新型コロナウイルス:子どもや若者のメンタルヘルス、すべての国で支援が不足【プレスリリース】
【2021年5月10日 ニューヨーク 発】
ユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは、欧州委員会ハイレベル会合において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が子どもと若者のメンタルヘルスに及ぼしている影響について懸念を示し、メンタルヘルスの問題への関心と取り組みを呼び掛けています。
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COVID-19のパンデミック、そして学校の閉鎖、ロックダウン、物理的な距離の確保などの措置は、すべての国の子どもと若者に大きな犠牲を強いています。
その影響は、子どもと若者たちの身体的な健康、家庭の経済状況、学習や発達、幸福と将来への展望、そして間違いなく、メンタルヘルス(心の健康)に及んでいます。
メンタルヘルスへの影響は大きく、長期にわたって続くでしょう。特に、もっとも貧しい国々の子どもたち、障がいのある子どもたち、移民や難民、少数民族の子どもたち、紛争などの人道危機下で暮らしているような弱い立場にある子どもたちはなおさらです。
OECDが青少年団体を対象に実施した最近の調査によると、COVID-19の最大の影響のひとつはメンタルヘルスの悪化であることが明らかになりました。
また、最近ユニセフが77カ国の子どもと若者を対象に実施したCOVID-19の影響に関する簡易調査では、彼らが、ストレスや不安の高まりと、アルコールや薬物使用の増加を報告していることが分かりました。
彼らは学校に行けず、友達にも会えません。レクリエーションや社会的な活動にも参加できません。虐待やネグレクトに直面しています。また、文化的背景や偏見のために、助けを求めることを恐れている場合が多いのです。
同時に、こうした若者たちは、メンタルヘルスに対する支援サービスの不足に直面しています。国の貧富を問わずすべての国で、メンタルヘルスに関するニーズと質の高いサービスへのアクセスの間に大きなギャップがあります。
欧州でも、一般的な心の病気を患っている人のうち、必要な治療ケアを受けているのは約3分の1に過ぎず、貧しい国々では、この数字は5%まで下がりうるのです。支援サービスへの投資の少なさ、訓練された人員の不足、認識の低さ、そして偏見、それらすべてが原因です。
COVID-19は、メンタルヘルスを取り巻くこれまでの状況をさらに悪化させており、ロックダウンによって、カウンセリングや心理社会的支援を含む、メンタルヘルスに関する多くのサービスは手の届かないものとなっています。
ユニセフは、今後数年でメンタルヘルスのシステムを再構築し、COVID-19の渦中もそれ以降も、最も若い世代のニーズに対応できるようにするためには、今の状況が重要な局面だと見ています。
これまでの心理社会的支援等に加え、若者自身と協働してデジタルプラットフォームを使ったピア・メンターシステムを構築するなど、若者たちがお互いに助け合い、支え合うことができるような解決策を拡大していきたいと考えています。
ユニセフはまた、各国に対し、メンタルヘルスのための支援パッケージの開発とさらなる啓発、そして取り組みや成功事例の共有を呼び掛けています。各国が投資や政策において子どもと若者のメンタルヘルスを重視し、支援策を強化することで、子どもたちは希望をもって将来を見据えることができるのです。
*ユニセフの基幹報告書『世界子供白書』2021年版では、子どもと若者のメンタルヘルスに焦点を当てる予定です。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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