子どもの予防接種率の低下:継続的な後退にユニセフ警鐘~2,500万人が三種混合ワクチン接種逃す【プレスリリース】

 

三種混合ワクチン(DTP:ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)の接種を受ける7歳のアレクセイちゃん。(北マケドニア、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0582606_Georgiev三種混合ワクチン(DTP:ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)の接種を受ける7歳のアレクセイちゃん。(北マケドニア、2022年1月撮影) © UNICEF_UN0582606_Georgiev

【2022年7月15日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)が本日発表した公式データによると、子どもの予防接種率の持続的な低下が、過去30年間で最大を記録しました。

国内および世界の予防接種率の指標となる三種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳のワクチンの3回目(DPT3)を接種した子どもの割合は、2019年から2021年にかけて5ポイント低下し、81%になりました。

その結果、2021年だけでも2,500万人の子どもたちが、三種混合ワクチンの定期予防接種を1回以上受けられなかったことになります。これは、2020年に受けられなかった人数よりも200万人、2019年よりも600万人多く、壊滅的ながら予防可能である病気の危険にさらされている子どもの数が増加していることを浮き彫りにしています。この予防接種率の減少は、予防接種へのアクセスが困難なことが多い紛争地や不安定な環境で暮らす子どもたちの増加、誤った情報の増加、また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連するサービスやサプライチェーンの混乱、COVID-19対応への資金や資源の転用、予防接種サービスへのアクセスを制限する感染防止策など多くの要因に起因しています。
 

ユニセフの緊急予防接種キャンペーンで、はしかと風疹の予防接種を受ける子ども。(イエメン、2022年5月撮影) © UNICEF_UN0647014_ALfilastiniユニセフの緊急予防接種キャンペーンで、はしかと風疹の予防接種を受ける子ども。(イエメン、2022年5月撮影) © UNICEF_UN0647014_ALfilastini

「これは、子どもの健康に対する赤信号です。私たちは、過去一世代で最大の小児予防接種の持続的な減少を目の当たりにしているのです」と、ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは述べました。「昨年は、COVID-19による混乱とロックダウンの後遺症が予想されましたが、今私たちが目にしているのは、継続的な現象なのです。COVID-19は言い訳になりません」。

2021年は、混乱した予防接種プログラムを立て直し、2020年に予防接種を受けられなかった子どもたちが追いつく、回復の年になると期待されていました。しかし、DTP3の接種率は2008年以来の低水準に後退し、他の基礎的なワクチンの接種率の低下とともに、持続可能な開発目標の予防接種指標を含む世界の目標達成に向けた軌道を外れることとなりました。

このような予防接種率の歴史的な後退は、重度の急性栄養不良率が急速に上昇している中で起こっています。栄養不良の子どもはすでに免疫力が低下しており、予防接種が受けられないと、子どもがかかりやすい病気がすぐに命取りになってしまうのです。
 

ポリオの予防接種キャンペーンで、ポリオワクチンの投与を受ける子ども。(カメルーン、2022年6月30日撮影) © UNICEF_UN0668436_Dejonghポリオの予防接種キャンペーンで、ポリオワクチンの投与を受ける子ども。(カメルーン、2022年6月30日撮影) © UNICEF_UN0668436_Dejongh

どの地域でもワクチン接種率が低下していますが、東アジア・太平洋地域ではDTP3接種率がわずか2年で9ポイントも低下し、最も急激な減少を記録しています。

2021年のはしかの初回投与率は81%に低下し、これも2008年以来の最低水準となりました。これは、2021年に2,470万人の子どもがはしかの初回接種を受けられなかったことを意味し、2019年に比べて530万人多いことになります。同様に、2019年と比較して670万人以上の子どもがポリオワクチンの3回目接種を受けられず、350万人が女の子を将来の子宮頸がんから守るためのHPVワクチンの1回目接種を受けられていません。

ユニセフとWHOは、GAVIアライアンス、その他のパートナーとともに、予防接種を通じて病気を予防し、あらゆる場所であらゆる年齢の人々にワクチンを届けるという目標を達成するために、すべての国や関連するグローバルパートナーに向けた戦略である世界予防接種アジェンダ2030(IA2030)を実現するために活動しています。

IA2030パートナーは、各国政府と関連団体に以下の行動を呼び掛けています。
  • 定期予防接種の遅れに対応するため、キャッチアップ接種の取り組みを強化し、サービスが行き届いていない地域において接種できていない子どもたちへのアウトリーチサービスを拡大し、感染症の流行を予防するためのキャンペーンを実施すること。
  • ワクチンと予防接種に対する信頼を築き、誤った情報に対処し、特に脆弱なコミュニティにおけるワクチン接種を増加させるために、エビデンスに基づき、人々を中心に据えた、個々の状況に応じた戦略を実施すること。
  • プライマリーヘルスケア(PHC)における予防接種を強化・維持するために、各国政府の政治的コミットメントを確保し、国内資源の配分を増加させること。
  • プログラムの効果を最大化するために必要なデータとモニタリングを提供するための保健情報と疾病監視システムの強化を優先させること。
  • 地域のニーズを満たし、IA2030の目標を達成できるような新規および既存のワクチンや予防接種サービスの開発・改善に向けた研究への投資を拡大すること。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

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URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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