人生の意味を問う、百年にわたる家族の物語。松家仁之が描く傑作長編『光の犬』が3月28日(金)新潮文庫より発売!
1月末に発売され、発売即重版となり話題を呼んだ松家仁之さんのデビュー作『火山のふもとで』(新潮文庫)を皮切りに、2月末には第二作『沈むフランシス』(新潮文庫)が発売。そして本日、3ヶ月連続刊行の最後を飾る『光の犬』文庫版が発売されました。また3月26日には『火山のふもとで』の前日譚であり、皇居「新宮殿」造営をめぐる最新長編『天使の踏むも畏れるところ』が満を持しての発売となりました。

本作は北海道の小さな町で暮らす添島家の百年を描く物語です。助産婦の祖母、独身の三人のおばたち、会話の少ない父と母、のびやかな姉・歩と気難しい弟・始。それぞれが抱えた思い、子どもたちの儚い青春時代、老いてゆくことで変わる環境……。厳しいけれど豊かな自然の中で、少しずつ失われていく一族の姿が記憶を辿るようにして描かれてゆきます。
解説は江國香織さん。個人、家族、家という枠組み、自然との共生にそれぞれ焦点を当て、ポイントとなる箇所を引用しながら本作の魅力を丁寧に解説してくださいました。
WEB雑誌「yomyom」では『光の犬』発売に合わせ冒頭部分の試し読み、松家さんによる本作に寄せた特別エッセイを公開。これまでに発売された『火山のふもとで』と『沈むフランシス』へ寄せた特別エッセイも公開中ですので、合わせてお楽しみください。
■待望の最新長篇、ついに刊行!

新作長篇小説『天使も踏むを畏れるところ』(上・下)が、3月26日(水)、満を持しての発売となりました。主人公は『火山のふもとで』の「先生」こと、建築家の村井俊輔。敗戦から15年後、空襲で焼失した明治宮殿に代わる「新宮殿」の建設をめぐる、かつてない密度とスケールの大長篇です。建築家・村井俊輔は、どのような理想のもとに「新宮殿」を設計し、なぜ、精魂傾けた大プロジェクトを道半ばで辞任したのか――。関東大震災から、戦中、戦後、高度成長期まで、半世紀以上にわたる激動の日本社会を背景に、「新宮殿」造営に関わる人びとの息づまるドラマを描きだします。
■著者コメント
『天使も踏むを畏れるところ』と『火山のふもとで』は、もともとはひとつの長篇小説として構想されていました。ふりかえって考えれば、ひとつの小説としてはとても書けないものでした。生き別れ、すっかり他人の顔になった「秘密のきょうだい」が、読者のみなさんのもとで再会することを願っています。『沈むフランシス』や『光の犬』に描かれている光景やことばも、今の私からは出てこないもの。文庫化されてよみがえるのは、ありがたいです。
■内容紹介
ひとりひとりの人生は奇妙にゆがみ、奇妙に偏っている――。助産婦の祖母、独身の三人のおばたち、会話の少ない父と母、のびやかな姉・歩と気難しい弟・始。それぞれの願いと葛藤が溶けあいながら、三世代の時間は進んでゆく。北海道の小さな町を舞台に、失われてゆく一族の姿と、色褪せない人生の瞬間を、記憶をたどるようにして描き出す。読後、静かな余韻に包まれる百年にわたる家族の物語。
■著者紹介:松家仁之(マツイエ・マサシ)
1958(昭和33)年、東京生れ。編集者を経て、2012(平成24)年、長篇小説『火山のふもとで』を発表。同作で読売文学賞小説賞受賞。’13年『沈むフランシス』、‘14年『優雅なのかどうか、わからない』、‘17年『光の犬』(河合隼雄物語賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞)、’21(令和3)年『泡』を刊行。編著・共著に『新しい須賀敦子』『須賀敦子の手紙』、新潮クレスト・ブックス・アンソロジー『美しい子ども』ほか。
■書籍データ
【タイトル】光の犬
【著者名】松家仁之
【発売日】3月28日
【造本】文庫
【定価】1,045円(税込)
【ISBN】9784101055732
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