ホップの乾燥耐性メカニズムを解明
― 「第32回 国際園芸学会議(IHC2026)」で発表 ―
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、チェコのホップ研究所との共同研究において、ホップが有する乾燥耐性のメカニズムを明らかにしました。本研究の成果は、世界各国の園芸学関係者が集う国際会議「第32回 国際園芸学会議(IHC2026)※」で発表しました。
※8月23日(日)-8月28日(金)に京都で開催
▼研究テーマ
「乾燥耐性を有するホップの品種開発とそのメカニズムの解明」
▼研究者
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)
加野彰人、山村進一郎、本吉祐大
ホップ研究所(Hop Research Institute Co., Ltd.)
Dr. Vladimír Nesvadba
▼研究の背景と経緯
高品質なホップの産地として知られるチェコでは、近年、気候変動に伴う少雨の影響などで土壌の乾燥が進み、ホップの収量減が課題となっています。
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、高品質なホップの持続可能な栽培を目的に、2018年からチェコのホップ研究所と共同で乾燥耐性を有するホップの研究開発を開始しました。乾燥耐性を有するホップ育種素材を選抜し、高品質なホップ品種と複数回交配させることで、2024年11月に乾燥耐性を有する新品種の開発に成功。この経緯から、乾燥耐性を有するホップの効率的な選抜を可能にする、遺伝子レベルでのメカニズムの解明にも取り組んできました。なお、新品種については現在、チェコ・ザーツ地方の大規模な敷地(約4.2ha)で品質・収量などを評価する試験栽培を行っています。
▼研究方法
複数回交配させて得られた分離集団を用いてゲノムを解析しました。具体的には、乾燥条件下における収量や植物体形質などの表現型解析と、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を組み合わせることで、乾燥耐性に関与する遺伝子領域を探索しました。その遺伝子領域内から乾燥耐性を付与する候補遺伝子を選抜し、関連性を評価しました。
▼研究成果
ゲノム解析を行った結果、乾燥耐性を付与する遺伝子領域が第3染色体上に存在することを明らかにしました。
また、当該領域に存在する候補遺伝子「HlMYB113」を同定しました。乾燥耐性系統では、公開されているホップゲノムと比較した結果、この遺伝子領域に特徴的な遺伝子配列の違いが確認されました。また、この遺伝子を持つ個体は、乾燥条件下において植物体の伸長性が有意に高いことが確認されました。
この結果から、乾燥耐性を有するホップを遺伝子レベルで効率的に選抜する事が可能となりました。
▼今後の展望
今回の研究で、ホップの乾燥耐性メカニズムが明らかになりました。これにより、気候変動に伴う生育環境の変化に対応した高品質なホップを安定的に生産できる新品種開発の加速が期待されます。
さらに、本成果はホップに限らず、さまざまな農作物の乾燥ストレス耐性の研究や育種技術への応用にもつながる可能性があります。
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、サントリーグループの価値向上、事業成長のための研究・技術開発を担う機関です。新たなお客様価値の創出を目指し、先端技術や自然科学を探求しています。
▼サントリーグローバルイノベーションセンター(株)ホームページ
https://www.suntory.co.jp/sic/
▼ホップに関する研究の歴史
・2025年6月 ホップの性決定システムの解明に成功
・2014年 ホップのゲノム解読に世界で初めて成功
以上
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