新潟医療福祉大学【健康スポーツ学科】毛髪中ストレスホルモンにより身体的負荷量を客観的に評価!越智講師らの研究論文が国際誌に採択!
NSGグループの新潟医療福祉大学健康スポーツ学科の佐藤茉由(2023年度卒)、佐々木美悠(2023年度卒)、越智元太講師、群馬大学共同教育学部の島孟留准教授らの研究グループは、主観的評価しか行われなかったアスリートの長期トレーニングによる身体的負荷量を、毛髪中のストレスホルモンによって、非侵襲的かつ生理的に評価できることを明らかにしました。
この報告は2024年8月12日付けで欧州の応用生理学専門誌であるEuropean Journal of Applied Physiologyに掲載されました。
■研究概要
アスリートはパフォーマンス向上に向け日々激しいトレーニングを行い、長期間に渡り身体的負荷を受けています。同様なトレーニング内容だとしても、アスリート個々の身体的負荷量は異なるため、選手によっては過剰となり(オーバートレーニング)、パフォーマンス低下やメンタルヘルスの低下、さらには燃え尽き症候群を招くことがあります。この予防にはトレーニングによる身体的な負荷量評価とそれに合わせたトレーニング計画が重要ですが、これまで選手やコーチの主観的な評価法しかありませんでした。本研究では、毛髪中に蓄積されるストレスホルモン(コルチゾール)が1ヶ月間にトレーニングにより受けた身体負荷変化と関係することを明らかにし、毛髪中コルチゾールが長期トレーニングによる身体的負荷量を非侵襲的かつ生理的に評価できることを明らかにしました。
◆研究の方法と結果
本研究では、女子大学サッカー選手28名を対象に、毛髪中コルチゾール(HCC)がトレーニング負荷と関係するか検証しました。チームが所属するリーグ戦前半が終わりオフ期に入った8月と、全日本大学選手権大会直前の12月に毛髪(根本から1cmを10mg程度; 図1)の採取と自己申告によるトレーニング負荷量、心理尺度、認知機能の測定を行いました。その結果、トレーニング負荷量はHCCと有意な正の相関を示しました(図2)。HCCは心理尺度や認知機能との関係は認められませんでした。
◆研究のポイント
・オーバートレーニングや燃え尽き症候群の予防は、競技引退後の心身の健康を担保するために重要な要素です。
・根本から1cmのHCCは1ヶ月間に受けたトレーニング負荷量変化を反映しました。
・HCCはオーバートレーニング予防のための非侵襲的かつ生理的な、新しい評価法となりえます。
・選手やコーチの主観的評価や経験則に、客観的な評価法を日々のトレーニングに加えることで、高いパフォーマンスのみならず、安心安全なスポーツ活動の実現に寄与することが期待されます。
◆研究助成
本研究は文部科学省・日本学術振興会科学研究補助金(JSPS科研費 22K17739)と新潟医療福祉大学・研究奨励金による助成を受けて行われました。
◆原論文情報
論文名:Hair Cortisol Is a Physiological Indicator of Training Stress for Female Footballers
著者:*佐藤茉由1、佐々木美悠1、島孟留2、池上諒3、佐藤大輔1.4、§越智元太1,4
1)新潟医療福祉大学健康科学部、2)群馬大学共同教育学部、3)電気通信大学、4)新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所 (*:筆頭著者、§:責任著者)
掲載誌:European Journal of Applied Physiology
DOI:https://doi.org/10.1007/s00421-024-05571-7
◆研究に関する問い合わせ先
新潟医療福祉大学 健康科学部 健康スポーツ学科 越智 元太(おち げんた)
Tel: 029-257-4595 E-mail: ochi@nuhw.ac.jp
群馬大学 共同教育学部 保健体育講座 島 孟留(しま たける)
Tel: 027-220-7327 E-mail: ta-shima@gunma-u.ac.jp
【新潟医療福祉大学】 https://www.nuhw.ac.jp/
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