主要な退職代行事業者、1年間で2割超が「サービス停止」 新規参入相次ぎ価格 競争が激化 業務の「グレーゾーン」で先行き不透明感も
主要「退職代行サービス」動向調査

株式会社帝国データバンクは、保有する企業データベースのほか、開示資料、各口コミサイト等から判明した主な「退職代行サービス」を展開する事業者(2025年10月当時)について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年10月時点でサービス実態のあった、本人に代わって退職意思を会社に伝える「退職代行サービス」を展開する52事業者のうち、9月までの約1年間で少なくとも2割超に上る14事業者が「サービス停止」の可能性があることが分かった。退職代行事業者の倒産も1件発生した。
なお、本資料内における区分は下記の通り。
弁護士法人=法人格等で判別できたもの
民間経営=株式会社、合同会社などで運営されているもの
組合=法人としての特定が可能な労働組合など
「サービス停止」=HP等のリンクから閲覧できない等、通常の手段でサービス継続が確認できない状態
主要な退職代行サービス、2割超が1年間で「サービス停止」
2025年10月時点でサービス実態のあった、本人に代わって退職意思を会社に伝える「退職代行サービス」を展開する52事業者のうち、9月までの約1年間で少なくとも2割超に上る14事業者が「サービス停止」の可能性があることが分かった。また、退職代行事業者の倒産も1件発生した。未払い残業代や有休消化、退職日などを巡る交渉が「非弁行為」と見なされるリスクへの警戒感が高まり、昨年までの拡大局面から一転して、退職代行事業から撤退するケースが顕在化している。
保有する企業データベースのほか、開示情報を基に、2025年10月当時の主要な退職代行サービスの運営事業者を分析した。このうち、通常の手段でサービス継続が確認できない退職代行サービス事業者は14事業者判明し、全体の26.9%と2割超を占めた。このうち10事業者は、株式会社など「民間経営」によるもので、それ以外を「弁護士法人」「組合」などが占めた。ただ、足元では複数の退職代行サービスでのサービス停止がみられ、実際にはより多くの事業者が市場から退出した可能性がある。また、退職代行サービス「スマートヤメマス」が破産(2026年3月、東京)となるなど、事業継続を断念する事例も発生した。

退職代行サービス大手「モームリ」<運営:(株)アルバトロス>が、依頼者の退職を巡って無資格で顧客を弁護士に紹介し、報酬を得た疑いで弁護士法違反などの罪に問われる事態となった。退職代行業務の「グレーゾーン」に改めて焦点が当てられたことで、サービス全体のイメージに悪影響を及ぼしたとみられる。また、2025年時点の料金は平均で約2.8万円だったのに対し、直近では約2.7万円とわずかに低下した。大手法律事務所などの参入により、「退職意思の通告」のみであれば民間代行より安価なケースもあるなど、価格競争の激化が背景にある。昨年時点でも退職代行サービスから撤退する事業者は少なからず発生していたが、急成長が続いた同市場には先行きへの不透明感も生じている。
退職代行サービスを巡っては、若年層を中心に利用が定着しつつあり、退職に対する心理的障壁を下げる手段として一定の需要を獲得している。しかし、退職条件の交渉や未払い賃金請求など弁護士資格が求められる領域との境界は依然として曖昧で、近年は非弁行為リスクへの関心が高まり、事業運営上のコンプライアンス負担も増している。利用者側もサービス内容に慎重な目を向ける傾向が強まっており、「退職を伝えるだけ」のサービスでは差別化が難しくなっている。今後はサービス内容や信頼性の差によって、事業者間の二極化が一層進むとみられる。
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