TOPPAN、東京科学大学と微小血管および血流解析に関する共同研究を開始
高精度な画像解析技術を用いた血流解析技術の医療応用を目指し、外科手術での活用に向けた臨床的意義の評価検証を開始
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:野口 晴彦、以下 TOPPAN)は、国立大学法人東京科学大学(所在地:東京都目黒区、理事長:大竹 尚登、以下、東京科学大学)と、手術用内視鏡の映像から血流動態をリアルタイムに可視化する血流解析技術の臨床応用を目的とした共同研究を2026年7月から開始します。
TOPPANは、本共同研究に先立ちこれまで培ってきた高精度な画像解析・映像処理技術を応用して、手術用内視鏡の映像から毛細血管中の赤血球を認識することが可能となる血流解析技術を開発しました。これは、追加機器や造影剤を必要とせず、通常の可視光映像(※1)を用いて赤血球の動きを画像認識することにより、毛細血管の血流方向を解析できる技術です。
本共同研究は、TOPPANが開発した血流解析技術の評価・検証を、東京科学大学 医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科学分野の伊藤卓講師と共同で実施します。実際の手術時の映像を用いた血流解析の精度と安定性の検証、および手術での活用に向けての臨床的有用性を検証していきます。今後は、段階的に他診療科に検証対象を広げていく予定です。
TOPPANは、東京科学大学との本共同研究を通し、術中出血や虚血(血の巡りが悪い状態)の早期発見が可能となる新たな医療画像技術を構築し、医療の質向上に貢献します。

■ 共同研究の背景
外科手術において血流を可視化することは、組織の生存性や血行再建の成否を術中で即座に評価し、過剰切除や血流障害による合併症を未然に防ぐために極めて重要です。現在、血流を可視化するために使用される蛍光造影法や超音波機器などには、特殊な薬剤や装置の導入コスト、さらには、専用機器の操作や画像解析の習熟が必要となるため、全ての手術・内視鏡診療に広く適用することが難しいという課題があります。そのため、中小病院や研修施設などでも導入可能な血流解析の診療支援ツールが必要とされています。
TOPPANグループは、中期経営計画において「ヘルスケア」を戦略的注力事業として定めており、新事業の創出を目指しています。 その一環として、これまで印刷事業で培ってきたカラーマネジメント技術のヘルスケア領域への応用や、高度な画像解析技術を用いた新たな事業創出を進めており、今回、医療分野での実用化を目指した血流解析技術を開発しました。
東京科学大学病院は、総合医療施設として幅広い診療科があり、高度で多様な外科手術・内視鏡診療の豊富な実績と、先進的な映像解析や手術支援技術の研究基盤により、臨床現場での課題抽出から技術開発、社会実装までを一貫して行える体制が整っています。
本共同研究では、両者が双方の強みを活かし、多くの診療科との連携を通じて幅広い手術領域への応用を見据えた開発・検証を行います。
血流解析技術により、医療資源が限られた地域・施設をはじめとした医療現場での診療支援に貢献し、医療の質の向上や格差是正を目指します。
■ 血流解析技術について
TOPPANが開発した血流解析技術は、カラーマネジメント技術による色補正等を通じて培ってきた高度な画像解析の技術・ノウハウを応用したものです。TOPPANが培ってきた製造現場での検査・品質管理などにおける高精度な画像ブレ補正と、画像間の差分を抽出する独自の分析アルゴリズムを医療用に再設計しています。これにより、通常の手術・内視鏡カメラで取得した映像を基に、毛細血管中の赤血球の動きだけを正確に検出することが可能となり、組織表面の微小な輝度変化(組織の明るさが変化している状態)を抽出し、血流の有無や変化を可視化します。
・本技術の活用により期待される効果
(1)追加機器・薬剤不要で、低コスト・高汎用性を実現
既存のカメラ映像のみで血流解析ができるため、特殊な装置や薬剤が不要。汎用性と低コストにより、幅広い診療科や中小規模病院でも容易に運用可能。
(2)微小血管の変化を可視化
術中の出血や虚血の早期発見を支援し、術中の安全性向上に貢献。
(3)教育・記録への活用
映像を定量的に評価でき、術中教育や手技の標準化に貢献。
■ 本共同研究の内容
1.技術性能の確認
通常の手術用カメラや内視鏡カメラで撮影した映像に、血流解析技術を適用した場合の、血流の可視化の精度や視認性を確認し、ノイズ除去の技術検証を行います。
2.臨床実装の有用性を検証
東京科学大学病院が提供する実際の手術や検査の様々なパターンの検証用映像を用いて、血流解析技術による視認性・画像処理の速度・医師の満足度などを評価し、実装に向けての課題を抽出するとともに、外科手術における診療支援への有用性を検証します。まずは、日常診療で内視鏡を多用しモニター映像下での手術が高頻度に行われる耳鼻咽喉科の手術や検査の画像にて検証し、段階的に他診療科でも検証予定です。
・実施期間
2028年3月まで
■ 2者の役割
・TOPPAN
血流解析技術の提供、精度・安定性の検証
・東京科学大学
血流解析技術を用いた耳鼻咽喉科の検証用手術映像の提供、耳鼻咽喉科および他診療科における医療現場での実証環境の構築・提供、技術検証における評価・アドバイス
■ 今後の目標
TOPPANは、東京科学大学と先進的な血流解析技術を活用し、術中の安全性向上と医療の質の
格差解消を実現することを共通の目標として、臨床現場での有用性を多角的に検証します。
TOPPANは、2028年度までに、まずは耳鼻咽喉科領域での新たな医療支援ツールとしての事業化を
目指します。
※1 可視光映像
可視光は人間の目で認識できるおよそ380nm~800nmの光の波長。通常の光源下で、対象物に反射した光を検出・認識できるため、専用の光源および検出機器が不要であり、簡便かつ安価な画像認識を可能とする。
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以 上
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