生命とは?」を探求してきました。生を本来不可逆な過程ととらえ、近年では自身の家族の看取りの経験から、医療的管理と、その人の気配を感じとりながら行われるケアの差について、考察を重ねていました。
こうした極めて個人的な経験からたどり着いたのが、液体、医療用チューブ、歯や骨といった要素から着想した、今回のインスタレーションです。それは管理・制御されながらも漏出していく液体の振る舞いと、その液体を受け表面が変化する素材を組み合わせた装置です。物質が引き起こす静かな現象を通して、生と死の境界や不可視の気配を立ち上がらせるアプローチです。
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