「2026年度 グッドデザイン賞」の受賞について
このたび「2026年度 グッドデザイン賞」が発表され、JR東日本グループとして、【荷物専用新幹線】・【JAL de はこビュン】・【JEMAPSアプリ】・【コウカシタパーク クラブハウス】・【集合住宅 高円寺アパートメント】・【クレヴィア等々力】が受賞しました。







※荷物専用新幹線は、当社と株式会社ジェイアール東日本物流の共同受賞です。
※JAL de はこビュンは、当社と日本航空株式会社の共同受賞です。
※JEMAPSアプリは、当社とネブラ株式会社の共同受賞です。
※コウカシタパーク クラブハウスは、株式会社JR中央線コミュニティデザインと株式会社山路哲生建築設計事務所の共同受賞です。
※集合住宅 高円寺アパートメントは、株式会社ジェイアール東日本都市開発、株式会社オープン・エー、第一建設工業株式会社東京支店と株式会社まめくらしの共同受賞です。なお、グッドデザイン・ベスト100およびグッドフォーカス賞[地域社会デザイン]に選出されました。
※クレヴィア等々力は、伊藤忠都市開発株式会社の単独受賞です(同社は2026年10月1日にJR東日本不動産株式会社との合併により、JR東日本伊藤忠不動産開発株式会社として発足)。
■【荷物専用新幹線】は、新幹線の定時・安定性に加え、専用に改造した荷物専用車両の導入により大口輸送を実現し、物流業界が抱える人手不足や環境負荷低減などの社会課題の解決に貢献する新たな輸送サービスです。既存の鉄道インフラを有効活用しながら、輸送品目や輸送量の拡大を実現し、地域産品の流通促進や地域経済の活性化にも寄与します。物流の価値を社会に伝えながら、新幹線を新たな物流インフラへと進化させる取り組みとして高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
人をより早く運ぶために進化した新幹線の新しい発展として、価値の高い物流インフラへと進化する試みとして評価した。新幹線は高速性、大量輸送性、定時性、そしてCO₂排出量の少なさを活かし、長距離トラック輸送に代わる新たな高速物流サービスとして大きな可能性を持つ。専用車両を設けることで輸送できる品目や量が拡大し、地域産業の振興にもつながるだろう。
さらに、新幹線車両そのものをラッピングし、各地域の食材や商品が運ばれていく様子を可視化したことで、物流という見えにくいサービスを社会に伝えるメディアとしても機能している。
■【JAL de はこビュン】は、鉄道と航空を組み合わせることで、国内から海外までを高速かつ安全につなぐ新たな輸送サービスです。地域で生まれた食材や産品を鮮度や品質を保ったまま届けることで、「採れたて」「出来たて」という価値を国内外へ輸送することを可能にしました。物流を通じて地域産品の販路拡大や新たな市場創出に貢献するとともに、日本の食文化や地域の魅力を発信する先進的な取り組みとして高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
鉄道と航空を組み合わせることで、国内から海外までを高速かつ安全につなぐ、新しい食材輸送の仕組みである。例えば越前がにを生きたまま当日中に台湾へ届けるなど、これまで距離によって失われていた「採れたて」「出来立て」という価値を、そのまま海外へ運べることに大きな魅力がある。特に鮮度そのものが高い価値を生む日本の食文化や地域産品にとって、物流が新しい市場を生み出す可能性を示した点を評価した。
今後、定時運行を活かした輸送網の拡大や、地域との共同ブランドづくりなどを通じ、食材の希少性や付加価値をさらに高める展開を期待したい。
■【JEMAPSアプリ】は、駅員・乗務員・指令員を主なユーザーに、列車の運行情報等の社内データと、気象・災害情報といった外部データを1つの地図上に統合した業務支援システムです。社員一人ひとりのタブレットでの活用を前提としたユーザー中心設計により、それぞれの役割に応じて必要な情報だけを抽出できるようにし、異常が発生した際の直感的な状況把握と迅速な意思決定を支援する仕組みが高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
JEMAPSアプリの最大のデザイン的価値は、膨大で分散した鉄道データを、現場の職員が持ち歩ける判断力へと転換した点にある。情報が不足することのない鉄道システムにおいて最も難しいのは、遅延・混雑・災害発生時に、いま・ここ・自分の職務に関連する情報を迅速に判断することである。そのためこのアプリは、ただPCシステムをタブレットに縮小するわけでも、一つの画面にできるだけ多くのデータを表示するわけでもない。それぞれの職務に応じて職員自身が関心のある路線やエリアを選択し、列車の位置・前後車両の関係性・混雑度・天候や災害警報を一枚の地図上にまとめて表示できるようになっている。列車の高度を三次元で表示して予想乗客数を示すといったデザインは、複雑なデータを素早く読み取れる視覚言語へと落とし込んでいる。さらに重要なのは、この判断力がバックオフィスのパソコンの前にとどまらず、職員とともに駅構内やホームへと持ち込まれ、乗客のすぐそばで状況を即座に確認し、説明を行い、誘導できるようになっている点である。これにより、情報を集約・表示するだけでなく、最も必要とされる瞬間にアクションへと変換され、異常事態に直面した乗客の安心感へとつなげることができる。
■【コウカシタパーク クラブハウス】は、JR中央線東小金井駅から徒歩7分の高架下にある、「住み」「働き」「商い」「集う」ための施設として誕生しました。今回の施設の横には、既存施設として、公共のシェアオフィス「KO-TO(コート)」、ショップ・オフィス複合施設「PO-TO(ポート)」、飲食・シェアキッチン機能を備えた「MA-TO(マート)」があり、“地域で育てる、ちいさな経済”をコンセプトに、4棟全体を創業支援施設群「コウカシタパーク」として、株式会社タウンキッチンが運営している施設です。高架下という一見すると無機質な空間を、地域活動の拠点としてデザイン・整備したことが高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
JR中央線の高架下に挿入された複合施設である。RC造の重厚な土木インフラを大きな連続する都市の屋根と見立てることにより、これとは対比的な木造フレームと覆いを提供するシンプルかつ軽やかなデザインだけで、様々なプログラムを受け入れる空間を成立させたことが興味深い。発見された都市のスキマに店舗、オフィス、シェアキッチン、広場、併用住宅などの用途が装填されることで、小金井市に新しい地域生活の営みがはじまることが期待されるだろう。
■【集合住宅 高円寺アパートメント】は、JR東日本の旧社宅と旧社員寮を街に開かれた暮らしの場へと転換したプロジェクトです。2017年のリノベーション棟と2025年の新築棟からなり、生活と小さな商いが共存する環境を実現しました。広場や共用空間、店舗付き住宅を通じて居住者と地域の人々が交わる場を創出し、コミュニティマネージャーによる継続的な運営によって関係性を育んでいます。建築とマネジメントの融合により、地域に開かれたコモンを形成し、周辺エリアを巻き込みながら街を変容させていく取り組みとして高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
この計画の芯は、2017年の改修棟にあると見てよいだろう。高架の騒音という不利を賑わいの側へ読み替え、周囲を遮っていた壁を外し、駐車場を芝生の広場に転じた判断は、半屋外やネイバーフッドの価値が社会的に共有される以前のものである。時代がその後を追いかけた形であり、先に賭けた眼力は高く評価したい。2025年の新築棟は、その手応えを立体的に展開し、確かなものとして定着させた到達点と位置づけられる。実務面で目を引くのは、リーシングを設計完了前に着手した点である。空室リスクを抑えながら借主の要望を平面へ取り込むこの段取りは、竣工前のテナント確定を急ぐ通例とは異なるマインドセットを要するもので、沿線価値という長い時間軸を持つ事業者との協働が実らせたものとも推察される。企画と設計を分けない体制がここまでの成果を生むことを示した点で、条件の近い案件では大いに参考にされるべきである。賃貸住宅の価値が入居後に決まるという認識に立ち、運営者が自ら住みながら関係を編む体制を10年近く続けていることは、設計以上に難度の高い成果である。さらに、住民有志が防災マニュアルを自ら作成し、訓練を年次の企画として根づかせていることも、運営の担い手が住人側へ広がりつつある証であり、ここまで育った例は稀である。高架下の空き倉庫や隣接地の暫定利用にまで波が及んでいる現状は、その自然な延長といえる。建築が街の更新の起点になり得ることを、時間をかけて実証しつつある計画である。
■【クレヴィア等々力】は、都市の利便性と湿潤な自然、その両方を享受できる邸宅街“等々力”に誕生した全25邸の分譲マンション。等々力は、東京23区内で唯一の渓谷“等々力渓谷”が育む豊かな自然と、高台立地に広がる低層住居専用地域ならではの開放感が共存する都内有数の邸宅街ですが、人々がこの地に対して思い描く「閑静で自然豊かな住環境」というイメージとは相反して、本計画地には、「複雑な敷地形状」や「隣接する鉄塔・高速道路」という敷地上の制約がありました。しかし、敷地特有条件を逆手に取った緻密な配棟計画や植栽・意匠計画によってこれらの課題を克服。外部の喧騒を低減しつつも、等々力渓谷の豊かな自然を建物全体で体現することによって、住快適性を向上させるだけでなく、等々力の邸宅街としての格を更に引き上げる建築を目指した点が高く評価されました。

【グッドデザイン賞審査委員 評価コメント】
高速道路と鉄塔が隣接する扇形の難しい敷地に対し、平面形状を雁行させることで敷地外周に緑地を確保するとともに、視線を巧みにコントロールして課題を解決した点は高く評価できる。建物を渡り廊下で2棟に分けることで生まれた路地状の中庭は、暗くなりがちな敷地中央部に光と風を導くスリットとして機能し、良質な住環境の形成に寄与している。専用庭を囲むフェンスにはやや閉鎖的な印象もあるが、低層に抑えられた建物と、雁行しながら連続する深い軒のラインによる外観はのびやかで、周辺への圧迫感を軽減している。敷地固有の課題を巧みにデザインへと昇華させた好例である。
※グッドデザイン賞について
グッドデザイン賞は、1957年創設の、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみです。製品、建築、サービス、システム、地域の取り組みなど、有形無形を問わず、さまざまなものごとを対象としています。受賞のシンボル「Gマーク」は、よいデザインを社会に広げるマークとして親しまれています。2026年度は第70回の節目にあたります。
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