ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所共同研究プロジェク ト「高校生活と進路に関する調査2026」結果
自分の趣味や社会問題に積極的に取り組む高校生が増加 探究活動に積極的な生徒ほど主体的に進路を選択
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:岩瀬大輔)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所と国立大学法人東京大学社会科学研究所(所在地:東京都文京区、所長:宇野重規)は、2014年に「子どもの生活と学び」共同研究プロジェクトを立ち上げました。そこでは、全国の小学1年生から高校3年生までの親子約2万組を対象に毎年追跡調査する「子どもの生活と学びに関する親子調査」(親子パネル調査)に加え、高校卒業後の進路を把握するため高校3年生を対象に2~3月に実施する「高校生活と進路に関する調査」を行っています。
「親子パネル調査」の結果から、この11年で小中高生の学校外の学習時間は約2割減少し、学ぶ目的意識が低下していることがわかりました(プレスリリース)。しかし、小中学生とは異なり高校生では、「新しいことを知るのがうれしいから」「ふだんの生活に役立つから」勉強する生徒が増加しています(ダイジェスト版2025)。
今回分析した高校3年生を対象とした「高校生活と進路に関する調査」からは、「自分の意思で進路を選択した」「自分の進路について真剣に考えた」高校生は9割を超え、「自分から進んで進路に関する情報を収集した」割合は増加傾向であることがわかりました。そのような高校生は、「趣味」に積極的に取り組んだ割合が2018年から2026年にかけて12ポイント以上増加し約85%でした。さらに、高校3年間で「社会問題について真剣に考えた」と回答した高校生は2018年から2026年にかけて20ポイント上昇し約6割でした。興味・関心のある「趣味」への積極的な取り組みや、「社会問題」に対する向き合い方の変化が、主体的な進路選択と関連している可能性があります。
また、約7割の高校生が「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだと回答しています。そのような高校生は、課題解決に必要な学び方の経験が豊富であり、進路選択の主体性が高い傾向でした。
本プロジェクトでは、子どもの実態を継続的に捉えることによって、子どもの学びに関する課題提起や提案を行ってまいります。
調査結果サマリー
1.高校生の学ぶ動機づけの変化―「新しいことを知るのがうれしいから」「ふだんの生活に役立つから」が増加
●「新しいことを知るのがうれしいから」「ふだんの生活に役立つから」勉強する高校生が増加している。【図1】
2.進路選択のふりかえり―9割の高校生が「自分の意思で進路を選択した」「自分の進路について真剣に考えた」
●「自分の意思で進路を選択した」「自分の進路について真剣に考えた」高校生は9割を超えている。【図2】
●進路を決めるにあたって「自分から進んで進路に関する情報を収集した」高校生が増加し、約85%となった。【図2】
3.高校3年間で、自分の「趣味」に積極的に取り組む、「社会問題について真剣に考えた」高校生が増加
●高校生活で自分の「趣味」に積極的に取り組んだ高校生が増加し、約85%となった。【図3-1】
●高校3年間で「社会問題について真剣に考えた」高校生がコロナ禍後に増加し、約6割となった。【図3-2】
4.探究活動に積極的に取り組んだ高校生ほど、学びや進路選択に主体的に取り組んでいる
●約7割の高校生が高校生活で「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだと回答。【図4-1】
●「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだ生徒ほど、「自分で探究する課題の問いを立てる」「課題を解決するための方法を考える」「収集した情報を整理・分析する」「学習の成果を人前で発表する」の割合が高い。【図4-2】
●「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだ生徒ほど、進路選択の主体性が高い。【図4-3】
【調査結果詳細】
1.高校生の学ぶ動機づけの変化―「新しいことを知るのがうれしいから」「ふだんの生活に役立つから」が増加
●「新しいことを知るのがうれしいから」「ふだんの生活に役立つから」勉強する高校生が増加している。【図1】
◆図1 勉強する理由(学校段階別)
Q.あなたが勉強する理由について、次のことはどれくらいあてはまりますか。

2.進路選択のふりかえり―9割の高校生が「自分の意思で進路を選択した」「自分の進路について真剣に考えた」
●「自分の意思で進路を選択した」「自分の進路について真剣に考えた」高校生は9割を超えている。【図2】
●進路を決めるにあたって「自分から進んで進路に関する情報を収集した」高校生が増加し、約85%となった。【図2】
◆図2 進路選択の主体性
Q.あなたが進路を決めるにあたって、次のことはどれくらいあてはまりますか。

3.高校3年間で、自分の「趣味」に積極的に取り組む、「社会問題について真剣に考えた」高校生が増加
●高校生活で自分の「趣味」に積極的に取り組んだ高校生が増加し、約85%となった。【図3-1】
●高校3年間で「社会問題について真剣に考えた」高校生がコロナ禍後に増加し、約6割となった。【図3-2】
◆図3-1 高校生活で積極的に取り組んだこと
Q.あなたは高校生活において、次のことをどれくらい積極的に取り組みましたか。

◆図3-2 高校3年間のふりかえり
Q. 高校生活の3年間をふりかえって、次のことはどれくらいあてはまりますか。

4.探究活動に積極的に取り組んだ高校生ほど、学びや進路選択に主体的に取り組んでいる
●約7割の高校生が高校生活で「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだと回答。【図4-1】
●「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだ生徒ほど、「自分で探究する課題の問いを立てる」「課題を解決するための方法を考える」「収集した情報を整理・分析する」「学習の成果を人前で発表する」の割合が高い。【図4-2】
●「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んだ生徒ほど、進路選択の主体性が高い。【図4-3】
◆図4-1 高校生活で積極的に取り組んだこと(2026年)
Q.あなたは高校生活において、次のことをどれくらい積極的に取り組みましたか。

◆図4-2 高校における学びの経験(探究活動の積極度別、2026年)
Q. あなたは高校生活において、次のような学習をどれくらい経験しましたか。

◆図4-3 進路選択の主体性(探究活動の積極度別、2026年)
Q. あなたが進路を決めるにあたって、次のことはどれくらいあてはまりますか。

解説
高校生の活動や探究的な学びが広がる中で進路選択は主体的に――8年にわたる追跡調査から
今回の分析から「新しいことを知るのがうれしい」「ふだんの生活に役立つ」という理由で学習する高校生が増加しており【図1】、9割以上が「自分の意思で進路を選択した」と回答するなど【図2】、主体的に学びや進路選択に取り組んでいることがわかりました。
こうした高校生の変化の背景には、高校生活における活動の広がりと深化があると考えられます。高校3年間で、趣味に積極的に取り組む生徒が増加して85%となるとともに、「学校の授業」「学校行事」などの学校生活に積極的に取り組んだ高校生も8割以上と高まっています【図3-1】。また、「高校3年間で自分は成長した」「高校3年間の生活に満足している」「仲間と協力して目標を達成した」に「とてもあてはまる」と回答した高校生は4~5割に達しています。「社会問題について真剣に考えた」生徒は、この8年で20ポイントも増加し、6割に迫っています【図3-2】。
さらに、7割の高校生が「探究活動・総合学習」に積極的に取り組んでいます【図4-1】。探究活動に積極的な生徒ほど、「自分で探究する課題の問いを立てる」「課題を解決するための方法を考える」「収集した情報を整理・分析する」「課題を解決するためにグループで話し合う」「学習の成果を人前で発表する」「課題の解決を通じて自分の生き方やあり方を考える」といった学びの経験が豊富で、進路選択の主体性も高い傾向があります【図4-2、図4-3】。このことは、高校生自身が興味・関心があることや社会課題にじっくり向き合い、仲間との対話や試行錯誤をしながら学びを深めた経験が、自分らしい進路を切り拓く力につながっていることを示唆しています。
ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所による本共同研究プロジェクトでは、今後もパネル調査の特徴を生かしながら、子どもの学びの実態を継続的に捉えることで、子ども一人ひとりが学びに向かうための課題や解決策を社会に広く発信し、多くの方とともに、これからの学びのあり方について考えてまいります。
調査概要
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名称 |
「高校生活と進路に関する調査2026」 |
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調査テーマ |
高校3年生の学習、生活、進路選択についての意識と実態 |
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調査時間 |
2018年と2022年は3~4月上旬 2026年は2~3月 |
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調査方法 |
2018年と2022年は郵送での調査依頼による自記式質問紙調査 2026年は郵送での調査依頼によるWeb回答調査 |
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調査対象 |
全国の高校3年生の子ども (2018年調査:975名・69.6% 2022年調査:894名・66.6% 2026年:837名・45.8%) |
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「子どもの生活と学び」研究プロジェクトメンバー 所属・肩書は2026年10月時点 |
●プロジェクト代表者 藤原翔(東京大学教授)、小村俊平(ベネッセ教育総合研究所理事長) 耳塚寛明(お茶の水女子大学名誉教授)、秋田喜代美(学習院大学教授、東京大学名誉教授)、松下佳代(京都芸術大学教授、京都大学名誉教授)、余田翔平(東京大学准教授)、戸髙南帆(東京大学特任助教)、木村治生(帝京大学教授、ベネッセ教育総合研究所上席客員研究員)、佐藤昭宏(ベネッセ教育総合研究所主席研究員)、岡部悟志(同主任研究員)、野﨑友花(同主任研究員)、小川淳子(同研究員)、坂口佳(同研究員) ●ワーキンググループメンバー 大野志郎(早稲田大学准教授)、小野田亮介(山梨大学大学院准教授)、数実浩佑(龍谷大学准教授)、猪原敬介(北里大学准教授)、豊永耕平(近畿大学講師) ●アドバイザリーボードメンバー 石田浩(東京大学名誉教授・客員教授)、佐藤香(東京大学名誉教授)、香川めい(大東文化大学准教授)、大﨑裕子(日本社会事業大学准教授) ●スタッフ 中島功滋(ベネッセ教育総合研究所主任研究員)、森俊彰(同主任研究員)、大内初枝(同スタッフ)、渡邉未央(同スタッフ) |
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