小林照幸著『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』(新潮文庫)が、「書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」ノミネート作品に選ばれました!
全国の書店員さんが、本年度発行されたノンフィクション作品のなかで「もっとも売りたい!」と思う作品を選ぶ「書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」。今年4月に発売された小林照幸さんの『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』が、このたび候補作にノミネート。10月18日の大賞発表に向け、書店員さんたちの投票が始まりました。
■書店員が選ぶノンフィクション大賞とは
2023年から始まった賞で、全国の書店員さんが、今もっとも「売りたい」と思った作品に与えられます。第1回の昨年は、西加奈子さんの『くもをさがす』が受賞。今回は2023年6月~24年5月に刊行されたノンフィクション作品が対象で、全国の書店員さんからの推薦をもとに候補作40作品がノミネートされました。そして9月1日~20日の間に書店員さんによる投票が行われ、10月18日に大賞が発表されます。
■謎の病克服の歴史を描いた『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』
古来より日本各地には、腹に水がたまって妊婦のように膨らみ、やがて動けなくなって死に至る「謎の病」が存在していました。原因や治療法もわからず、現地では多くの人たちが恐怖し、そして苦しんできました。
やがてこの病に立ち向かうため、医師や住民ら、多くの人たちが奮闘を始めます。そして原因が未知の寄生虫であることがわかり、「日本住血吸虫」と名付けられます。本書は、この寄生虫との100年以上の闘いを追った圧巻のノンフィクションです。
本書の刊行にあたり、大阪大学名誉教授で生命科学者の仲野徹さんは「日本住血吸虫の発見と撲滅は、間違いなく近代国家としての日本が取り組み、大成功を収めた誇るべき業績のひとつである。ひとりでも多くの人にこの本を読んで、感動を共にしてもらいたい」というメッセージを寄せてくれました。また、読者からは「まるでプロジェクトXのような物語だった」という感想も寄せられています。
■Wikipedia3大文学として大きな注目を集める
Wikipedia3大文学とは、読み始めると思わず引き込まれてしまう秀逸なWikipedia記事のことで、「八甲田雪中行軍遭難事件」(明治35年に起きた世界最大規模の山岳遭難事件)、「三毛別羆事件」(大正4年に発生した日本史上最悪の熊害事件)、そして「地方病(日本住血吸虫症)」が知られています。
「地方病(日本住血吸虫症)」記事の主要参考文献とされていたのが、1998年に発刊された単行本『死の貝』です。ただしこの本は、その後絶版となり長らく入手困難でした。そこで2024年4月に写真や最新情報を増補して、新潮文庫から新たに発刊されました。発売前からSNSを中心に大きな話題を集め、発売即重版。読売新聞をはじめ新聞各紙でも取り上げられ、発売後わずか4か月で6刷に達しています。
また、新潮文庫にはWikipedia3大文学の残り二つ「八甲田雪中行軍遭難事件」と「三毛別羆事件」と関連した新田次郎『八甲田山 死の彷徨』と吉村昭『熊嵐』があることから、『死の貝』と3冊合わせ「Wikipedia3大文学フェア」を展開してくれている書店さんも多数あります。
■著者紹介
小林照幸(こばやし・てるゆき)
1968(昭和43)年、長野県生れ。ノンフィクション作家。1992(平成4)年に『毒蛇(どくへび)』で第1回開高健賞奨励賞、1999年に『朱鷺(トキ)の遺言』で第30回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。信州大学卒。明治薬科大学非常勤講師。著書に『パンデミック 感染爆発から生き残るために』『大相撲仕度部屋 床山の見た横綱たち』『熟年性革命報告』『ひめゆり 沖縄からのメッセージ』『全盲の弁護士 竹下義樹』『車いす犬ラッキー 捨てられた命と生きる』など多数。
■書籍データ
【タイトル】死の貝 日本住血吸虫症との闘い
【著者名】小林照幸
【発売日】2024年4月24日
【造本】文庫
【定価】737円(税込)
【ISBN】978-4-10-143322-6
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