医療機関の倒産、 上半期として過去最多 「診療所」の厳しさ目立つ 物価高、人件費の高騰で収益力悪化

医療機関の倒産動向調査(2026年上半期)

株式会社帝国データバンク

SUMMARY

2026年上半期の医療機関の倒産は39件となり、過去最多のペースで推移した。物価高や人件費の高騰による収益力悪化や経営者の高齢化・後継者難を背景として、事業継続を断念する事業者が相次いだ。年間では初めて80件に達する可能性がある。

【カウント対象について】
・法的整理かつ負債額1000万円以上の「病院」「診療所」「歯科医院」の経営を主業とする事業者
・倒産件数、休廃業・解散件数は事業者数であり、施設数ではない


2026年上半期は39件、過去最多の前年同期を上回る

2026年上半期(1-6月)に発生した医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は39件となり、過去最多を記録した2025年上半期(35件)を上回った。このペースで推移すると、2025年(66件)を上回り、過去最多を更新する可能性がある。負債総額は123億8000万円と前年同期から32.6%減少し、小規模倒産の割合が高かった。

内訳をみると、「病院」4件(負債総額35億5500万円)、「診療所」19件(同79億800万円)、「歯科医院」16件(同9億1700万円)。このうち、「診療所」は上半期として最も多かった2009年上半期の16件を上回り、過去最多。「歯科医院」は過去最多だった2024年上半期の16件と同水準となった。負債10億円以上の倒産は4件(「病院」2件、「診療所」2件)発生しており、態様別では、37件(構成比94.9%)が破産、都道府県別では東京(9件)のほか、大阪(4件)、北海道、兵庫、福岡(各3件)など18都道府県で発生した。

小規模な「診療所」の倒産が全体の件数を押し上げ

医療施設別に細かく分析すると、「病院」の倒産は、前年同期に比べて5件少なく、上半期としては3年ぶりに減少したが、負債10億円以上の倒産が2件発生した。

過去最多となった「診療所」は、19件中9件が内科診療で、以下、外科(4件)、眼科(3件)、婦人科(2件)などと続いた。内科のなかには、並行して老人福祉施設やデイサービスを運営する事業者もあり、これらの事業の悪化も加わり、倒産するケースがみられた。また、負債規模別にみると、負債3億円未満の小規模倒産が6割強を占めたが、中規模の倒産も発生した。コロナ禍での業績悪化や物価高、人手不足や人件費高騰などの影響を強く受けた様子がうかがわれたほか、「経営者の病気・死亡」によって事業継続できなくなったケースが4割を占めた(全業種における「経営者の病気・死亡」が占める割合は3.8%)。

「歯科医院」はすべてが負債2億円以下で、競争激化による業績不振や、歯科衛生士や歯科医師の人手不足、経営者の死去や体調不良がきっかけとなり、事業継続を断念するケースがみられた。

まとめ

医療機関では、人口減少のなかで、医療機器や消耗品の価格高騰や光熱費、人件費などのコスト上昇に対し、診療報酬の改定が追い付かず、収支が悪化する環境が続いてきた。とくに診療所は2024年度に赤字経営の事業者が前年度比で3割増加(日本医師会)するなど業績の悪化が鮮明となっていた。こうしたなか、今年6月から令和8年度の診療報酬が適用されたことは、医療機関にとって明るい材料となった。一方、医療機関側においても、働き方改革や賃上げ、医療DXなど取り組むべき課題は多い。医師である経営者(理事長)の高齢化と事業承継を背景にM&Aの需要が高まり、医療分野の経営を専門とした再生のプロによる買収の動きも多くみられるが、医療機関を狙った詐欺や悪質なM&Aなどのケースもみられる。「診療報酬の上り幅で多少の補填となっても、収益性の改善には寄与しない」(医療機関を担当する金融機関担当者)という厳しい見立てもあり、今後も動向を注視する必要がある。

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本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
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代表者名
後藤 健夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月