世界各国で大反響を呼んだ『母親になって後悔してる』(オルナ・ドーナト著、鹿田昌美訳)が新潮文庫より2月28日(金)に発売されます。
衝撃的なタイトルながら、女性が社会から暗黙のうちに課される性別役割や同調圧力を明らかにし、封じられてきた母親たちの苦悩や不安を掬いとった本書。日本でも、柚木麻子さん、津村記久子さん、村井理子さん、田房永子さんなどたくさんの方々から共感の声が寄せられました。
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子どもを産まなければ、きっと後悔する――。ここまでストレートな表現ではなかったとしても、これに似た言葉をかけられたり、プレッシャーを感じたことのある女性は多いのではないでしょうか。
でも逆に、子どもを産んで後悔することもあるのでは? なぜその可能性は検証されないのか、なぜ「存在しないもの」とされているのか。本書はそんな観点から、「母親になって後悔してる」23人の女性たちに取材したノンフィクションです。
著者が女性たちに投げかけた最初の質問は以下の2つです。
①今の知識と経験を踏まえて過去に戻ることができたら、それでも母になるか?
②あなたの観点から、母であることに利点はあるか?(それは欠点を上回るか)
これらの問いにいずれも「NO」と答えた女性たちを取材対象とし、彼女たちの思いや背景を丁寧に聴き取っていきます。その過程で立ち現れてきたのは、社会が暗黙のうちに強いる性別役割と同調圧力、そして封じられてきた母親の苦悩と不安でした。子育てに自分の時間と労力をすべて捧げるのが当たり前、それこそが「母親の喜び」と見なされ、母親にばかり負荷が偏る社会構造の問題点を鋭く突き、疑義を呈してゆきます。
決して誤解されたくないのは、取材に応じた女性たちはみな、子どもを疎んじているわけではなく、子どもの存在はかけがえのないものであり、心から愛しているということ。子どもへの愛情と、母親になって後悔する感情は矛盾するものではなく、同時に存在する思いであること。
本書は欧州を中心に世界各国で翻訳され、大きな反響を呼びました。日本でも「クローズアップ現代」や「ニュースウオッチ9」で紹介されるなど話題を集め、絶賛の声が相次ぎました。
すべての女性に本書を手に取ってもらいたいと思う。――柚木麻子さん
最初に見つけたときの興奮が消えない本です。――村井理子さん
母親という役割を賞賛しながら、同時に社会の歪みを引き受けさせる神話の呪いを解体する一冊だと思う。――津村記久子さん
母親になって自分の人生が消えてしまったような気持ちになったことがある方、自分の母親との関係が思わしくない方、母親になりたくない、なるのが怖いと感じている方、母親にならない選択をした方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
■書籍内容紹介
もしも時間を巻き戻せたら、母になることを再び選びますか──? この問いに「ノー」と答えた23人の女性たち。そのインタビューから明らかになったのは、社会が暗黙のうちに強いる性別役割と同調圧力、そして封じられてきた母親の苦悩や不安だった。子どもを愛している。それでも、母ではない人生を願う。「存在しない」ものとされてきた思いを丁寧にすくいとり、各国で大反響を呼んだ一冊。
■著者紹介:オルナ・ドーナト(Donath,Orna)
イスラエルの社会学者・社会活動家。テルアビブ大学で人類学と社会学の修士号、社会学の博士号を取得。2011年、親になる願望を持たないユダヤ系イスラエル人の男女を研究した初の著書『選択をする:イスラエルで子どもがいないこと(Making a Choice:Being Childfree in Israel)』を発表。2冊目となる『母親になって後悔してる』は、2016年に刊行されるとヨーロッパを中心に大きな反響を巻き起こし、世界各国で翻訳された。
■訳者紹介:鹿田昌美(Shikata Masami)
国際基督教大学卒。女性と家族を主なテーマとし、幅広い分野の翻訳を手掛ける。訳書にペギー・オドネル・ヘフィントン『それでも母親になるべきですか』、クラウディア・ゴールディン『なぜ男女の賃金に格差があるのか』、パメラ・ドラッカーマン『フランスの子どもは夜泣きをしない』など多数。著書に『翻訳者が考えた「英語ができる子」に育つ本当に正しい方法』がある。
■書籍データ
【タイトル】母親になって後悔してる
【著者名】オルナ・ドーナト
【訳者名】鹿田昌美
【発売日】2025年2月28日
【造本】文庫版、電子版
【定価】1,045円(税込)
【ISBN】978-4-10-240741-7
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