地方で消えるガソスタ 倒産・廃業、5年連続で増加 10年で1700社が消滅 首都圏 でも2割超が「赤字」「地域最後の給油所」に迫る限界
「ガソリンスタンド(SS)」事業者の倒産・休廃業解散動向(2026年1-8月)

株式会社帝国データバンクは、「ガソリンスタンド」の倒産・休廃業解散における発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
2026年1-8月に発生した「ガソリンスタンド」運営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は19件発生し、前年の累計(17件)を既に上回った。また、休廃業・解散(以下「廃業」)は125件発生し、前年同期(115件)を上回った。この結果、計144件のSSが倒産や廃業で撤退し、前年を約1割上回るペースで推移するほか、1-8月としては過去10年で最も高い水準となった。
[注]
集計期間:2026年8月31日まで
集計対象:倒産:負債1000万円以上の法的整理
休廃業・解散:特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認した企業
ガソリンスタンド:事業内容のうち「ガソリンスタンド」を経営する企業。本資料では略称を「SS(サービス・ステーション)」とする
地方で消えるガソスタ、10年で1700社が消える
2026年1-8月に発生した「ガソリンスタンド(SS)」運営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は19件発生し、前年の累計(17件)を上回った。また、休廃業・解散(以下「廃業」)は125件発生し、前年同期(115件)を上回った。この結果、計144件のSS事業者が倒産や廃業で市場から退出し、前年を約1割上回るペースで推移しており、1-8月としては過去10年で最も多い水準となった。
年間でみると5年連続の増加が見込まれるほか、2018年以来8年ぶりに年間200件を超える可能性がある。また、過去10年の累計では1700社超のガソリンスタンド事業者が市場から退出した計算になる。

地域の燃料インフラを担う「ガソリンスタンド」の経営環境は、年々厳しさを増している。人口減少や高齢化、ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及で燃料需要が中長期的に減少する中でも、燃料価格の上昇で売上高が維持できるガソリンスタンドは少なくない。ただ、セルフ式や大手チェーン等との価格競争を背景にガソリン1Lあたりの利益自体は数円程度と低いため、車検や洗車、板金整備、レンタカーなどストック型の「油外収益」が欠かせない要素となっている。そうしたなか、特に地方では人口減少や高齢化によって商圏人口が縮小し、油外サービス需要も限定的で採算が厳しいにも関わらず、「地域唯一」の給油所ゆえに営業を続けるケースは少なくない。そのため、設備維持費や人件費などの固定費を賄える売上高を確保できず、事業継続ができなくなるSSが増えているとみられる。
実際に損益動向をみると、地域別では「地方」に本社を置くSS事業者の赤字割合が最も高く、4社に1社が赤字だった。一方で、「首都圏」が拠点のSS事業者でも赤字が2割を超えるなど、人口密集地の都市部でも厳しい経営が浮き彫りとなった。市場規模は大きいものの、セルフ式や大手チェーン、量販店との価格競争が激しいほか、地価や人件費の高騰が響き、利益率が低下しやすい。加えて、首都圏ではEVやHVの普及台数が多く、自動車を保有しない世帯の増加も重なって、人口規模のわりに燃料需要が減少しやすくなっている。赤字となった割合が低い京阪神や中京圏でも、燃料需要の減少などの構造的な問題を抱えたままとなっている。
足元では、経済産業省が、過疎地などガソリンスタンドの維持が難しい地域の支援策として、選定した店舗を集中支援する仕組みを模索するなど、SS支援に向けた動きが進んでいる。ただ、現状は軽EVの本格販売など地方のクルマの「電動化」が本格化する可能性もあるほか、整備士などスタッフ不足、低収益など課題は多い。インフラ拠点としての役割と、持続可能な収益力をどう両立させるかが問われている。
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