資生堂、顔の”つや”は相手に好印象を与えることを科学的に実証 ~心と肌に響く化粧の研究~
資生堂は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)との共同研究により、顔の”つや”が相手に対して魅力的で好印象を与えることを科学的に証明しました。さらに今回、顔に”つや”がある場合には、”つや”が全くない場合と比較して見た目の印象から想起される年齢が3歳程度若齢に見られることも分かりました。これまでは経験的に、顔の”つや”は健やかな肌を表す光沢の状態としてポジティブな印象を他者に与えると考えられてきましたが、科学的には十分な実証がなされていませんでした。
本研究知見は今後、相手に好印象を与える肌の”つや”をもたらす感性価値の高いスキンケアやファンデーションの開発に応用可能であり、実際の対面場面はもちろん、モニターやスマートフォンなどの画面を通じたバーチャルなコミュニケーションにおいても、顔に適度な”つや”があることでより健やかで魅力的な顔の印象を与えることができます。
本研究成果はInternational Journal of Cosmetic Scienceで2020年11月20日に公開されました。
《研究の背景》
私たちが毎日の生活を生き生きと送ることはとても重要なことであり、その中でも日常のささやかな行動である化粧は、肌だけではなく心までも豊かに健やかにする力を持っています。現在は新型コロナウイルス感染症の拡大により、お客さまの在宅時間が増え、モニターやスマートフォンなどの画面を介したコミュニケーションを行う機会が増加していることから、スキンケアの重要性やメイクアップの必要性が改めて認識されています。
これまでは科学的に実証することが難しかった、主観的な知覚体験である顔の”つや”が与える情緒的な印象の感性価値について、今回NICTと連携し、当社がこれまでに蓄積した感性・心理研究技術の手法や、当社の強みである心理物理学的研究手法を活かして検証しました。
《顔の”つや”と印象評価の方法》
(1) 顔の”つや”とは?
一般的に”つや”のある肌は「肌表面の鏡面反射に加えて、内部からの拡散的な光の反射がある光沢」というように光学的な定義がなされ、同じ光沢感を表す”テカリ”とは異なったポジティブな印象を与えると経験的に捉えられてきました。そこで、”つや”、”テカリ”のある肌への印象を客観的に評価するために、以下のような条件で顔画像の光沢処理を行い、印象評価に使用しました(図1)。
”テカリ”・・・鏡面反射が多い肌の特徴を強調した光沢の乗った肌(皮脂が多い肌の光沢状態を再現した画像)
”マット”・・・光沢を取り除いた肌
(2) 印象評価の方法
”つや”、”テカリ”、”マット”の各光沢条件を再現した同じ女性の顔画像※1 に対して、その見た目から受ける計10項目※2 の印象を、30代から40代後半の計160名の女性に回答してもらい、得られた回答について、顔の光沢ごとに見た目から感じる印象や年齢について解析を行いました(図2)。
※1 10名の女性の画像モデルのうち、回答者は1名の画像を観察して回答した。
※2 評価項目はポジティブな印象(魅力的な、幸せそうな、健康的な、肌が明るい等)、ネガティブな印象(疲れてみえる等)について計10項目
《光沢の性質による印象評価》
(1) 評価の結果、”マット”や”テカリ”より”つや”のある方がポジティブな印象に捉えられることが分かりました(図3)。なお、感性評価に関わる7つの印象項目(1~7)全てにおいてこの傾向が顕著に認められました。
(2) 見た目から推定される年齢について、”つや”のある条件が3歳程度若齢に見えることが分かりました(図4)。
《まとめと今後の展開》
今回の結果から、顔に”つや”を想定して光の反射を付与した画像が最も他者へ好印象を与えることが分かりました。この結果は”テカリ”の印象評価とは明らかに異なっており、健やかな光沢状態を再現するためには、肌が光を反射するだけでなく、反射する光の性質も重要であることを表しています。現在、コロナ禍で在宅時間が増加し、スキンケアやメイクアップの重要性も再認識される中、今回の知見を生かすことにより、様々な場面での対面コミュニケーションにおいて”つや”によって相手に対する好印象を高めることができるスキンケアやファンデ―ションの製品設計を行うなど、今後も感性価値の高い化粧品をお客さまに提供していきます。
《関連論文》
Ikeda, H., Saheki, Y., Sakano, Y., Wada, A., Ando, H., & Tagai, K. (2020). Facial radiance influences facial attractiveness and affective impressions of faces. International Journal of Cosmetic Science. https://doi.org/10.1111/ics.12673
Sakano, Y., Wada, A., Ikeda, H., Saheki, Y., Tagai, K., & Ando, H. (2021). Human brain activity reflecting facial attractiveness from skin reflection. Scientific Reports 11, 3412. https://doi.org/10.1038/s41598-021-82601-w
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003111&rt_pr=tri36
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=tri36
本研究知見は今後、相手に好印象を与える肌の”つや”をもたらす感性価値の高いスキンケアやファンデーションの開発に応用可能であり、実際の対面場面はもちろん、モニターやスマートフォンなどの画面を通じたバーチャルなコミュニケーションにおいても、顔に適度な”つや”があることでより健やかで魅力的な顔の印象を与えることができます。
本研究成果はInternational Journal of Cosmetic Scienceで2020年11月20日に公開されました。
《研究の背景》
私たちが毎日の生活を生き生きと送ることはとても重要なことであり、その中でも日常のささやかな行動である化粧は、肌だけではなく心までも豊かに健やかにする力を持っています。現在は新型コロナウイルス感染症の拡大により、お客さまの在宅時間が増え、モニターやスマートフォンなどの画面を介したコミュニケーションを行う機会が増加していることから、スキンケアの重要性やメイクアップの必要性が改めて認識されています。
これまでは科学的に実証することが難しかった、主観的な知覚体験である顔の”つや”が与える情緒的な印象の感性価値について、今回NICTと連携し、当社がこれまでに蓄積した感性・心理研究技術の手法や、当社の強みである心理物理学的研究手法を活かして検証しました。
《顔の”つや”と印象評価の方法》
(1) 顔の”つや”とは?
一般的に”つや”のある肌は「肌表面の鏡面反射に加えて、内部からの拡散的な光の反射がある光沢」というように光学的な定義がなされ、同じ光沢感を表す”テカリ”とは異なったポジティブな印象を与えると経験的に捉えられてきました。そこで、”つや”、”テカリ”のある肌への印象を客観的に評価するために、以下のような条件で顔画像の光沢処理を行い、印象評価に使用しました(図1)。
”つや”・・・鏡面反射と拡散反射を組み合わせた光沢の乗った肌(健やかな肌の光沢状態を再現した画像)
”テカリ”・・・鏡面反射が多い肌の特徴を強調した光沢の乗った肌(皮脂が多い肌の光沢状態を再現した画像)
”マット”・・・光沢を取り除いた肌
(2) 印象評価の方法
”つや”、”テカリ”、”マット”の各光沢条件を再現した同じ女性の顔画像※1 に対して、その見た目から受ける計10項目※2 の印象を、30代から40代後半の計160名の女性に回答してもらい、得られた回答について、顔の光沢ごとに見た目から感じる印象や年齢について解析を行いました(図2)。
※1 10名の女性の画像モデルのうち、回答者は1名の画像を観察して回答した。
※2 評価項目はポジティブな印象(魅力的な、幸せそうな、健康的な、肌が明るい等)、ネガティブな印象(疲れてみえる等)について計10項目
《光沢の性質による印象評価》
(1) 評価の結果、”マット”や”テカリ”より”つや”のある方がポジティブな印象に捉えられることが分かりました(図3)。なお、感性評価に関わる7つの印象項目(1~7)全てにおいてこの傾向が顕著に認められました。
(2) 見た目から推定される年齢について、”つや”のある条件が3歳程度若齢に見えることが分かりました(図4)。
《まとめと今後の展開》
今回の結果から、顔に”つや”を想定して光の反射を付与した画像が最も他者へ好印象を与えることが分かりました。この結果は”テカリ”の印象評価とは明らかに異なっており、健やかな光沢状態を再現するためには、肌が光を反射するだけでなく、反射する光の性質も重要であることを表しています。現在、コロナ禍で在宅時間が増加し、スキンケアやメイクアップの重要性も再認識される中、今回の知見を生かすことにより、様々な場面での対面コミュニケーションにおいて”つや”によって相手に対する好印象を高めることができるスキンケアやファンデ―ションの製品設計を行うなど、今後も感性価値の高い化粧品をお客さまに提供していきます。
《関連論文》
Ikeda, H., Saheki, Y., Sakano, Y., Wada, A., Ando, H., & Tagai, K. (2020). Facial radiance influences facial attractiveness and affective impressions of faces. International Journal of Cosmetic Science. https://doi.org/10.1111/ics.12673
Sakano, Y., Wada, A., Ikeda, H., Saheki, Y., Tagai, K., & Ando, H. (2021). Human brain activity reflecting facial attractiveness from skin reflection. Scientific Reports 11, 3412. https://doi.org/10.1038/s41598-021-82601-w
▼ ニュースリリース
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000003111&rt_pr=tri36
▼ 資生堂 企業情報
https://corp.shiseido.com/?rt_pr=tri36
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