忘れられた栄養危機~1,040万人の子どもが急性栄養不良に【プレスリリース】
コンゴ民、ナイジェリア、南スーダン等
バウチ州にあるEU・ユニセフが支援する保健センターですぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする子ども。(ナイジェリア、2020年10月撮影) © UNICEF_UN0376815_Esiebo
ユニセフ(国連児童基金)は、コンゴ民主共和国、ナイジェリア北東部、中央サヘル地域、南スーダン、イエメンにおいて、2021年に急性栄養不良に苦しむと予測される1,040万人の子どもたちの健康と福祉を深く憂慮しています。これらの国や地域はいずれも、深刻な人道危機を経験している一方で、悪化する食料不安、致命的なパンデミック、そして中央サヘル地域以外は迫り来る飢饉に直面しています。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、紛争、災害、気候変動の影響を受けている国々の栄養危機は差し迫った状況に陥ってしまいました」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「すでに食べることに苦労している家族は今、飢饉の危機に瀕しています。彼らを2020年の忘れ去られた犠牲者にしてはなりません」
コンゴ民主共和国では、少なくとも100万人の重度の急性栄養不良の子どもを含む、5歳未満の子ども330万人が2021年に急性栄養不良に苦しむと推定されています。この憂慮すべき人数は、情勢不安、パンデミックによる社会経済的な影響、不利な状況に置かれた子どもたちや家族にとって不可欠なサービスへのアクセスが限られていることに起因しています。
ナイジェリア北東部では、2021年に80万人以上の子どもたちが急性栄養不良に苦しむと予測されており、その中には命の危険もある重度の急性栄養不良の子ども約30万人が含まれます。
同国北西部での栄養状態はさらに深刻です。ケビ州の慢性栄養不良率は66%で、北東部のボルノ州よりも20%以上高くなっています。同様にソコト州では、約18%の子どもたちが消耗症に悩まされており、6.5%の子どもたちが重度の消耗症を患っています。
ピボールにある栄養センターで上腕計測メジャーによる栄養不良の検査を受ける4歳のカタリンちゃん。(南スーダン、2020年9月撮影) © UNICEF_UNI374937_Ryeng
家庭の食料不安や子どもの急性栄養不良が増加しているのは、紛争や情勢不安が続いていることや、不可欠な栄養、保健医療や水と衛生サービスへのアクセスが限られていることが原因とされています。2020年に一部の地域で発生した洪水は、すでに深刻な水準にあった子どもたちの急性栄養不良をさらに悪化させました。
ブルキナファソ、マリ、ニジェールの中央サヘル諸国では、激化する紛争、移住、気候危機により、次の作物の収穫量が減る時期には推定540万人の人々が日々の食料を手に入れることにも苦労するようになるでしょう。急性の食料不安は、5年間の平均と比べてブルキナファソで167%、マリで34%、ニジェールで39%増加しています。
急性栄養不良に苦しむ子どもの数は21%増加する可能性があります。これにより、3カ国の栄養不良の子どもの総数は290万人となり、その中には重度の急性栄養不良に苦しむ89万人の子どもも含まれます。
重度の栄養不良にかかり、サヌアの病院で治療を受ける生後4カ月のシュアイブちゃん。(イエメン、2020年2月撮影) © UNICEF_UNI312544_Alghabri
これらすべての国とさらにそれ以外の国々において、ユニセフは、子どもたちとその家族のための栄養、保健、水と衛生サービスへのアクセスと支援を早急に拡大するよう、現地で活動する人道支援組織と国際社会に強く求めています。
COVID-19危機下での課題はあるものの、ユニセフとパートナーは2020年も、アクセスを維持・強化するための既存のプログラムの調整を通じて、最も手の届きにくい地域の最も不利な立場にある子どもたちとその家族に命を守るための支援を提供し続けてきました。ユニセフは、2021年に人道危機の影響を受けている国の子どもたちのための栄養プログラムを実行するために、10億米ドル以上の支援を要請しています。
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