線路内自律走行型ロボットによる線路点検を推進します ~技術の「深化と進化」による安全安定輸送の更なる向上〜
○JR東日本グループは、グループ経営ビジョン「勇翔2034」に掲げた「技術力の深化と進化」により更なる安全安定輸送の向上やLX(ライフスタイル・トランスフォーメーション)の実現に向けて、「AIとロボットを駆使した働き方改革」に取り組んでいます。
○開発中のロボットは鉄道線路上を自律走行し、カメラや各種センサーで線路やその周辺の映像・データを自動で取得します。取得データは機体内に保存するとともに事務所内などの離れた場所にいる係員にリアルタイムで送信します。AIが支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を係員が最終的に判断します。これにより、安全安定輸送のさらなる向上と、鉄道インフラの維持管理の安全性向上と省人化を実現します。
○ロボットの開発は2024年4月より着手しており、2026年10月末までに実用化に向けた機体製作を行い、11月以降に実際の線路での走行試験を予定しています。
1.背景・目的
これまで鉄道の安全安定輸送の確保のため、多くの労力をかけて維持管理業務を行ってきました。特に、大雨や地震の発生時は、係員が線路沿線を徒歩などで巡回し路盤の崩壊や線路内への土砂流入など、列車の運行に支障を及ぼす事象が発生していないか目視で確認しています。こうした作業には二次被害のおそれがあるほか、近年では熊の出没増加による係員の安全確保も課題となっています。JR東日本では、こうした状況に対応するため、「事務所内などの離れた場所にいながらできる」点検手法の確立に向けてロボットなどの遠隔操作、制御に関する研究開発に取り組んでいます。

【点検作業の比較】

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比較項目 |
これまで(徒歩巡回) |
ロボット導入後 |
|---|---|---|
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点検方法 |
係員が線路沿線を徒歩などで巡回し、目視で列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認 |
ロボットが線路上を自律走行し、取得したデータを係員がリアルタイムで確認して、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認 |
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取得データ |
係員の目視結果を記録 (紙・端末への手入力) |
カメラ・センサーにより映像・データを一括で取得 |
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異常検知 |
係員の経験・知見に基づく判断 |
補助的にAIが自動解析し、線路内の支障物を検知し、最終判断を係員が実施 |
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安全面 |
獣害リスク・災害時の危険区域立入りなど、点検者への身体的なリスクがある |
係員は離れた場所にいながら点検ができ、人が危険区域に入る必要を減らせる |
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データ蓄積 |
点検結果の記録が中心 |
走行毎にデータを蓄積し、設備管理に活用 |
2.開発概要
2024年4月より株式会社Preferred(プリファード) Robotics(ロボティクス)※との開発を開始し、概念実証(PoC(ピーオーシー):試験的な検証)を2段階にわたって実施し、八高線など計6線区で実証実験を行ってきました。今回開発しているロボットは、鉄道の線路上を自律走行し、搭載したカメラ・各種センサー(LiDAR(ライダー):レーザーで周囲との距離を測るセンサー、GNSS(ジーエヌエスエス):衛星を利用して位置を把握する仕組み)から得られる情報をもとに安全に走行します(線路内自律走行)。走行中に取得した映像や各種データは機体内に保存するとともにリアルタイムで係員へ送信されます。AIは線路周辺の支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無は、事務所内などの離れた場所にいる係員が最終的に判断します。
※株式会社Preferred Roboticsは、深層学習技術に強みを持つ株式会社Preferred(プリファード) Networks(ネットワークス)のグループ企業で、ロボティクス分野の研究開発・事業展開を行っています。



左上写真:障害物検知試験の状況
左下写真:ロボット搭載カメラの映像
右画面:ロボット搭載LiDARの取得データ。進路上にある物体を支障物(赤色表示)として認識
3.今後の予定
2026年10月末までに実用化に向けた機体製作を行い、11月以降、在来線を中心に様々な路線で走行試験を行う予定です。
今後、大雨や地震の発生時の点検においてロボットを活用することで、係員が危険な区域へ立ち入ることなく、事務所内などの離れた場所から点検作業を行うことや、熊などの野生動物に遭遇するおそれのある徒歩などによる作業からの解放により、働く環境の改革を実現します。
将来的には、取得した映像や3D点群データの設備管理への活用や、ドローンの発着機能の付加による線路周辺のより詳細な状況把握など、ロボティクスとAI技術を活用して鉄道インフラにおける維持管理業務の高度化を目指していきます。

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